写真:やた 香歩里
地図を見る濃茶の木の壁に白い窓枠、三角屋根が美しいこの建物は、1954(昭和29)年に、鮎川中学校として建てられました。現存する木造建築としては秋田県内で最大級のもので、国登録有形文化財にもなっている貴重な建物です。のちに中学校は他校と統合され、ここには鮎川小学校が移転し、2004(平成16)年に廃校となるまで小学校として使用されました。
2018年、この建物を活かした「鳥海山 木のおもちゃ美術館」が設立されました。同じく廃校を活用した「東京おもちゃ美術館」のプロデュースにより、地元産の木を使用した遊具を多彩に取り入れた“多世代交流・木育美術館”として、新しい命が吹き込まれました。
写真:やた 香歩里
地図を見る「鳥海山 木のおもちゃ美術館」は、もとは校舎だった3つの棟(A棟〜C棟)と、元体育館(D棟)の、計4つの建物からなっています。美術館とは言いながら、子供が体も指も頭も使って遊べるおもちゃがいっぱい。なおA棟・D棟が有料の美術館ゾーン、B棟・C棟が無料の市民ゾーンです。
上の写真はフロアいっぱいの遊具で遊べる、一番人気のD棟「もりのあそびば」。この一角は、室内なのにたくさんの木が立ち並んでいて、まさに“森”。野外の森で遊ぶにはちょっと心配な小さなお子さんも、ここでなら思い切り木の間を通り抜けたり、かくれんぼしたりできますね。ちなみにこの木には、ちょっとした宝物が隠れているんですよ。お子さんと一緒に探してみてくださいね。
森の奥には小さな部屋がありますね。こちらは「遊びのこべや」。文字通り、おもちゃを備えた部屋が全26室も作られているのです。
写真:やた 香歩里
地図を見る「遊びのこべや」は、耐震補強工事の際に建てた大きく張り出した柱を仕切りに利用した小部屋です。26室すべてに違ったおもちゃが置かれているので、いくつかはしごして遊んだら、それだけでもう1日が終わってしまうかも?
中に置かれているおもちゃは、もちろん木のおもちゃ。手触りの良い、地元の秋田杉を使ったおもちゃもたくさんあります。インテリアとして置いておきたくなりそうな、上質でおしゃれなデザインも。
写真:やた 香歩里
地図を見る「もりのあそびば」の中央にあるのが「ちょうかいタワー」。福島県会津若松市にある「さざえ堂」と同じ原理で建てられており、狭いタワーの中でも上りと下りのスロープが交わらず、見えない設計です。
スロープの片方は滑り台になっていて、下には「木のどんぐりのボールプール」があります。このボールプールには、5〜6種類の木で作ったどんぐりが5000個も入っており、すべて地元の木で、地元の職人さんが、子供たちのために丁寧に磨き上げたもの。ボールプールに滑り込む子供の笑顔は本当に楽しそう。
写真:やた 香歩里
地図を見る高い天井を利用して、こんなツリーハウスも! 子供のころ、こんな隠れ家で遊んでみたいと思いませんでしたか? 館内のほとんどの設備や遊具は地元の業者によるものですが、こちらは青森は八戸の専門業者が手掛けたもの。地元産にこだわりすぎることなく、各地の専門家の力を柔軟に取り入れているのも魅力です。
では、ちょっと中も覗いてみましょう。
写真:やた 香歩里
地図を見る犬の形のストーブやレトロな時計やランプ、廃材なども利用した、おもちゃ箱みたいなツリーハウス。大人のほうが入りびたってしまいたくなりそうです。
写真:やた 香歩里
地図を見る次はA棟のほうを見ていきましょう。いかにも「学校」という感じの長く伸びる木の廊下が、映画のセットのよう。秋田杉の床や壁は、60年の時を経ても艶やかです。
A棟には受付・案内所とショップがあるほか、100種類以上のおもちゃを集めた「グッド・トイサロン」や、多彩なおもちゃを展示する「特別企画展示室」、おもちゃ作りを楽しめる「おもちゃファクトリー」、読み聞かせなどのイベントが行われる「こども劇場」など、施設の核となる部屋が並んでいます。
写真:やた 香歩里
地図を見る「グッド・トイサロン」は、「東京おもちゃ美術館」が毎年認定している“グッド・トイ”に選ばれたおもちゃで実際に遊べるコーナー。積み木やパズルなどのシンプルなものが多いのですが、意外に工夫や集中力が必要。子供だけじゃなく大人も夢中になってしまうおもちゃがいっぱいです。
写真:やた 香歩里
地図を見るこの美術館の魅力は、それぞれの年齢の子供が楽しく遊べるよう配慮されていること。こちらは2歳児以下専用の「ハイハイひろば」。ここなら、大きな子供たちの勢いやパワーに押されてしまうことなく、小さなお子さんも安心して遊べます。この部屋は床にも壁にも柔らかい秋田杉を使い、小さな子がハイハイ、ゴロゴロしても安心。木のぬくもりに包まれた部屋で、ゆっくり過ごしてくださいね。
写真:やた 香歩里
地図を見るB棟・C棟は無料スペース。B棟の「キッチンカフェキノ」では、中庭を眺めながら、ランチやドリンク、スイーツがいただけます。自慢のメニューは、熊本の職人さんが設置した釜戸で炊いた羽釜炊きのおむすび!
廊下側一面の壁には本荘組子(ほんじょうくみこ)の作品が飾られていおり、インテリアや小物なども、地元の若い作家さんからベテランまでが協力して作り上げた空間です。
写真:やた 香歩里
地図を見るちなみにこの部屋、もとは職員室でした。壁には当時の職員表や、行事予定表が残っています。
この室内以外にも、学校の年表が残されていたり、靴箱やロッカーがあったり、学校当時のままの椅子や机が置かれていたりと、“学校らしさ”が大切に残されています。親世代の方々は、タイムスリップ気分が味わえますよ。
写真:やた 香歩里
地図を見るC棟には民具展示室があり、かつてこの地域で使われていた様々な道具や衣類が展示されています。シニア世代に方々からは、懐かしいという感想がよく聞かれるとか。
C棟には和室の礼法室も残されており、少し上の世代の大人たちにとっても、なんともノスタルジーをそそられるエリアです。
写真:やた 香歩里
地図を見る美術館には駐車場が完備されいますが、最寄りの由利高原鉄道鮎川駅からは、列車の運行時間に合わせて無料のシャトルバスも出ています。
写真:やた 香歩里
地図を見る由利高原鉄道では、美術館の開設に合わせて「おもちゃ列車」の運行を始めました。「おもちゃ列車」のデザインは、美術館の総合デザイナーである「オフィスフィールドノート」(福岡)の砂田光紀代表によるもの。美術館と同じくぬくもりある木のインテリアで、様々な木のおもちゃと、子供が遊べるスペースを備えています。
シャトルバスとおもちゃ列車は、外観の統一感だけでなく、中のシートカバーも同じものを使っています。おもちゃ列車に乗った瞬間から、楽しい美術館での時間が始まっています。
写真:やた 香歩里
地図を見る「鳥海山 木のおもちゃ美術館」は、乳幼児から学齢の子供たちまで思い切り遊べるところ。地元秋田のみならず、各地の大人たちの、子供に安全に楽しんで欲しいという願いが隅々まで込められています。
それだけでなく、子供たちの親世代やさらにその上の世代にとっても、子供と一緒に遊んだり、自分の幼少期を懐かしく思い出したりできる場所。幅広い世代の人が、それぞれの楽しみ方を見つけることができるところです。
「おもちゃ」=子供のもの、なんていう固定観念にとらわれないで、子供連れでも大人だけでも楽しめる「鳥海山 木のおもちゃ美術館」に訪れてみませんか?
住所:秋田県由利本荘市町村字鳴瀬台65-1
電話番号:0184-74-9070
開館時間:9:00〜16:00(最終入館15:30)
休館日:木曜日(休日の場合は翌日)・年末年始
入館料:大人800円、小学生以下600円
※由利本荘市在住者は大人500円、小学生300円、未就学児100円
アクセス:
〔電車〕由利高原鉄道鮎川駅より専用シャトルバスにて約5分(徒歩の場合は約20分)
〔車〕秋田空港より約1時間、日本海東北自動車道本荘ICより約10分
※入館の際には上履きをご持参ください。
2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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