写真:Etsuko Ciao
地図を見るトスカーナ州のロッカルベーニャは、マレンマ地方内陸の山間にあります。イタリア人でさえ初めて知ったというほど隠れ家的な町。トスカーナ州は、フィレンツェやシエナをイメージしやすいですが、マレンマは地理的にも異なる文化圏。内陸なだけに諸外国・国内からも敵の侵略にあいにくく中世時代がほぼそのままに残っています。
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地図を見る身を寄せ合うよう建ち並ぶ家々は可愛らしいテーマパークのよう。ロッカルベーニャのロッカ(rocca)は、イタリア語で岩山の意味。家々を囲むように険しい岩山が立ちはだかっています。第2次世界大戦中、空襲がくると人々は岩山へ逃げたそうです。
このロッカルベーニャの岩が、イタリアと世界で1位を受賞した「イル・フィオリーノ」のぺコリーノチーズ熟成を支えているのです。
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地図を見る写真:Etsuko Ciao
地図を見る「イル・フィオリーノ」はロッカルベーニャの羊飼い家族であったドゥリオ氏と、彼の家族によって1957年創立しました。ロッカルベーニャではその昔、牧草を求めて山から山へ移動し、アレッツォまで羊を連れて移動していました。その距離約135km。マレンマは何か月も雨が降らないことがあるのです。イタリア全国で雨が降らない時は、マレンマは干ばつ。ロッカルベーニャとアレッツォを行ったり来たり、牧草を求めて大移動を繰り返していたのです。
この大移動をイタリア語で「トランスマンツァ(transumanza)」と言い、トランスマンツァは今まさに世界遺産になろうとしています。
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地図を見る創立者ドゥリオ氏がチーズ作りでこだわり抜いたのは、清潔、伝統製法、手間を惜しまぬこと、職人による手作りであること。ペコリーノチーズ(羊のチーズ)工房として発展を遂げ、1986年に現代的な工場をロッカルベーニャの町から少し離れたパイオライオに建設し移転。現在に至っています。製品はヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアそして日本に輸出されています。従業員30人全員がロッカルベーニャからの採用です。人口300人の町の雇用にも大きく貢献しています。
工場に隣接された売店には、近隣のドイツ、スイス、フランスからもまとめ買いに来るほどの人気。それもそのはず、ペコリーノチーズ界においてイタリアと世界で1位、ガンベロ・ロッソからも称賛された偉大なチーズ工場なのですから!
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地図を見る直近での国内受賞は、2007年「ペコリーノ・トスカーノDOP」がクレモナでBest of the bestを受賞。2017年「リセルヴァ」がItalian cheese awardsで最優秀賞、更に同大会でリコッタチーズ「フィオル・ディ・ペコラ」が特別賞受賞、ダブル受賞の年となりました。
国際的には、2008年、2009年の国際チーズ大会Cheese of the yearにて「トスカーノDOP」が最優秀賞を受賞。2013年6月Valley of the Loireにて「リセルヴァ」が金賞受賞。2014年11月ロンドンにて世界最高のペコリーノチーズとしてスーパーゴールド賞を受賞しました。
DOP(Denominazione di Origine Protetta)とは、EUの定めた原産地名称保護制度で最高ランクの食品に対する品質認定表示です。
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地図を見る羊は日中に草を食べて、夜ミルクが絞られます。50〜100匹までの羊は手絞りで行われています。全て地元ロッカルベーニャでとれた羊のミルクで、遠くても50km迄の範囲でとれたものです。朝6時から農家を循環して集め、その集められた大量のミルクは工場へ運ばれ、チーズとなる行程を歩んでいきます。
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地図を見る全ての工程は機械ではなく職人による手作業で行われています。それは、創業以来のこだわりで「手作りの特徴」を与えたいという思いが込められています。
工場内は清潔に保たれ、手際よく作業が進められています。殺菌されたミルクは、専用のホースから型へ入れられます。型は製品により大きさが異なります。
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地図を見るイル・フィオリーノで作られているペコリーノチーズは40種類。リコッタチーズ、ペコリーノ・トスカーノDOP、熟成されたスタジオナート等、選りすぐりのチーズばかり。詳しくは関連MEMOの公式サイトからご覧下さい。
時期によりトリュフ入りのペコリーノチーズも造られ、細かく散りばめられたトリュフの芳醇な香りが工場内に漂います。
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地図を見る型に入れられたミルクは、職人が手で塩をふります。最初は37度の温度で酸味を与え、朝から午後にかけて5−6時間置き、その後、工場内の5-6度の冷蔵室で約20日間置きます。
次に場所を変え、岩穴の冷蔵室にてじっくりと時間をかけて熟成します。岩穴の冷蔵室の湿度70%ですが、気温がマイナス10度のため湿気は全く感じません。
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地図を見る真夏の太陽がじりじりと降り注ぐ時期も、岩穴の冷蔵室へ一歩足を踏み入れるとひんやり別世界!ペコリーノチーズは、種類により6か月、1年、1年半熟成します。
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地図を見るイル・フィオリーノでは新たな試みとして「2年熟成リセルヴァ」に取り組んでいます。2週間ごとにブラシで磨き、保存料なしで自然の中で熟成するために非常に手間がかかる貴重なチーズです。
2年熟成リセルヴァは、2018年12月発売予定としています。全世界で180個だけの貴重なトライアル販売で、発売予定地はヨーロッパ、日本、中国です。
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地図を見る味わい深い数々のペコリーノチーズは、工場隣接の売店で購入可能。大きさは希望により1/2、1/4カット等にできますし、既にカットされたものも店頭にあります。テイスティング希望を店頭で伝えると、5種類準備してくれます。写真は左がフィオール・ディ・ナトゥーラ・セミスタジオナート(6か月熟成)、右がペコリーノ・アル・タルトゥーフォ(トリュフ入り)です。
写真:Etsuko Ciao
地図を見るテイスティングで一番のおすすめは1位授賞の「リセルヴァ」。選ばれたミルクから伝統的製法で作られ、岩穴で保存料無しで熟成します。創立者ドゥリオ氏の娘アンジェラと、彼女の夫シモーネがドゥリオ氏に感謝の気持ちで捧げたチーズです。
口の中でほんのりとしたミルク感と、ほのかな塩味が味わい深さを引き立たせます。食べ終わった後も品の良さを感じるチーズです。
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地図を見る店内はチーズと併せていただくことが多いハチミツやジャム、ワインも販売しています。最高級のチーズとの組み合わせを迷ったら、店員さんと相談しながら購入するのもいいですね。
住所:Localita Paiolaio 58053 Roccalbegna (GR)
電話番号:+39-0564-989059
ファックス:+39-0564-989067
販売店営業時間:月曜日-土曜日9:00〜13:00、15:00〜19:00
※日曜日定休
ロッカルベーニャへのアクセスは、ローマからグローセットまで電車で1時間半、グローセットからは車で1時間少々で到着。
2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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