続百名城最初の城、北海道「志苔館」はアイヌの悲しい戦いの跡!

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続百名城最初の城、北海道「志苔館」はアイヌの悲しい戦いの跡!

続百名城最初の城、北海道「志苔館」はアイヌの悲しい戦いの跡!

更新日:2018/08/22 11:28

田中 秀昭のプロフィール写真 田中 秀昭 歴史と文化財の解説ナビゲーター

2017年4月6日(城の日)に、日本城郭協会から「続百名城」が発表されました。その一番目に選ばれたのが、和人とアイヌのコマシャインが戦ったこの志苔館でした。晴れていれば函館山がきれいに、津軽海峡の向こうには下北半島の大間周辺の景観が望めます。

この近くで起こった事件がキッカケとなり、虐げられ理不尽な取引に耐えかねていたアイヌの人達が蜂起する原因となりましたが、その結末は悲しい物語でした。

観光客が行く機会が少ない函館市内の観光名所、それが志苔館!

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写真:田中 秀昭

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城の土塁の上に立てば函館山がきれいに、晴れていれば津軽海峡の向こうには下北半島の大間周辺の景観も見る事が出来ます。飛行機で訪れた方はこの「志苔館」を客室窓からも垣間見ることも出来るほど。空港の滑走路からは300m程度の近さにあります。

城というより商人の通商を主目的としていたので、守るに難しく攻めるに易しい、城というより館と考えた方がよい建造物でした。同じような目的の館群が12、函館から江差の方まで広がっており、コマシャイン当時のアイヌの人達は、そのうちの10の館を攻め落とした記録が残っています。

志苔館の特徴とアイヌの人達の怒りの原因は

志苔館の特徴とアイヌの人達の怒りの原因は

写真:田中 秀昭

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アイヌの人達が最初に攻め落とした館が、この「志苔館」です。入口に掘られた二重の空堀の深さと土塁の高さを併せれば、威圧感を感じさせられます。空堀の底も箱薬研堀という、珍しい形になっています。

15世紀の中頃、和人の鍛冶屋とアイヌの若者の取引上のトラブルが殺人へと繋がり、アイヌの人達の日頃溜まっていた大きな怒りが爆発しました。それは鉄製品の取引だけではなく、主な取引商品であった鮭と米の交換比率も大きく影響していました。
※鮭100匹と米60kgが当時の相場で現在の価値に換算すると、鮭100匹が40万円・米60キロは2万4千円程度に相当。


そしてその勢いのまま志苔館に攻め込み、この正門や搦め手を突破してお互いに犠牲者を出しながらも、ここではアイヌの人達の勝利となりました。でもそれが悲劇の始まりでした。

志苔館の特徴とアイヌの人達の怒りの原因は

写真:田中 秀昭

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志苔館の二重空堀の底から、土塁の上にいる人を見上げるとその高低間が分かるでしょう。

志苔館の館跡とその近くからは、想像を超えた埋蔵物も!

志苔館の館跡とその近くからは、想像を超えた埋蔵物も!

写真:田中 秀昭

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館の西側の正門跡から二重空堀を通って館内に入ると、東西が100m程度で南北がそれより少し短い70m程度の矩形、少し北から南に向かって傾斜があります。区画内にはかつてあった建物や井戸の表記があり、館内の配置が分かり易くなっています。

東側の土塁の上に登り、正門があった西側を見ると遠くに函館山が望めます。ここから遠く小樽の近くの余市や、牧場がたくさんある日高の近くの鵡川まで、和人とアイヌの人達の戦いの跡が残っています。

またこの館跡から、中国製の舶載陶磁器や国産陶器が見つかっており、生活の跡が感じ取れます。さらにこの館跡近くから、93種類38万枚もの古銭が発見されましたが、埋蔵した目的は分かっていません。

志苔館の館跡とその近くからは、想像を超えた埋蔵物も!

写真:田中 秀昭

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函館空港のターミナル方向をのぞめば、こんな風景も撮影できます。

戦いはコマシャイン父子が弓矢で討ち取られ、幕が降りた!

戦いには始まりがあり、そしてどちらか一方にとって悲劇的な結末が待っています。アイヌの人達の一旦燃え盛った怒りの炎は、突然結末が訪れます。和人が生き残っていた館に「武田信広」という武芸に秀でた客将がいました。彼が参戦するとアイヌの軍勢もその勢いが止まり始め、ついに七重浜でコマシャイン父子は二人とも討たれてしまいました。そしてそれまでよりもさらに厳しい生活環境へと変わっていったのです。

志苔館のすぐそばの海に面した一角に、和人と阿伊努(あいぬ)の慰霊碑があります。二つの碑はお互いがお互いを認め合うように、仲良く並んで立っています。

戦いはコマシャイン父子が弓矢で討ち取られ、幕が降りた!

写真:田中 秀昭

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近くには函館の名所旧跡や函館奥座敷「湯の川温泉」が!

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写真:田中 秀昭

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この「志苔館」に行くには函館空港からも歩いても行ける距離ですが、その後の行動を考えるとレンタカーを借りる方が無難です。空港のレンタカーショップから10分も掛からずに着きます。館の前にはわずかな駐車スペースがあり、近隣の「空港緑地志海苔ふれあい広場」の駐車場(無料、歩いて5分程度)も利用できます。

JR函館駅前から路線バスで30分も掛からずに着くので、車を運転しないで訪れる事も可能です。市内に戻る途中には下北半島も望める「立待岬」(写真)や函館戦争の慰霊碑「碧血碑」、湯の川温泉街には日帰り温泉、それに函館競馬場、石川啄木や土方歳三の記念館もあります。

函館には函館山や朝市会場・五稜郭だけでなく、様々な歴史的遺構があります。ぜひ函館の歴史を確かめに、初めての方はもちろんのこと、訪れた事のある方も、埋もれた函館の名所を訪ねてみましょう!

日本続百名城「志苔館」の基本情報

住所:函館市志海苔町・赤坂町
電話番号:0138-21-3472(函館市教育委員会生涯学習部 文化財課)
アクセス:
・函館駅前から恵山国道で恵山方面へ車で約20分
・函館バス・志海苔停留所下車、徒歩約10分(約600m)

2018年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/07/29 訪問

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