山梨県の桃源郷と言えば、一宮や白根が有名ですが、最近、写真やスケッチ愛好家を中心に、少しずつ人気が高まってきているのが新府桃源郷(しんぷとうげんきょう)です。車なら中央道の韮崎ICから約5km、鉄道なら中央本線の新府駅を降りてすぐというアクセスの良さもさることながら、背景が多くの人を魅了するのです。
新府桃源郷が位置するのは、「七里岩」と呼ばれる台地上です。そのため、南アルプスや八ヶ岳連峰、八ヶ岳と似ている茅ケ岳などが一望できるのです。山岳展望と、一面がピンクに染まった桃畑が織りなす風景が、そこはかとなく春を感じさせてくれます。
次に向かいたいのが、12kmほど離れた北杜市武川町の実相寺です。このお寺で咲く「山高神代」という桜の古木を訪ねましょう。日本三大桜の一つかつ国指定天然記念物に指定されているので、ご存じの方も多いかもしれません。
樹齢2000年以上と言われる桜は、花が咲いていなければとても桜とは思えませんが、この季節は力を振り絞っているかのようにたくさんの花を咲かせます。その美しさもさることながら、太い幹の迫力も満点で、パワーをもらえるかのよう。つい手を合わせて拝みたくなります。
山高神代桜の次は、国道20号を長野県方面に向かいます。7kmほどで台ヶ原屋という旧甲州街道の宿場町に到着します。ここでのお目当てはお花見に欠かせない清酒です。約300年前から「七賢」というお酒を醸す、山梨銘醸の酒蔵があるのです。
店舗になっているのは宿場町時代を思わせる大きな木造家屋。建物を見るだけでも立ち寄る価値があるのですが、やはり酒蔵では清酒を仕入れたいですね。「七賢」が醸す清酒は、地元のお米と、甲斐駒ヶ岳の伏流水をふんだんに使った土地の恵みが凝縮されたもの。もちろんドライブにアルコールは厳禁ですが、旅を思い出したり、伝えたりするためのお土産に最適です。
お昼時なら直営レストランの「臺眠(ダイミン)」に立ち寄るのもお勧めです。「鮭の麹づけ定食」などの酒蔵ならではの料理が味わえます。
台ヶ原宿から山道を4kmほど登ると、清春芸術村にたどり着きます。小学校の跡地を活用したここの桜も見事なもの。とりわけ写真のように、洋館建築のアトリエと桜が織りなす景色は、ここでしか見られません。アトリエとなっている建物は、エッフェル塔の設計者が建築した建物を模したもので、異国情緒に満ちています。
このほか清春芸術村には、武者小路実篤、志賀直哉らの夢を実現化した清春白樺美術館や、宗教画家のジョルジュ・ルオーを記念する礼拝堂、安藤忠雄氏が設計した光の美術館、藤森照信氏が設計した「茶室 徹」など、見所がたくさん。1日を過ごしても飽きることのない場所です。
最後に立ち寄りたいのが、中央道の長坂ICや須玉ICに近い「三代校舎ふれあいの里」です。明治・大正・昭和の校舎が並ぶ風景は、どの世代にも懐かしいもの。
西洋風木造建築の明治時代の校舎は歴史資料館になっているので建物内を見学できます。また、昭和時代の校舎は、イタリアンレストラン、パン工房、宿泊施設、特産品の直売所などがある「おいしい学校」になっています。
桜を楽しんだ後に新鮮な野菜をお土産として買い込むのもよし、宿泊して周囲をゆっくり巡るのもよし。みなさんの旅程に合わせてご活用することをお勧めします。
今回、ご紹介した花名所と観光スポットは、どこも魅力たっぷりなので、1日で巡ろうとすると、どうしても駆け足になってしまいます。春は花を楽しむことだけに絞り、その他の季節にも訪れて、建築や芸術、グルメを楽しむのもお勧めの方法です。
何しろ都心から約150kmしか離れておらず、車なら中央道、鉄道なら中央本線1本で向かえるのですから。思い立った日に気軽に向かえる日帰りリゾート地。そのようなイメージでの活用がとてもピッタリなエリアなのです。
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