写真:木村 優光
地図を見る「横浜公園」は横浜市の中心部に位置し、周囲には官公庁や多くの観光名所があります。園内の半数以上を「横浜スタジアム」が占めているため、横浜DeNAベイスターズファンにはおなじみの聖地!試合が行われる日は多くのファンが詰めかけます。
「横浜公園」は横浜では山手公園に次ぐ古さの公園で、横浜の街の発展と共に歩んできたと言っても過言ではありません。元は遊郭があった場所でしたが、その跡地を整備して明治9年に「彼我(ひが)公園」として開園されました。やがて、「平和球場」と名付けられた野球場が造られ、学生からノンプロまでの野球試合が数多く行われました。これが現在の「横浜スタジアム」のはしりとなったのです。
現在、「横浜公園」の片隅にある和風庭園は、2017年に開催された第33回全国都市緑化よこはまフェアに併せて綺麗に整備され、「彼我庭園」と名付けられました。由来は、彼我の友好と平和が深まるようにと願いを込めたことからです。
写真:木村 優光
地図を見る「彼我庭園」は「横浜公園」の最東端に位置し、中華街の玄武門に面しています。庭園の入口は西側で、近付いていくと写真のような綺麗な木塀で囲まれた入口が姿を現します。
2017年の第33回全国都市緑化よこはまフェア時に新しく造られた入口は、横浜らしさをコンセプトに横浜発祥のフランス瓦である「ジェラール瓦」のレプリカを屋根に用い、さし石にレンガを使用したもの!一見、レプリカの瓦とは思えない出来栄えに、現代の製造技術の精度の高さを実感できます。
なお、「ジュラール瓦」とは、フランスの実業家A.ジェラールが明治初期に現在の元町公園一帯に工場を建てて製造した瓦で、日本で初めて製造された西洋瓦と言われています。
写真:木村 優光
地図を見る入口の門に掲げられた「彼我庭園」の文字と、その背後に映る真っ赤な紅葉で、入場前から期待度も高まるでしょう。
写真:木村 優光
地図を見る入口の門をくぐり直ぐに目が行くものは、園内を流れる小さな小川。日本庭園らしい風情ある光景では欠かすことができない水辺ゾーンですが、晩秋の季節にはそんな小川の頭上には真っ赤に染まる紅葉がものの見事に覆いかぶさります!
写真:木村 優光
地図を見る小川を渡るために設けられた飛び石状の橋。小さいお子さんなら必ずといってよいほど渡りたくなるようなポイントです。その上を赤や黄色などの紅葉が覆い尽くす様子はため息もの!地面にも敷紅葉としてあちこちに彩りを加えてくれます。
この「彼我庭園」はモミジだけでなく、横浜市のシンボルでもあるイチョウも多く、水辺エリア沿いには常緑樹が植えられているため、まるでパレットに数色の絵の具をこぼしたかのよう!通常の紅葉スポットですと、真っ赤なモミジのみや、お隣の日本大通りのように黄金色一色のイチョウ並木といったパターンが多い中、こういった色彩豊かな紅葉スポットは大変貴重です!
写真:木村 優光
地図を見る「彼我庭園」をさらに奥へ進むと池畔があります。開放的な和風の空間で、所々に真っ赤に燃えるような紅葉が植えられていて、見入ってしまうでしょう。紅葉の時期と重なるススキの穂も、和の空間を色濃く出すために欠かすことができないアイテム。手前の青々とした松の木も池の周りの色彩にバランスを与えています。
手前に写る雪見灯篭は、アメリカオレゴン州のポートランド日本庭園内にあるものの実はレプリカ。というのも、ポートランド日本庭園に設置されている雪見灯籠は、平沼亮三氏が横浜市長時代に、世界各地に「友好と平和の灯を点ずる」としてポートランド日本庭園に寄贈したもの。時は経過し、2017年の「第33回全国都市緑化よこはまフェア」の時に、彼我(外国人と日本人) の友好と平和が深まるよう、横浜の国際交流の歴史と文化をあらわす礎とし、「灯篭の里帰り」の意を込めて設置されました。
写真:木村 優光
地図を見るさらに池畔へ近寄ることができるよう、中央にはウッド調のデッキが設けられているため、池畔の奥地まで眺めることが可能!写真のように、池面へ流れ落ちる小滝の頭上には真っ赤な紅葉が覆いかぶさっていて、素晴らしい光景を見ることができます。池の中には亀などが気持ちよく泳ぐ姿も見ることができますよ。
写真:木村 優光
地図を見る「彼我庭園」には茶室はありませんが、茶室へ入る前に手と口を洗うための蹲踞(つくばい)が設けられています。これは周囲の庭園風景をより和風に見せるため!真っ赤な紅葉との相性も非常によく、まさか横浜スタジアムの横に蹲踞があるなんて想像できないでしょうね。
蹲踞は水をためる手水鉢(ちょうずばち)、湯桶石(ゆとういし)、手燭石(てしょくいし)などで構成されています。なお、湯桶石は寒い時期に湯を入れた桶を置くための石、手燭石は夜間など周りが暗いときに持ち歩くランプなどを置く石です。場合によっては手洗い時に乗る前石が構成されることもあります。
写真:木村 優光
地図を見る写真は水を貯めるための手水鉢で、手水鉢の近くの地中に掘られた空洞の中に流れ下ちた水の音を響かせる仕掛けが設けられています。これは水琴窟(すいきんくつ)と呼ばれるもので、日本庭園ではよく使われています。こちらもまさか横浜スタジアムの横にあるとは誰が予想したでしょうか。訪問して見つかる素晴らしいものとはこのようなことでしょうね。手水鉢の中に落ちる赤や黄色などの葉が、淡白な手水鉢の雰囲気を素晴らしい色彩に変えてくれます。これは晩秋の季節だから実現できること!
住所:神奈川県横浜市中区横浜公園
電話番号:045-671-3648(横浜市都心部公園担当)
アクセス:JR根岸線関内駅より徒歩約2分
2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
木村 優光
神奈川県横浜市出身。工学系の大学入学で大阪へ転居。以降、大阪在住歴10年の間、関西の地形を独自で学ぶ。横浜へ戻り、関東と関西の文化の違いに注目する。特に両者の文化の違いを写真で表現しようと試みている最…
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