長崎平戸の潜伏キリシタン遺産 春日集落や田平天主堂をめぐる旅

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長崎平戸の潜伏キリシタン遺産 春日集落や田平天主堂をめぐる旅

長崎平戸の潜伏キリシタン遺産 春日集落や田平天主堂をめぐる旅

更新日:2018/10/12 15:50

塚本 隆司のプロフィール写真 塚本 隆司 ぼっち旅ライター

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、象徴的な建物が主役の世界遺産とは少し異なる趣をもつ。その特徴をよく表しているのが「平戸の聖地と集落・春日集落と安満岳」だ。
棚田が海へと続く春日集落と語り部に会える案内所「かたりな」や祈りの言葉オラショが聞ける生月町博物館「島の館」、田平天主堂など潜伏キリシタンについて知りたければ長崎県平戸市へ行くことをオススメしたい。

世界文化遺産の棚田 春日集落と安満岳

世界文化遺産の棚田 春日集落と安満岳

提供元:平戸観光協会

https://www.hirado-net.com地図を見る

かつて十字架が立てられていたという小高い丘の上に立つと、棚田に囲まれていた。信仰の山・安満岳から海へと続く山あいの地に、潜伏キリシタンらが開墾した棚田だ。

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の「平戸の聖地と集落・春日集落と安満岳」の象徴といえば、この美しい棚田の風景である。平戸市の最高峰・安満岳は、古くから山岳仏教信仰の対象とされた山で、潜伏キリシタンらも信仰の対象として拝んできた。
棚田を眺める絶好のポイントとなる高台を丸尾山という。1599(慶長4)年まで十字架が立てられていたキリシタン墓地跡と伝わっている。ここから眺める棚田の風景は、忘れがたいものになるだろう。

<春日集落の棚田の基本情報>
住所:長崎県平戸市春日町
アクセス:平戸大橋から車45分
駐車場:春日公民館(5台駐車可)

世界文化遺産の棚田 春日集落と安満岳

写真:塚本 隆司

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春日集落の潜伏キリシタンたちは、明治時代、キリスト教の解禁後もカトリック教会に復帰せず、先祖たちから伝え聞く習わしや日常を守り続けてきたという。今や信仰の組織は途絶えているが、語り部として当時の生活を今に伝えてくれるのが春日周辺拠点案内施設「かたりな」だ。

語り部が伝える潜伏キリシタン 春日周辺拠点案内施設「かたりな」

美しい棚田が見られる丸尾山から1キロメートルほど離れた集落に、春日周辺拠点案内施設「かたりな」がある。世界遺産登録を目指している中、春日集落の人たちが運営をはじめた施設だ。

この地の歴史を積極的に発信しようとか、有名観光地にしようとか、という町おこしよりも「せっかく訪れてくれた観光客に、何もないのは申し訳ない」と、おもてなしの心で運営されている。

語り部が伝える潜伏キリシタン 春日周辺拠点案内施設「かたりな」

写真:塚本 隆司

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古民家を改装した建物は、母屋と隠居部屋に分かれている。母屋では地域の物産を販売。春日集落の民家を再現した部屋もあり、周辺案内や資料コーナーとなっている。この部屋には床の間や仏壇(ここでは資料展示棚になっている)に加え、かくれキリシタンの特徴でもある屋根裏や神棚に祭られた納戸神(レプリカ)の形跡があるので見ておきたい。

語り部が伝える潜伏キリシタン 春日周辺拠点案内施設「かたりな」

写真:塚本 隆司

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隣接の隠居部屋では、春日集落の住民の方が語り部として常駐してくれている。語り部は7~80歳代、上は90歳代のおばあちゃんたちだ。
近年では、民家を改築する際にメダイやオテンペンシャといわれる祈りの祭具などが発見されて初めてかくれキリシタンとの関わりを知るような状態という。記憶に残る不思議な風習や行動が信仰と結びつくものと後に知った話など興味深い。手作りの漬物やお茶のもてなしがうれしい。

<春日集落拠点施設「かたりな」の基本情報>
住所:長崎県平戸市春日町166-1
開館時間:8:30〜17:30
入館料:無料
休館日:12月31日〜1月3日
電話番号:0950-22-7020
アクセス:平戸大橋から車で約45分
駐車場:施設周辺に20台

語り部が伝える潜伏キリシタン 春日周辺拠点案内施設「かたりな」

写真:塚本 隆司

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潜伏キリシタンの納戸でオラショを聞こう 平戸市生月町博物館「島の館」

春日集落の北西に生月島(いきつきしま)がある。かつて、日本最大規模の捕鯨でにぎわった島だ。今は生月大橋で結ばれているこの島に、平戸市生月町博物館「島の館」がある。入口前には大きなクジラのモニュメントがあり、館内では捕鯨の道具や漁の様子をジオラマ化した展示がなされている。

潜伏キリシタンの納戸でオラショを聞こう 平戸市生月町博物館「島の館」

写真:塚本 隆司

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この博物館のもう一つの顔がキリシタン信仰に関わる資料の展示だ。松浦藩による苛烈で徹底したキリシタン弾圧が繰り返されるなかで、信者らが早くから潜伏し守り続けた歴史が垣間見られる。展示物は、聖画や遺物など貴重な品ばかりだ。

潜伏キリシタンの納戸でオラショを聞こう 平戸市生月町博物館「島の館」

写真:塚本 隆司

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展示コーナーの奥に、約100年前(昭和初期)のかくれキリシタンの民家が再現されている。奥の暗く狭い部屋(ナンド)には神棚や仏壇と一緒に御前様(納戸神)が祭られている。実際にナンドにも入れる貴重な展示だ。
音声案内から祈りの言葉「オラショ」が聞こえてくる。誰にも知られないように声を潜めて「オラショ」を口ずさみ祈りをささげた人たちに思いを巡らしたい。ここは平戸で唯一の観光客が「オラショ」を聞ける場所といえるだろう。

<平戸市生月町博物館「島の館」の基本情報>
住所:長崎県平戸市生月町南免4289番地1
開館時間:9時〜17時(最終入館16時30分)
入館料:一般510円、高校生300円、小中学生200円
休館日:年始(1日、2日)館内メンテナンスのため臨時休館あり
電話番号:0950-53-3000
アクセス:春日集落より車で約10分、生月大橋渡ってすぐ
駐車場:無料

潜伏キリシタンの納戸でオラショを聞こう 平戸市生月町博物館「島の館」

写真:塚本 隆司

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平戸に訪れたなら立ち寄りたいスポット 田平天主堂

平戸に訪れたなら立ち寄りたいスポット 田平天主堂

写真:塚本 隆司

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世界文化遺産ではないが、平戸を代表する教会に田平天主堂がある。キリシタンの潜伏期後の建築のため世界文化遺産には含まれないが、カトリック教会に復帰した人らが建てた貴重な天主堂だ。

平戸瀬戸を見下ろす高台に位置し、周囲に墓地や畑が広がる田平天主堂。潜伏期の難所に建つ教会とは異なり、歴史の転換期を見る思いがする。

平戸に訪れたなら立ち寄りたいスポット 田平天主堂

写真:塚本 隆司

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田平天主堂の見学には事前連絡が必要だ。現在も信者が通う祈りの場であり観光施設ではない。ルールを守って訪れるようにしよう。連絡先は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 インフォメーションセンター」。文末の関連MEMOを参照してほしい。

<田平天主堂の基本情報>
住所:長崎県平戸市田平町小手田免19
見学:要事前連絡(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 インフォメーションセンター)
電話番号:095-823-7650
アクセス:平戸大橋から車で約10分
駐車場:無料

世界文化遺産の棚田で作った米の酒「FIRANDO」森酒造場

世界文化遺産の棚田で作った米の酒「FIRANDO」森酒造場

写真:塚本 隆司

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日本酒好きなら旅先での酒蔵巡りを楽しみにしている人も多いだろう。創業1895(明治28)年の森酒造場では、酒蔵見学や試飲ができ、お土産購入にもよい。

世界文化遺産の棚田で作った米の酒「FIRANDO」森酒造場

写真:塚本 隆司

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おすすめは、春日集落の棚田で作られた米で醸した日本酒「FIRANDO」(写真右)。ワイン感覚で飲め女性や外国人にも喜ばれる味わいに仕上がっている。春日集落の棚田を見た後なら、酒好きでなくても飲んでみたいと思うことだろう。
森酒造場の商品は、春日周辺拠点案内施設「かたりな」でも一部販売されている。

<森酒造場の基本情報>
住所:長崎県平戸市新町31
営業時間:9:00〜17:00
定休日:1月1日(業務都合により不定休)
電話番号:0950-23-3131
アクセス:平戸大橋から車で約5分
駐車場:無料

潜伏キリシタンについて知りたければ長崎県平戸市へ

潜伏キリシタン関連遺産とは、どういったものなのか。歴史や建物が主役の世界遺産とは少し異なる趣をもつため分かりにくい。「平戸の聖地と集落・春日集落と安満岳」へ赴き、目と耳と肌で感じてこそ、その入口に立ったといえるかもしれない。

紹介したスポット以外にも、平戸ザビエル記念教会や平戸市切支丹史料館などのスポットもある。長崎県平戸市で、語り継がれる潜伏キリシタンの歴史をのぞいてみませんか。

2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

取材協力:長崎県

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/07/20 訪問

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