小惑星探査機「はやぶさ」のふるさと 鹿児島「内之浦宇宙空間観測所」

小惑星探査機「はやぶさ」のふるさと 鹿児島「内之浦宇宙空間観測所」

更新日:2018/09/05 09:46

肥後 球磨門のプロフィール写真 肥後 球磨門 一人旅ブロガー
2018年10月、小惑星「リュウグウ」に着陸が予定されている「はやぶさ2」。その初号機となる「はやぶさ」が地球に帰還した時、その偉業は日本中から大きな注目を浴びました。「はやぶさ」が打ち上げられたのが鹿児島県大隅半島にある「内之浦宇宙空間観測所」です。
7年間の宇宙の旅を終えて帰還した「はやぶさ」のふるさと「内之浦宇宙空間観測所」を紹介します。

糸川博士が「ここだ!」と決めて作った内之浦宇宙空間観測所

糸川博士が「ここだ!」と決めて作った内之浦宇宙空間観測所

写真:肥後 球磨門

地図を見る

鹿児島県大隅半島の肝付(きもつけ)町にある「内之浦宇宙空間観測所」は1962年の開設以来、大小400のロケットをはじめ日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられた場所です。ここは小惑星「イトカワ」を探査し地球に帰還した際には日本中の人々に感動を与えた「はやぶさ」が打ち上げられた場所でもあり、誰でも見学できるおススメの施設です。

糸川博士が「ここだ!」と決めて作った内之浦宇宙空間観測所

写真:肥後 球磨門

地図を見る

ここにロケット発射場を作ることを決めたのがペンシルロケットに始まる日本の宇宙開発の父である糸川英夫博士です。博士は発射場選定のため日本中を行脚しました。ロケット発射場の条件の一つが「平地であること」でしたが、内之浦はその条件に合わない起伏のある土地なのに糸川博士が「ここだ!」とひらめきで決定したといわれています。
それは糸川博士お得意の「逆転の発想」。起伏ある山を削り、削った土砂で谷を埋めて平地と道路を造成し、高低差を利用して管制所やレーダーサイトを設ければいいとひらめいたのです。

施設内には糸川博士の像とここから打ち上げられた日本最初の人工衛星「おおすみ」のモニュメントがあるので記念撮影スポットにおススメです。

糸川博士が「ここだ!」と決めて作った内之浦宇宙空間観測所

写真:肥後 球磨門

地図を見る

観測所を一望できる「衛星ヶ丘展望台」

観測所を一望できる「衛星ヶ丘展望台」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

観測所内で最初に訪れたいのが施設を一望できる「衛星ヶ丘(ほしがおか)展望台」です。ここの標高は344メートルと敷地内で一番高く、東京ドーム15個分に匹敵する広さの中に点在するロケット発射場や宇宙との交信施設などが一望できます。天候がいいと45km先の種子島や、その先の屋久島も望めます。

観測所を一望できる「衛星ヶ丘展望台」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

展望台には施設内で2番目に大きな直径20mのパラボラアンテナが設置されています。 なんとも迫力あるアンテナで、近くで見るとその大きさに圧倒されます。こんな大きなパラボラアンテナを間近で見る機会はあまりないのではないでしょうか。地球周回軌道に打ち上げられた科学衛星を追跡するアンテナなので、運がよければゆっくりと回転しながら角度を変えていく様を見ることもできます。

観測所を一望できる「衛星ヶ丘展望台」

写真:肥後 球磨門

地図を見る

展望台から少し離れた場所に見えるのが直径34メートルのパラボラアンテナです。このアンテナがある場所は「テレメータセンター」という施設で、観測ロケットや衛星から送られてくる電波を受信しています。一時期は小惑星探査機「はやぶさ」からの電波もここで受信していました。

はやぶさの打ち上げに使用したM-VロケットがあるMセンター

はやぶさの打ち上げに使用したM-VロケットがあるMセンター

写真:肥後 球磨門

地図を見る

標高210m、面積25,000平方メートルの大型ロケット発射台地がM(ミュー)センターです。2003年5月、M-Vロケット5号機に搭載された「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」に向けてここから打ち上げられたのです。

はやぶさの打ち上げに使用したM-VロケットがあるMセンター

写真:肥後 球磨門

地図を見る

ここではM-V型1号機の実物大の模型が展示されています。これと同型のロケットで「はやぶさ」は宇宙に飛び立ったんですね。

はやぶさの打ち上げに使用したM-VロケットがあるMセンター

写真:肥後 球磨門

地図を見る

ロケット発射台も間近に見ることができます。この場所からはやぶさが飛び立ったのだと思うと感慨深いものがあります。「はやぶさ」を打ち上げたM-V型の使用は2006年に終了し、その後M-V型に替わる次期固体燃料ロケット「イプシロン」の発射場として改造されました。
幾多もの苦難を乗り越え7年間という宇宙の旅で満身創痍になりながら帰還した「はやぶさ」。この場所に立って「はやぶさ」の偉業に思いを馳せてはいかがでしょうか。

※Mセンターまでは車で行けます。Mセンターは衛星ヶ丘展望台などがある敷地内ではなく守衛所のゲートを通らない別の敷地にあります。訪れるときは必ず守衛所で受付を行ってください。

ロケットを詳しく学ぶ「宇宙科学資料館」では宇宙食が買える

ロケットを詳しく学ぶ「宇宙科学資料館」では宇宙食が買える

写真:肥後 球磨門

地図を見る

観測所入り口に隣接して「宇宙科学資料館」があります。これまでに打ち上げられたロケットや科学衛星のモデルなどが展示されています。

ロケットを詳しく学ぶ「宇宙科学資料館」では宇宙食が買える

写真:肥後 球磨門

地図を見る

館内は吹き抜け中央にロケットが立ち、その周りをまわりながら下っていく造りになっています。「ロケットの姿勢制御」や「人工衛星の仕組み」、「人工衛星の利用」など20近いカテゴリーを順番に見ていくことでロケットの構造や人工衛星の役目など宇宙観測について深く知ることができる展示になっています。

ロケットを詳しく学ぶ「宇宙科学資料館」では宇宙食が買える

写真:肥後 球磨門

地図を見る

展示室を出ると自動販売機が。飲料水の自動販売機ではありません。JAXAのマスコットやボールペン、筆入れなどの自動販売機で、なんと宇宙食を買うこともできるのです。せっかくなので購入されてはいかがでしょうか。

内之浦宇宙空間観測所は小惑星「イトカワ」の探査機「はやぶさ」のふるさとです。ここを飛び立ち7年に及ぶ宇宙旅行を終えて地球に帰還した「はやぶさ」の経験がまもなく「リュウグウ」に着陸する「はやぶさ2」に活かされているのです。

内之浦宇宙空間観測所の基本情報

住所:鹿児島県肝属郡肝付町南方1791-13
電話番号:050-3362-3111
アクセス:九州自動車道「溝辺鹿児島空港IC」から大隅縦貫道「笠之原IC」を経由して約1時間50分

2018年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/07/29 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -