内金城嶽(うちかなぐすくたき)は濃緑の森全体が信仰の場で、社殿のようなものはありません。嶽(たき)は沖縄の聖域のことで、神に祈る場所。御嶽(うたき)とも言います。有名な御嶽としては、世界遺産に登録された斎場御嶽(せいふぁうたき)があります。
県内には数百の御嶽があると言われていますが、石ころひとつだけの所から島ひとつ全てが御嶽となっている所、琉球王府のためのものから小規模な集落のためのものまで、規模やスタイルは様々です。
今も地域の方が大切に守っている御嶽では、旅行客はご遠慮下さいという所も珍しくありません。しかし、内金城嶽では、地元町内会が観光客のために案内看板を設置してくれていて、旅行客に優しいムード。ありがたいことです。
地元町内会が立てた看板によると、「340年前、この森を通る度に村人が霊気に打たれるので、これはただ事ではないと琉球王府に願い出て拝所を置き、神々と王府の交流の場となった」そうです。
この辺りは戦火から逃れた地で、昔のままの森の面影を今に残してくれています。
写真で赤い柵を囲んだ石積みの門が祈願をする場所で、拝所(うがんじゅ)と言います。神社でいうと拝殿にあたる場所。石門の奥にある大きなアカギがご神木とされています。
内金城嶽の境内は小道を挟んで西と東にまたがっていて、西と東のそれぞれに拝所があり、樹高約20mの大きなアカギは東西合わせて6本生えています。人里近くに大きなアカギが群生しているのはこの地だけで、「首里金城の大アカギ」として国の天然記念物に指定されています。
境内の中央には広場のようなスペースがあり、端の一面は崖になっています。崖には穴が空いていて、ここに沖縄民話『鬼餅(ムーチー)』の主人公の兄妹が住んでいました。
民話の『鬼餅』は、鬼になった兄を妹が餅を使って退治するというストーリーで、地元町内会の看板によると「この辺りは妹の苦悶の勇気に満ちた場所」だそうです。
こちらが、神が降りて願いを聞いてくれるという大アカギ。広場を背に一番奥に生えています。推定樹齢300年の巨木で、根本にぽっかり大きな穴が空いていて祠のようになっています。
地元老人会が立てた看板には、「旧暦6月15日に神が降りてきて願い事を聞いてくれるという言い伝えがあるので、年にひとつだけ願い事を話されてみて下さい」と書かれています。さらに、「この場所は考える力が授かる場所」でもあるそうです。
年にひとつだけ、です。欲張ってはいけません。
大アカギが願いを叶えてくれるかどうかは神のみぞ知る、ですが、この大アカギだけでなく、内金城嶽全体が「気とかパワーとかよくわかんない」という人が気を感じやすい場です。時間が止まっているかのようにシーンと静かで、ここなら本当に神様が降臨するかも?と思わせる空気感があるのは確かです。
(その1)金城町石畳道の「←大アカギこちら」という緑色の小さな看板を左折して、道なりに1分位。趣のある住宅街の隣が突然森になっています。
(その2)県立芸術大学から50mほど西に建っている石塔「首里金城の大アカギ」の横にある細い道に入り3分程度。昔の道なので足元が悪く途中から急な階段になりますが、こちらの方が雰囲気あります。上の写真のような道なので、サンダルやヒールの靴は避けた方が無難です。
どちらの道を行っても、首里城の守礼門からゆっくり歩いて10分程度。首里城から徒歩10分は、沖縄にたくさんある聖域の中では行きやすい部類に入ります。アクセスの良さに加えて、観光客に寛容で雰囲気のある聖域はそれほど多くないので、内金城嶽はスピリチュアルな沖縄に触れてみたいと思っている方には特にお勧めです。
観光客で大賑わいの首里城のすぐ近くに、昔の面影を残すこんなに静かな森があるなんて、きっと驚くことと思います。ジリジリと太陽が照りつける日でも、ここへ着くと涼しくてホッとしますよ。
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(2025/2/9更新)
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