写真:SHIZUKO
地図を見る富士登山を考える時に、いろんな不安が頭をよぎると思いますが、3000メートルを超える高所で一番気になるのは『高山病』ではないでしょうか。一般的に2400メートルを超えると、低酸素状態になり、頭痛や吐き気、運動障害などを起こすことがあり、これを高山病と言っています。登山に慣れている人でも、体調によっては高山病にかかることはあるので、完全な予防法はありません。
予防として言えることは、登山の前日はよく眠り、体調を整えること。無理な登山計画は立てないこと。充分な水分補給をすること。普段から低山に登り、体力をつけておくこと。いきなり標高差1200メートルを登るのは、かなり大変なので、トレーニングはしておくに越したことはありません。
また、富士山頂を目指すツアーが数多く企画されているので、初めて富士山頂を目指す方は、ツアーの利用をお勧めします。それも、弾丸ツアーではなく、出来れば2泊3日のゆとりのあるツアーを選びましょう。
多くのツアーは、山小屋や救護所の充実している吉田ルートを選ぶはず。ツアーを利用しない場合も、まずはこのルートがお勧め。5合目に到着したら、1時間以上の高度順応の時間を取りましょう。お土産物屋さんや食堂など、華やかな5合目は、これからの登山の期待感に満ち溢れています。
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地図を見る100メートル標高が上がれば0.6℃気温が下がります。富士山頂は3776メートルですから、平地に比べ20℃以上気温が低いことになります。一般旅行者が富士山に登れるのは7月から8月の2か月。街中が30℃越えの酷暑でも、富士山の気温は10℃以下。風が吹けば体感気温はさらに低くなりますから、2月から3月の気温設定が富士登山の基本となります。
酷暑の時期に出掛けるので、どうしても山の気温が想像できない人が多いのですが、決して侮ってはいけません。速乾保温下着に、長袖のシャツ、風を防ぐ上着に、寒さに備えて薄手のダウンやフリースなどは絶対に必要です。登りは汗をかくので、薄着でいいのですが、休憩で立ち止まった時にすぐに体温を保温するようにしなければ、体が冷えて一気に疲れてしまうので十分ご注意ください。
また、下りは砂埃が激しいので、マスクとサングラスは必携です。6合目までは樹木のない荒地を歩きます。風が吹けば砂が舞い上がり、目を開けているのも辛いので、マスクとサングラスがあるとないでは、天国と地獄です。
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地図を見る3776mの高地に向かうとなれば、かなりの体力がなければ無理じゃないかと諦める方もいらっしゃるでしょう。確かに、誰でもが登れますとは言えません。でも、ゆっくり登れば、きっとほとんどの方は登頂出来るはず。というのも、登山道はとても整備されていて、危険な場所はほとんどありません。山小屋も多く、何かあれば避難することが可能です。
とは言うものの、8合目から上は見上げるような急登になります。一歩足を挙げるのも辛いという部分もあります。息はあがるし、足はぶるぶると震えるし。でも、一歩一歩焦らずに足を進めていけば、確実に前へ進んでいきます。体力自慢の人が、急いで高度を上げると高山病のリスクも増します。高山病を避けるためにも、ツアーでも、ガイド付き登山でもとてもゆっくりと登ってくれるので、安心して一歩一歩と足を前に出していってください。きっと、いつか山頂に到着出来るはずです。
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地図を見る登ること自体に不安がなくても、山小屋はどうなんだろうと不安を覚える方もいらっしゃるでしょう。はっきり言って、一般登山者が登れる時期の富士山の山小屋は最悪と言っていいでしょう。「1枚の布団に2人寝ることも当たり前」という情報は本当です。とにかく人が多くて、恋人でもこんなに密着して一晩過ごさないだろうというくらい隣の人とべったりくっついて眠らなければなりません。これだけはどうしようもないようです。また、夜中もヘッドランプをつけた登山者が後を絶たず、山小屋の前は常にザワザワしています。
それでも、横になって体を休めることは大切です。翌朝、眠れなかったと多くの人は言いますが、ほとんどの人は寝息を立てているので、短いながらもちゃんと睡眠はとれます。これが大切なんです。
山頂では水は貴重。お風呂はおろか、顔を洗う水もないので、ウエットタオルは絶対に用意しましょう。コンタクトレンズ使用者は、洗わないですむ使い捨てソフトレンズを用意することをお勧めします。
写真:SHIZUKO
地図を見るいろんな不安やリスクはあっても、富士山は登った人だけが味わえる素晴らしい山。日本最高のパワースポットで、日本最高の高所。普段、美しいなと思って見ている日本アルプスの山々が、はるかかなたの下に見える景色の高所感は、やはり行った人だけの感動です。夕暮れ迫る七合目あたりから見る富士吉田市の街の灯、満天の星空、荒々しい富士の火口。下山時に、森林限界まで戻ってきた時に感じる木々のありがたさ。
ご来光の美しさには、きっと誰もが涙することでしょう。なぜ涙が流れるのか、言葉では説明できなくても、心がちゃんと感じているはず。
登ってみたいと思っている人は、面倒でも、エスカレーターを使わず階段を上るなど、日々のちょっとした行動をトレーニングに代えて、富士登頂にチャレンジしてください。
未知の高度への不安は誰にでもあります。でも、挑戦したいという気持ちがあれば、やってできないはずはない。
ただ、普段からまったく歩かない、ハイキングにも行かないという人は、やはり富士登山は無理でしょう。安全に登って、楽しく帰宅してこその登山ですから、準備は万全にしていただきたいと思います。その上で、自分の限界に挑むという、素晴らしい冒険にお出かけ下さい。
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この記事を書いたナビゲーター
SHIZUKO
中学生のころから、一人でウロウロ。大学生になってからもあちこちをウロウロ。仕事が忙しくても、暇を見つけてはウロウロ。旅で出会った人、モノ、風景が、自分を育ててくれたと感謝しています。そんな瞬間や経験を…
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