タラゴナはバルセロナの南西100キロほど。数々の遺跡群の他にも、中世の街並みのあちらこちらで古代ローマの石壁や噴水に出会える、散策の楽しい小さな街です。
列車(国鉄RENFE)で簡単にアクセスでき、地中海を眺めながらのプチ鉄道の旅を楽しめます。サンツ駅(Barcelona-Sants)から、あるいはバルセロナ市内中心部に滞在している場合は、地下鉄のパセジ・ダ・グラシア駅(Barcelona-Passeig De Gracia)から乗車するのが便利です。チケットは自販機で購入できますが、事前にオンラインで購入しておくと良いでしょう。レイルヨーロッパやRENFE日本語サイトであれば、購入も難しくありません。
その際ご注意頂きたいのが列車の種類と駅名です。バルセロナからタラゴナで検索すると、サンツ駅からCAMP TARRAGONAまで、AVEやAVANTといった高速列車もヒットします。時間は短縮できますが料金が高いうえ、高速列車が停まる駅は街から離れていますので、TARRAGONAに停まるTALGO、EUROMED(特急)、R.EXPRES(快速)を選んでください。
タラゴナの街は鉄道駅から徒歩でアクセスできますが、市内でゆっくりランチをとるためにも、まずは4キロほど郊外にあるラス・ファレーラス水道橋を目指しましょう。バスで行くには街の外れまで歩かなければいけないので、駅前からタクシーに乗るのがおすすめです。
ほんの10分ほどで水道橋に到着。チケット売り場もなく、管理人もいません。ただの公園の入り口にしか見えませんが、道に沿って奥へと歩いていくと、いきなり二段に組まれた巨大な石のアーチが出現します。薄茶色の少し風化した切石がひたすら上へ上へと積まれていて、その高さとアーチの大きさに圧倒されます。紀元1世紀にセメントなど使わずに組まれた橋は、高さ27メートル。谷に渡された長さ217メートルが残っています。
そのまま残された橋の先端を目指して、足元の悪い道(のようなところ)を登っていきます。スペインには他にもローマの水道橋が残っていますが、ラス・ファレーラス水道橋だけは、橋の上を歩いて渡れるのです。
登る前に見上げると、橋の高さとアーチのスケール感の割に奥行き(幅)が狭く、どこか華奢な感じもします。橋の端に立ってみると幅は本当に狭く、人一人が通れるくらいしかありません(水を通すのが目的なので当然ですが)。
広い谷の空中に狭く真っ直ぐ伸びている橋! 圧巻です。別名「悪魔の橋」というのも頷けます。一歩足を踏み出せば、あとはさながら空中散歩。ドローンになった気分で、谷の下に広がる360度の絶景を堪能しましょう。
<ラス・ファレーラス水道橋の基本情報>
住所:Carrer de Pere Martell, 2, 43001 Tarragona
アクセス:タラゴナ駅からタクシーで約10分
入場料:無料
入場時間:制限なし
タラゴナへは、水道橋の入り口からバスで戻ることができます。ただし、土・日・祝日は本数が減りますし、(時間に余裕がない場合も)帰路もタクシー利用が楽です。その場合、流しのタクシーはありませんので、乗ってきたタクシーに待ってもらいましょう。橋の見学は30分もあれば可能です。
朝バルセロナを出ればお昼までまだ少し時間があるはず。タクシーにはローマの円形劇場まで行ってもらいましょう。
紀元前218年に築かれたタラゴナは、その後ユリウス・カエサル(シーザー)によって整備され、皇帝直属の都市として、イベリア半島最大の規模を誇るようになります。100万都市の繁栄を物語るのが、古代ローマの都市になくてはならない円形闘技場です。
建設は1世紀後半から2世紀初めにかけて。幅86.5m、長さ109.5m、14,000人を収容できる大規模な闘技場です。印象的なのは、この円形闘技場が海をすぐ下に見下ろす高台に建っていること。山間の緑濃い谷から戻ってきて地中海を借景にした闘技場に立つと、目の前に広がる景色に、開放感に満ちた気分になります。
<円形闘技場の基本情報>
住所:Parc de l’amfiteatre, s/n, 43003 Tarragona
アクセス:タラゴナ駅から徒歩15分
入場時間:
3月27日〜9月30日
火曜日〜土曜日/9:00〜21:00
日曜・祝日/9:00〜15:00
月曜日(4月2日、6月4日〜8月31日のみ)/9:00〜15:00
10月1日〜3月26日
火曜日〜金曜日/9:00〜19:30
土曜日/9:00〜19:00
日曜日/9:00〜15:00、
月曜日/休館
入場料:3.3ユーロ
タラゴナには円形闘技場以外にも見どころがいくつもありますが、闘技場から坂道を登った旧市街にはレストランがひしめいていますので、ここでランチをとるのがおすすめです。
ただし、評価の高いレストランは予約が必須で、なかなか予約なしでは入れてもらえません。レストランで断られたときは、ファストフード的なお店ではなく、地元の人で賑わっているバルを選んでください。一階はカウンターだけで二階にテーブルがあるようなお店です。
そんな店では、地元のオジサマやオバサマが食べているワンプレートメニューを頼みましょう。魚介や肉をメインにした郷土料理が美味しくいただけます。間違っても(茹で置いて伸びきった可能性の高い)スパゲッティトマトソースなどを頼んではいけません。
お腹がいっぱいになった後は、12世紀に建てられたカテドラルや考古学博物館、考古学の道(紀元前三世紀に築かれた城壁)などを気の向くままに訪れるのもよし。中世の石畳の道を写真撮影して歩くのもよし。広場のカフェでゆっくりお茶して、2000年前に山から街まで水を引く橋があったことや、海辺の闘技場でエンターテイメントに酔いしれた聴衆がいたことを思い起こすのもよし。
スペインの今現在の暮らしの中に残る、古代や中世の面影を味わいながら、のんびりと贅沢な時間をお楽しみください。
2018年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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