世界遺産だけじゃない!平泉観光の穴場スポット「鎮守社」

世界遺産だけじゃない!平泉観光の穴場スポット「鎮守社」

更新日:2018/09/15 11:20

岩手県の南部に位置する平泉町。人口8,000人弱のこの町に、毎年200万人以上の観光客が訪れます。その目的は世界文化遺産に登録された寺院や遺跡。平泉の世界文化遺産は確かに素晴らしいですが、それらの寺院や遺跡だけが平泉の観光スポットではありません。これら以外にも見るべき観光スポットが平泉町内にはたくさんあります。9つある「鎮守社」もそのひとつ。世界遺産は観光済みという平泉リピーターにもおすすめです。

昨今の状況により、施設等の営業日や営業時間などに変更が生じている場合があります。各種報道機関の発表、施設や各自治体のホームページなどで最新情報をご確認ください。また、Go To トラベルキャンペーンについては全国で一時停止となっています。お出かけの際はしっかりと新型コロナウイルスの感染予防および拡大防止対策をして行動しましょう。(トラベルjp)

レンタサイクルで巡れる9つの鎮守社

レンタサイクルで巡れる9つの鎮守社
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平泉の世界文化遺産である、皆金色の阿弥陀堂「金色堂」を持つ中尊寺、わが国で唯一の平安時代の浄土庭園がある毛越寺(写真)、やはり優美な浄土庭園を持つ観自在王院跡、無量光院跡、そして平泉のランドマーク的存在である金鶏山はいずれもとても素晴らしい、まさに世界に誇れる遺産です。

観光ガイドブックや、平泉で入手できる観光パンフレットに掲載されている観光スポットは、世界文化遺産を構成する5つの寺院・遺跡に、世界文化遺産への追加登録を目指している柳之御所遺跡、達谷窟毘沙門堂、それに源義経の伝承が残る高館義経堂などです。

しかし実はガイドブックやパンフレットには載っていない、でもおススメの観光スポットが平泉町内には他にもたくさんあるのです。

その代表が今回ご紹介する「鎮守社」。これら鎮守社のうちのいくつかは「見ルベキモノアリ」として国の特別史跡にも指定されています。まさに世界遺産を一通り見た人にとってはぜひ見てみるべき穴場的なスポットと言えます。

鎮守社というのは、その都市を守護する役割を持った神社のことです。鎌倉幕府の公文書「吾妻鏡」によれば、平泉には中央に惣社(そうじゃ)、東方に日吉(ひよし)、白山(はくさん)の両社、南方に祇園(ぎおん)社、王子(おうじ)諸社、西方に北野天神(きたのてんじん)、金峯山(きんぷせん)、北方に今熊野(いまくまの)、稲荷(いなり)等の社があったと記されています。「等」の字がちょっと気にはなりますが、少なくとも平泉には、中央に1つ、東西南北に2つずつ、合計9つの鎮守社があったことが分かります。

既に平泉の世界文化遺産は全部見たという人や、神社仏閣巡りが好きは人は、平泉を守護していたこれらの鎮守社を巡ってみるのが楽しいです。平泉駅前でレンタサイクルを借りれば、半日あれば全部巡れます。ただし、坂の上にある鎮守社もあるので、脚力に不安があるという方は電動アシスト付き自転車がおススメです。

東方の鎮守は白山妙理堂、南方の鎮守は八坂神社、王子社跡

では、これらの鎮守社はいったいどこにあるのでしょうか。それぞれの鎮守社について行き方も含めて説明していきましょう。

まず、東方の「日吉社」と「白山社」。平泉駅を出て二つ目の信号、「毛越寺口」の交差点を右に曲がって県道300号線を300mほど北に行くと、右手に白山妙理堂(はくさんみょうりどう)という古いお堂があります。これがかつての東方の鎮守、日吉社と白山社です。

以前は両社が並び立っていたそうですが、現在は白山社のみ。周辺の低地は「鈴沢の池」という当時の池の跡です。交通量の多い道路の側とは思えない、杉木立に囲まれた静かな場所で、その中央にあるお堂がいい雰囲気を醸し出しています。

東方の鎮守は白山妙理堂、南方の鎮守は八坂神社、王子社跡
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続いて、南方の「祇園社」と「王子諸社」。「毛越寺口」交差点を逆に左に曲がって県道300号線を南に1.2kmほど行くと、右手に八坂神社(やさかじんじゃ)があります。八坂神社があるのは平泉町の祇園地区。実は、この八坂神社が明治時代以前までは祇園宮と呼ばれていた、かつての南方の鎮守社、祇園社です。

疫病退散の神として信仰され、今も地域の人たちに大切にされている様子が見て取れます。初夏に参道に咲き誇る紫陽花も見ものです。

東方の鎮守は白山妙理堂、南方の鎮守は八坂神社、王子社跡
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もう一つの南方の鎮守、王子諸社は、県道300号線を挟んで八坂神社の向かいの細い路地があります。その路地を80mほど進むと、左手に「王子社跡」があります。ここがかつての王子諸社です。

ここは、存在した場所が分かっている鎮守社の中でも、行き方を知らなければまず行けない、穴場的な鎮守社。現在は小さな祠が2つ残っているだけですが、2つの祠のうち、大きめの方の祠には木製の神像が祀られているのが見えます。跡となっていても変わらず地域の人に信仰されていることが窺えます。

東方の鎮守は白山妙理堂、南方の鎮守は八坂神社、王子社跡
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西方の鎮守は北野天神社、花立廃寺跡

西方の「北野天神」は、平泉駅を背に真っすぐ、毛越寺に向かう県道31号線を行きます。毛越寺を通り過ぎて、さらに上を東北自動車道が走っているガードをくぐって160mくらい、駅から1.3kmくらい来たところのT字路を右に曲がります。そこから300mほど登り坂の道を行くと、正面に長い階段が見えてきます。ここがかつての西方の鎮守社、北野天神社です。歩いて1分弱、階段を登っていくと、社殿があります。

ここは王子社跡と違って、立派な社殿のある鎮守社ですが、町外の人にはその場所をほとんど知られていない、やはり穴場的な鎮守社です。

西方の鎮守は北野天神社、花立廃寺跡
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もう一つの「金峯山」は、世界文化遺産の構成遺産の一つである金鶏山はこの山をなぞらえたと考えられています。その山麓に金峯山社があり、それが花立廃寺跡だと言われています。

先ほど北野天神社に向かった県道31号線を、毛越寺の手前にある観自在王院の角から右に曲がって650mほど坂を登っていくと平泉文化遺産センターがあります。その南側に芝生の公園があって、その一画に石で建物の柱のあった跡が示された花立廃寺跡があります。

今はただそれだけですが、石の配置を手掛かりに、かつてここにあった壮麗な建物の姿を想像してみてください。

西方の鎮守は北野天神社、花立廃寺跡
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北方の鎮守熊野三社、消えた稲荷社、そして中央の惣社は?

北方の「今熊野」。平泉文化遺産センターの向かいに熊野三社という神社があります。これがかつての北方の鎮守社、今熊野社です。かつては今熊野社に加え、子守社と勝手社という末社もありましたが、それらが合祀されて熊野三社となったそう。2009年に新しい社殿が完成し、参道もきれいに整備されています。

高台にあるので、見晴らしも良好。かつては浄土庭園の池だったのではないかとも言われる花立溜池も眼下に見下ろせます。

北方の鎮守熊野三社、消えた稲荷社、そして中央の惣社は?
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もう一つの「稲荷社」は、実は場所が特定されていません。どこにあったのか話題になることもありませんが、江戸時代の文書などからは、隆蔵寺というお寺が別当を務める西方鎮守の稲荷社が確かに存在していたことが分かります。ただ、その隆蔵寺は明治になって火災で焼失してしまっており、恐らく近くにあった稲荷社も一緒に失われてしまったと考えられます。

隆蔵寺に関しては所在が明確で、先ほど北野天神に行ったT字路の毛越寺寄りにもう一つ手前のT字路、先ほどの東北自動車道のガードから90mほどのところを同じように右に曲がると、毛越(けごし)地区の公葬地(共同墓地)があります。その下には一面に田んぼが広がっていますが、この田んぼの一画にかつての隆蔵寺があったといわれています。

北方の鎮守熊野三社、消えた稲荷社、そして中央の惣社は?
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最後に中央の惣社です。惣社というのは、その地域の神様をすべて合祀した神社のことですが、実はこの惣社があった場所も分かっていません。

諸説ありますが、今のところ最も有力と思われるのが、金峯山社があった場所に惣社もあったというもの。ただ、最初に紹介した「吾妻鏡」に惣社と金峯山は別のものとして記載されていることから、金峯山社が惣社も兼ねていたというのではなく、金峯山社があった場所からそう遠くない場所に惣社もあったのではないかと考えられます。

金峯山社と見なされている花立廃寺跡の北に隣接する平泉文化遺産センターの玄関付近から、かつて花立廃寺跡と同規模の礎石建物跡が出土していますので、それがあるいは惣社跡だったのではないかと推測できます。平泉文化遺産センターに行ったら、この辺りにかつて鎮守の惣社があったのかも、ということで、先ほどの花立廃寺と同規模の大きな建物の姿を想像してみてください。

北方の鎮守熊野三社、消えた稲荷社、そして中央の惣社は?
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国の特別史跡にも指定されている鎮守社

以上、平泉にある9つの鎮守社について説明してきました。
江戸時代の文書に稲荷社が西方鎮守として記載されていると前述しましたが、位置関係から考えてみても、吾妻鏡にある「西方」の金峯山社と「北方」の稲荷社は、方角が取り違えられている可能性があります。実際には、北方の今熊野(熊野三社)の向かいにある金峯山社(花立廃寺跡)は西方ではなく北方の鎮守、西方の北野天神の近くにあったと考えられる稲荷社は北方ではなく西方の鎮守であったのだろうと考えられます。

これら9つの鎮守社のうち、白山妙理堂、八坂神社、王子社跡、北野天神社、花立廃寺跡が、毛越寺と共に国の特別史跡にも指定されています。これまで見てきたように、それぞれに風情のある場所ですし、もっともっと知られてほしいスポットです。ぜひ足を運んでみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/04/10 訪問

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