鉄鋼とガラスの芸術が彩る「近代パリ」を歩こう!

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ウェリオン 佳子のプロフィール写真 ウェリオン 佳子 地球の営み(歴史民俗文化芸術)旅ライター、日本比較神話学会主宰

18世紀半ばに始まった産業革命後、フランスの首都として華やかな賑わいを見せたパリ。ブルジョワジーが台頭したフランス革命時、1978年の「国内展覧会」を皮切りに、1949年まで11回の展覧会が好評を博し、1851年の「第一回ロンドン万国博覧会」へと繋がる流れを作りました。その後5回にわたって「パリ万国博覧会」も開催されています。今回はそんなパリの栄華を徒歩でゆっくり味わうコースを紹介します。

パリ市民が憩う「パレ・ロワイヤル庭園」を抜けて

パリ市民が憩う「パレ・ロワイヤル庭園」を抜けて

写真:ウェリオン 佳子

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産業革命は製鉄やガラスの生産技術を発展させ、織物や紙製品をはじめ、あらゆる分野の機械工業化を果たし、大量生産を実現させました。動力の向上により蒸気機関車や蒸気船が都市間を結び、物流と人の輸送移動手段が大幅に整備され、フランスの首都であるパリも大いに繁栄しました。労働形態の変化によってフランス国内にも中産階級が広がり、力をつけた国民たちは参政権などの近代的市民社会を求めて「フランス革命」を起こします。

現在はのんびりと市民が憩う「パレ・ロワイヤル庭園」は、1789年7月、革命派のジャーナリストでダントン派の政治家だったカミーユ・デムーランが、バスティーユ襲撃に際し「諸君、武器を取れ!」と群衆を煽動した、フランスの歴史に名を残す場所です。

パリ市民が憩う「パレ・ロワイヤル庭園」を抜けて

写真:ウェリオン 佳子

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現在、フランス文化省や国務院が設置されている「パレ・ロワイヤル」は、元々ルイ13世の宰相リシュリュー公爵アルマン・ジャン・デュ・プレシーの城館でした。彼の死後、主君のルイ13世に寄贈されてから、1643年に当時まだ幼かったルイ14世がルーブル宮殿から転居して来たことから、パレ・ロワイヤル(王宮)と呼ばれるようになりました。その後も所持者は転々としましたが、ルイ14世の弟オルレアン公フィリップ1世が移り住んでから庭園のみ一般公開されるようになり、今でもパリ市民が気軽に散歩したり、中央の噴水の水面を愉しむ情景が見られます。

中庭広場には現代アート作家ダニエル・ビュランのモノクロのストライプの円柱によるインスタレーション作品や、ポール・ビュリイが手がけたシルバーの噴水があり、観光客だらけのパリにあって、円柱に腰掛けしばし休憩を取る人や、作品とたわむれる家族連れなどの日常風景が見られ、一般市民に混じってほっと一息つくことができる空間となっています。

パリ市民が憩う「パレ・ロワイヤル庭園」を抜けて

写真:ウェリオン 佳子

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「パレ・ロワイヤル庭園」では、ぐるりと「コ」の字型に廻らされた回廊がなんとも古代ギリシャを回想させ素敵です!ここには1784年、オルレアン公フィリップ2世が自らの邸宅の敷地内を商業用として貸出し、カフェや店舗、娯楽施設などが店を構え、多くの市民が集い成功を収めたことから「パサージュ発祥の地」と言われています。

「パサージュ」とは産業革命による建築・鉄鋼・ガラス技術の向上によって生まれた、雨天でもスムーズに顧客との取引が行えるよう、ガラス製アーケードによって覆われた商業空間のことです。店舗が窓ごしに商品を陳列する「パサージュ型集合ギャラリー」や「アーケード(英語)」もまた同じ意味です。

<パレ・ロワイヤル庭園の基本情報>
住所:Domaine national du Palais-Royal,8 rue Montpensier,75001, Paris
電話番号:+33-1-47-03-92-16
アクセス:Palais Royal Musée du Louvre駅下車(メトロ1・7番線)

フランス国立図書館内にある「ギャラリー・コルベール」

フランス国立図書館内にある「ギャラリー・コルベール」

写真:ウェリオン 佳子

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「ギャラリー・コルベール」は、1823年に建てられたフランス国立図書館の建物内にあります。特性上、館内に店舗はありませんが、中央の美しいガラスドームを鑑賞するために、通路部分が一般公開されています。館内に入る時は、常駐している警備の係員に必ず声をかけるのを忘れずに。

フランス国立図書館内にある「ギャラリー・コルベール」

写真:ウェリオン 佳子

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こちらが「ギャラリー・コルベール」の天井を飾るガラスのドームです。通路中央に彫刻が飾られている優雅で洗練された空間は、一見の価値ありです。官公機関なので店舗などはありませんが、絶対に「来てよかった!」と思うでしょう。

フランス国立図書館内にある「ギャラリー・コルベール」

写真:ウェリオン 佳子

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「ギャラリー・コルベール」はフランス国立図書館の管轄下にあり、国立美術史研究所と国立文化研究所も併設されています。一般市民も立ち寄れるレストラン「ル・グラン・コルベール」ではアール・ヌーボー様式の店内の雰囲気が素晴らしく、パリの歴史的建造物としても指定されています。

<ギャラリー・コルベールの基本情報>
住所:4 rue Vivienne - 75002 Paris
アクセス:Bourse駅下車(メトロ3番線)

パサージュの老舗格「ギャラリー・ヴィヴィエンヌ」

パサージュの老舗格「ギャラリー・ヴィヴィエンヌ」

写真:ウェリオン 佳子

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「ギャラリー・ヴィヴィエンヌ」は1823年に建てられたギャラリーです。鉄とガラスのアーケードだけでなく、床面のカラフルなモザイク装飾の素晴らしさが印象に残ります。

パサージュの老舗格「ギャラリー・ヴィヴィエンヌ」

写真:ウェリオン 佳子

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「ギャラリー・ヴィヴィエンヌ」ではアーケード内のほとんどのお店が現役で稼働しており、カフェやワインセラー、アンティークショップ、おもちゃ屋、古書屋などが立ち並び、ウインドー・ショッピングだけでも十分に楽しめます。

パサージュの老舗格「ギャラリー・ヴィヴィエンヌ」

写真:ウェリオン 佳子

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ここはパリ市内の数あるパサージュの中でも飛び抜けてお洒落!少し敷居が高いようにも感じられますが、ハイセンスで品質の良い魅力的な店舗が立ち並んでいるので、気になるお店は是非この機会にチェックしてみてはいかが?

<ギャラリー・ヴィヴィエンヌの基本情報>
住所:4 rue des Petits-Champs - 75002 Paris
アクセス:BourseまたはPyramides駅下車(メトロ3・7・14番線)

レストランや生活雑貨が集う「パサージュ・デ・パノラマ」

レストランや生活雑貨が集う「パサージュ・デ・パノラマ」

写真:ウェリオン 佳子

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1799年に建設された「パサージュ・デ・パノラマ」は、パリでも老舗格のアーケードとして1974年に「歴史建造物」として登録されたアーケード街です。全長133メートルの長い通路にはカフェやレストランの他、絵葉書やコイン、小切手など収集家向けの店舗が並び、コレクター心をそそります。

より気軽で庶民的な雰囲気も漂う「パサージュ・デ・パノラマ」ですが、周囲には図書館や劇場もあり、官立美術学校「エコール・デ・ボザール」のプレパ(準備)として、女性も学ぶことができたパリの私立美術学校「アカデミー・ジュリアン」発祥の地としても知られています。日本からも中村不折や高村光太郎、梅原龍三郎、安井曽太郎、萩原守衛などが学んだことが知られています。

レストランや生活雑貨が集う「パサージュ・デ・パノラマ」

写真:ウェリオン 佳子

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パリのレストラン、カフェなどでよく見かける油絵具を使用したガラス越しのアンセーニュ(看板文字)も、実はアルチザン(職人)に伝承される伝統技術です。パリも現代型店舗の進出が激しいため、継承者問題に悩まされているのだとか。当時栄華を極めたパサージュで、移りゆく時代の流れを感じるのも、ひとつのパリの楽しみ方かもしれません。

<パサージュ・デ・パノラマの基本情報>
住所:11 boulevard Montmartre - 75002 Paris
アクセス:BourseまたはGrands Boulevards駅下車(メトロ3・7・14番線)

天井ドームのステンドグラスが圧巻!「ギャラリー・ラファイエット本店」

天井ドームのステンドグラスが圧巻!「ギャラリー・ラファイエット本店」

写真:ウェリオン 佳子

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高級商店街として繁栄を極めたパサージュですが、その後「百貨店」の登場により、ひとつの時代の幕を下ろすことになります。1905年、「オペラ・ガルニエ」にほど近いラファイエットとオスマン通り、ショセ=ダンタン通りにまたがる建物全体を購入した「ギャラリー・ラファイエット」は、1912年、ガラスと鉄鋼の天井ドームにアール・ヌーヴォー調のデザインを施した大型高級百貨店を開店させ、世界に名を知らしめる「百貨店」の代名詞となりました。

天井ドームのステンドグラスが圧巻!「ギャラリー・ラファイエット本店」

写真:ウェリオン 佳子

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「ギャラリー・ラファイエット本店」は地下1階から7階まで、世界に名の知られるブティックがひしめく高級百貨店です。店内はルネッサンス様式と新時代を告げるアール・ヌーヴォーが融合した絢爛豪華な装飾に彩られています。

高級百貨店の吹き抜けと芸術のコラボレーションという意味では、約10年の歳月をかけて1960年に日本橋三越本店に設置された、佐藤玄々作「まごころ」の天女像発注の原点と言えるかもしれません。

天井ドームのステンドグラスが圧巻!「ギャラリー・ラファイエット本店」

写真:ウェリオン 佳子

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「ギャラリー・ラファイエット本店」の最上階からアクセスできる階段を登ると、まず天井ドーム部分外観が見えてきます。そのまま屋上テラスへ歩みを進めると、なんとそこはパリを一望できる展望台!パリのシンボル「エッフェル塔」のほか、「グラン・パレ」、モンマルトルの「サクレ・クール寺院」などを見渡すことができます。

<ギャラリー・ラファイエット本店の基本情報>
住所:21 Boulevard Haussmann, 75009 Paris
電話番号:+33-1-42-82-34-56
アクセス:Chaussée d’Antin La Fayette駅下車(メトロ7・9番線)

古き良き「華の都パリ」を感じる旅

パリはロンドンやニューヨークなどと並ぶ、世界トップクラスの世界都市です。セーヌ川を利用した水路により、紀元前ケルト系ガリア時代からの古い歴史を持つパリは、ローマ帝国時代を経て後世に大きく発展し、今では世界中から訪れる個々に応じて、ショッピングや美術館めぐりなど、自由自在の選択肢を与えてくれる大都市となりました。

今回は人類史に大きな影響を与え、「近代」への橋渡しをした「産業革命」をきっかけに、人々の生活スタイルや価値観が大きく変化していった「華の都パリ」の情景を辿るコースを紹介しました。フランスが王政を終焉させ、「共和国」としての新しい時代を希望とともに幕開けさせたパリの歴史に思いを馳せながら、あなたも「哲学の道」ならぬ「パサージュの小路」をゆっくり歩いてみませんか?

2018年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/08/18 訪問

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