失われゆく海〜ウズベキスタン・アラル海はそれでもやっぱり美しい

失われゆく海〜ウズベキスタン・アラル海はそれでもやっぱり美しい

更新日:2018/10/03 17:12

Mayumi Kawaiのプロフィール写真 Mayumi Kawai 絶景ハンター、トラベルライター、自称ミステリーハンター
第二次世界大戦終結後、旧ソ連は国力のさらなる強化に向け自然改造計画を実行、綿花栽培を推進するためアラル海に注ぎ込む二大河川から強引に灌漑用水路を作ってしまいます。その結果、1960年代以降アラル海は干上がり砂漠化が加速して、現在では当時の10分の1にまで縮小してしまいました。

そんなアラル海ですが、それでも大海原のような絶景は健在です。そんな魅力をご紹介します。

「20世紀最大の環境破壊」〜失われゆくアラル海

「20世紀最大の環境破壊」〜失われゆくアラル海

写真:Mayumi Kawai

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「20世紀最大の環境破壊」といわれた中央アジアのアラル海の縮小。
海のように広大だった1960年代当時に比べ、たった半世紀前で10分の1にまで縮小してしまいます。その規模は、日本でいえば東北6県に匹敵する面積だったのが宮城県より一回りも小さくなってしまったことを意味します。想像を絶する変化です。

その要因は、第二次世界大戦終結後の旧ソ連による自然改造計画が発端。綿花栽培や水稲の拡大を国策に掲げ、アラル海に注ぐ二大河川、アムダリヤ・シルダリヤ両河川から灌漑用水路を強制的に引っ張ります。それにより、アラル海の水位が急速に低下、塩湖だった湖は塩分濃度が上昇し生き物が棲めない湖となってしまいます。

「20世紀最大の環境破壊」〜失われゆくアラル海

写真:Mayumi Kawai

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海岸線は急速に後退し砂漠化が進行、湖畔に栄えた漁村は砂漠に置き去りにされるか、移住を余儀なくされ環境移民も生まれています。さらに塩混じりの砂が吹きつけることで住民の健康被害まで発生しています。これが「20世紀最大の環境破壊」のあらましです。

※砂漠化による「船の墓場」の誕生については、関連MEMOにある「砂漠に『船の墓場』!ウズベキスタンで見る20世紀最大の環境破壊」の記事をご参照ください。

アラル海の現在(いま)とは

アラル海の現在(いま)とは

写真:Mayumi Kawai

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アラル海は現在、カザフスタンに属する北側の小アラル海と、カザフスタンとウズベキスタンにまたがる東アラル海、西アラル海、ウズベキスタンに属するバルサ・ケルメス湖の大きく4湖に分かれています。

画像はウズベキスタン側の西アラル海の湖畔。いかに縮小したといっても、これだけ見ると海原にしか見えません。そして塩分濃度が海水の2倍以上となった湖水は、死海のようにプカプカ浮くことができます。

アラル海の現在(いま)とは

写真:Mayumi Kawai

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沿岸の土壌は塩が吹き、貝殻がびっしり敷き詰まっています。ここもかつては湖底であったことを示しています。

アラル海の現在(いま)とは

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沿岸には洗剤の泡のような、いわゆる「波の花」が辺り一帯を埋め尽くしています。波の花は日本でも日本海側の岩場の多い海岸で見られ、強風、気温、海中に棲む植物性プランクトンなどの諸条件が揃ってはじめて発生する自然現象です。これもまたアラル海の特徴の一つです。

美しきアラル海の絶景ショット

美しきアラル海の絶景ショット

写真:Mayumi Kawai

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こちらは水平線にまさに夕日が沈みゆく夕暮れ時です。空の青と夕焼けの赤が溶け合って美しいグラデーションを生み出していました。

美しきアラル海の絶景ショット

写真:Mayumi Kawai

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こちらは夕日が今まさに水平線に沈みゆく瞬間を捉えたものです。満天の星空をバックにした落日の光景は、何とも幻想的ですね。

美しきアラル海の絶景ショット

写真:Mayumi Kawai

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こちらは日の出の瞬間です。水平線から顔をのぞかせた太陽が辺りを照らし出し、海を赤く染めていきます。あまりにスケールが大きく、ここが本当は湖だということをつい忘れてしまいます。

アラル海のほとりで遊牧民体験も楽しめる

アラル海のほとりで遊牧民体験も楽しめる

写真:Mayumi Kawai

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ウズベキスタン側の西アラル海では、中央アジアの遊牧民伝統の住居である円形テント「ユルト」で寝泊まりすることができます。

葦で組み立てられた頑丈な骨組みに羊毛フェルトを被せ、さらに布でしっかり覆われたユルトは想像以上に暖かく、また暑い日中は涼しいという実に機能的で快適な住居なんです。

アラル海のほとりで遊牧民体験も楽しめる

写真:Mayumi Kawai

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満天の星空の下で眠りにつきたいなら、このダイニングスペースに寝袋で泊まることも可能です。
また、海のアクティビティとしては、バナナボートなども完備されていますよ。

アラル海のほとりで遊牧民体験も楽しめる

写真:Mayumi Kawai

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夕飯は基本的にキャンプ側が用意してくれます。主食のナンに串焼き肉のシャシリク、脂がこってりのプロフ飯にうどんに似たラグメン、肉のスープもついてデザートは甘いスイカ、食事のお供は地元産のウォッカなど。ウズベキスタンのご当地グルメが一度に楽しめます。ウズベキスタン料理は脂っこいものが多いので、消化吸収を助けるチャイ(お茶)を多めに摂ることをおすすめします。

アラル海へのアクセス

アラル海へのアクセス

写真:Mayumi Kawai

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「船の墓場」のあるムイナクまでは、かろうじて道路が舗装されているためローカルバスでのアクセスも可能ですが、その先のアラル海までは未舗装の悪路が続くため、頑丈な四駆クラスが必要となります。そのため、ヌクスから四駆車をチャーターするか、1泊2日などのアラル海ツアーに参加する方法があります。現地ツアーは現地旅行代理店か、宿泊施設が提携先を紹介してくれることもあるため、ぜひ相談してみてください。

いかがでしたでしょうか。
カザフスタン側の小アラル海は、現在水位上昇に伴う漁業復活に向け活動が進められていますが、一方、ウズベキスタン側の東西アラル海は縮小の一途をたどっています。
失われゆくアラル海、このままの状態が続けば、早ければ2020年にも枯渇するのではないかとも危ぶまれています。ぜひそうなる前に、一度美しいアラル海を訪れてみませんか。

アラル海の基本情報

住所:Western Aral Sea, Republic of Karakalpakstan
電話番号:+998-9995-78339(ヌクス当局直通)
アクセス:ウズベキスタン西部の自治州・カラカルパクスタン共和国の首都ヌクスから四駆チャーターあるいは1泊2日などの現地ツアーに参加するのが一般的

2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/08/29−2018/08/30 訪問

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