日本の「時」が生まれる街って何処か? ご存知かな...?

日本の「時」が生まれる街って何処か? ご存知かな...?

更新日:2019/02/06 11:14

日本の時が生まれるって.. 「あー 日本標準時(以下JSTと略します)の街、散策の記事ね。」って想像され、記事を読み始めた99%の人は、「明石の散策記事か」と思われるのではないでしょうか。

確かに日本標準時(JST)=明石市は想像に難くないのですが、実は日本標準時が生まれる街は明石市でないのです。 ええええ(?_?) では何処だ.. 

種明かしは最後まで読まれるとわかりますよ〜

まずは、JSTを理解するために、明石の天文科学館を訪問しよう

まずは、JSTを理解するために、明石の天文科学館を訪問しよう
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日本標準時を語るうえで、やはり明石市は避けて通れない訪問先なので、まずは軽く触れておきましょう。

兵庫県明石市はJSTの基準となっている、東経135度の子午線が通っている街としてよく知られています。ではなぜ東経135度がJSTに決められたのか。それは次のような理由からです

世界標準時 GMTは経度0度の子午線の街 ロンドン・グリニッジが基準となっていますよね。この0度の子午線の上に太陽が来た時に、GMT12時と決めています。

そして地球の一回り(360度)で1日 24時間が経過しますから、子午線15度毎に1時間の時差が生じます。そして135度はそこからGMTからぴったり9時間分ずれた位置にあるので、(135÷15=9)この子午線が通る日本の国内の都市に明石があり、135度の子午線上に太陽が来た時に日本の12時と決めたわけです。 

写真のように明石の市立天文科学館は東経135度の子午線真上に建っています。

まずは、JSTを理解するために、明石の天文科学館を訪問しよう
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また、明石市立天文科学館の4階屋上には日時計があり、子午線上に太陽が来た時に、その影が12時を指すように作られています。

中でも決められた場所に人が立つと、その陰でその時刻が分かる人影日時計があります。これは結構面白い仕掛けですよ。

筆者が訪れた時刻がお昼を過ぎていましたが、自身の腕時計と比べてみると、きちんと正確な時刻が表示され、あらためて太陽の位置と時刻のかかわりが深いことがよくわかります。

ちなみにこの日時計をそのまま東京や福岡に持っていくと、15-20分位進んだり、遅れたりする表示になります。

まずは、JSTを理解するために、明石の天文科学館を訪問しよう
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さて、JSTの子午線が通る街は明石以外に南北に存在し、天文科学館には3府県12市が提示されています。 

そしてこの天文科学館は子午線や日本標準時に関わる様々な資料や、標識が展示されています。天文科学館の南側には子午線通りなる散策路もあります。

是非一度、この明石市立天文科学館およびその市内をご訪問ください。JSTと明石が深い関係にあることがよくわかると思います。

明石市立天文科学館へのアクセスは、JR山陽本線「明石駅」下車、山陽電鉄神戸方面行きに乗り換えて、一つ目の「人丸前」下車 徒歩5分です。

やっぱりJSTは明石で生まれるのか?

やっぱりJSTは明石で生まれるのか?
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前段を読むと、やはり明石でJSTをつくっているんだって、感じてしまいますよね。天文科学館の展示物のほとんどが子午線の関わるもので、日時計まであるのですから。

でもよく考えてみてください。JSTって秒単位で正確に計測され、市販の電波時計では毎日修正していますよね。 

実際に子午線上の太陽の観測でここまで正確な時刻って作れるのでしょうか?それに曇っている日は太陽の観測はできませんよね。

ではJSTの生まれる街、そろそろ種明かしをしましょう。

やっぱりJSTは明石で生まれるのか?
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明石の天文科学館の中に一枚のパネル展示があります。これによるとパネルの真ん中あたりに「情報通信研究機構」という機関があり、パネル内に「・・・日本標準時を決定し、発信している機関です」と説明がありますね。 

種明かしされましたね。まさにこの「情報通信研究機構」でJSTを生み出しているのですが、さて、ここって何処?っていう疑問がでますよね。

<明石市立天文科学館の基本情報>
住所:兵庫県明石市人丸町2-6 
電話:078-919-5000
アクセス:山陽電鉄 人丸前下車 徒歩5分
開館時間:9:30-17:00
入場料:大人700円

やっぱりJSTは明石で生まれるのか?
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道路上に、案内標識があります。ここが情報通信研究機構(以下NICTと略します)で、ここでJSTが生まれます。場所は東京都小金井市です。なんとJSTは小金井市で生まれていたんですね。「明石市じゃなかった!」んです。

この写真をご覧ください。この建物の入り口上部にデジタル時計がありますね。ここが生まれたばかりのJSTを表示しているんです。

ではこの施設を詳しく見ていきましょう

日本標準時が生まれるまでを検証しよう

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NICTへのアクセスは、JR中央線「武蔵小金井」もしくは「国分寺」下車、バスで最寄りのバス停前にあります。 

発足は旧郵政省の電波研究所で、その後数回の変遷を経て、現在は国立研究開発法人 情報通信研究機構となっています。 

この施設にはショールームが設置され、様々な研究開発の成果が展示されており、その一つが写真にある「JST生成」に関する内容です。

日本標準時が生まれるまでを検証しよう
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実際に施設内部は事前に申し込めば、何方でも見学できます。ただ一回に10名ほどの人数しか見学できないので、定員オーバーの時は、別の日に回されるなど調整が入ります。 

写真の奥の部屋が実際に稼働中の22台の原子時計が格納されています。ここでJSTが刻まれるんです。まさにJSTの源泉です。

原子時計は30万年に1秒以内の誤差で時を刻みます。

手前には、過去に稼働して、いまは引退した原子時計が説明用として展示されており、実際に手を触れることができます。

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NICTでは、係員の方がパネルを使って、わかりやすく説明してくれます。

そしてここで生まれたJSTがフランスにある「国際度量衡局」に提供され、度量衡局では各地から集められた標準時の情報を元に、「協定世界時」(以下UTC)が作られ、これを各地域に再配信して、世界各地域の標準時となっています。

日本はJSTを作って、かつUTCの再配信を受けて、さらにその差を修正しながら、日本の交通網や標準電波、インターネット時刻などに利用されています。

NICTではUTCとJSTの誤差が30万年に1秒以内の誤差となるよう管理されています。ものすごい精度でJSTって管理されているんですねえ。

JSTには2-3年に一度、うるう秒が挿入される。これってなあに?

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JSTに絡んで話題となるのが、うるう秒です。フランスにある国際度量衡局では、UTCの管理と共に、地球の自転も正確に計測しています。

地球に自転は潮の満ち引きによって徐々に遅くなって、実際のUTCとのずれが生じます。そのずれ量は原子時計の計測誤差よりはるかに大きいため、数年に一度うるう秒を挿入して、UTCを地球に自転に合せてきました。

うるう秒はUTC6月30日か12月31日の最後の秒の後に入れることが決まっています。そのためUTCより9時間進んだJSTでは7月1日か、1月1日の午前8時59分59秒の後、8時59分60秒が挿入され、そのあと9時00分00秒となります。直近のうるう秒挿入は2017年1月1日に実施されました。

NICTの玄関上の時計表示がうるう秒まで表示します。なにしろ生まれたてのJSTを表示する装置ですから。

<情報通信研究機構 本部の基本情報>
住所:東京都小金井市貫井北町4-2-1
電話:042-327-6375
アクセス:JR中央線 武蔵小金井下車 バス乗り場5番 小平団地行にて 情報通信研究機構前下車 徒歩2分
展示室開館時間:9:30-17:00(土日祝 年末年始休館)
入場料:無料

JSTには2-3年に一度、うるう秒が挿入される。これってなあに?
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実は、NICTの玄関と同じ表示をするデジタル時計がJR武蔵小金井の構内にあります。この時計もNICTで生まれたてのJSTを表示しています。すなわちリアルタイムでJSTを表示しており、こんな時計は他にはありません。

だからこの時計もうるう秒が挿入された瞬間の8時59分60秒が表示できます。

これ以外のデジタル電波時計は、最低1日1回 JSTに基づいた標準電波を受信して時刻を修正し、その後はその時計の持つ制度で時を刻みます。最近の時計は1日1秒以内の誤差なので、1日1回修正すれば、事実上正しい時を刻んでいるとして、問題のない範囲なのです

JSTには2-3年に一度、うるう秒が挿入される。これってなあに?
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武蔵小金井の構内に設置された、日本一正確な時を刻むデジタル表示時計、是非一度ご覧頂くことをお勧めします。

日本の時が生まれる街、ご理解いただけましたか?

日本標準時 JSTは 明石市の子午線上に太陽が来た時を基準に決めていることは、昔からその通りで、これは今でも変わっていません。
ただJSTを生み出しているところは、小金井市であったと言う事を、ご理解戴けたでしょうか? 

そして明石の天文科学館と小金井のNICTの両方を訪問すると、「時」についての興味と見識が豊かになると思います。 

是非両都市を、ご訪問されることを強くお勧めします

基本情報は2018年10月時点の情報です。詳細は公式サイト等でご確認ください

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/12/06−2017/12/26 訪問

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