会場に入ると、フェルメールが活躍した17世紀オランダの絵画が並んでいます。どれも選りすぐりの良品ばかり。当時の社会や芸術のことを知って、フェルメールの作品をますます楽しみましょう。
こちらは、肖像画の第一人者フランス・ハルスによる商人の夫婦の肖像画。17世紀オランダでは、彼らと同じような一般市民が絵をたくさん買い求めていました。
・フランス・ハルス《ルカス・デ・クレルクの肖像》1635年頃《フェインチェ・ファン・ステーンキステの肖像》1635年、アムステルダム国立美術館
こちらは聖書の一場面を描いた作品。聖書や古代ギリシア・ローマ神話を描いた「物語画」も人気のテーマでした。「物語画」は、歴史や文学などへの深い知識や複雑な画面を構成する力が必要なため、当時は格の高いジャンルと見なされていました。
市民の暮らしを描く風俗画家として活躍したフェルメールも、画業の初期には宗教画などに挑戦していたそうです。
・ヤン・ファン・ベイレルト《マタイの召命》1625-1630年頃、カタリナ修道院美術館、ユトレヒト
・パウルス・ボル《キュディッペとアコンティオスの林檎》1645-1655年頃、アムステルダム国立美術館
狩りの獲物を描いたこの作品は、ふわふわと柔らかそうなウサギのお腹の毛が目を引きます。写真や印刷では伝わらないその魅力を、会場でお楽しみ下さい。
このようなリアルな静物画も当時人気があり、動物の他、花や果物、器なども描かれました。
・ヤン・ウェーニクス《野ウサギと狩りの獲物》1697年、アムステルダム国立美術館
作品から、描かれた当時の社会を知ることができることも、絵を見る楽しみの一つです。
17世紀に黄金時代を迎えたオランダは海洋国家。左は、北極海での捕鯨の様子です。船にはオランダ国旗が誇らしげに掲げられ、クジラやホッキョクグマを仕留めている様子が描かれています。
右の絵は、オランダ人の重要な食糧源にして輸出品であるニシン漁の様子です。
・アブラハム・ストルク《捕鯨をするオランダ船》1670年頃、ロッテルダム海洋博物館
・シモン・デ・フリーヘル《海上のニシン船》1649-1650年頃、ロッテルダム海洋博物館
風俗画も沢山描かれ、人々が仕事に打ち込む姿、家族の情景など、様々な作品が残っています。
食卓を囲んで陽気な騒ぎを繰り広げてる人々を描いたこの絵の作者ヤン・ステーンも、人気の風俗画家の一人。ユーモアと活気のある場面は、見ていて楽しくなる作品です。
今回の展覧会では、作品解説のパネルはありません。入口で手渡される青い小さなブックレットに全点の解説が書かれています。絵の内容が気になる時には、番号を確認してページをめくりましょう。
・ヤン・ステーン《家族の情景》1665-1675年頃、アムステルダム国立美術館
こちらの2点の作者のメツーは、フェルメールにも影響を受けたという風俗画家。どこか雰囲気が似ていますね。宝石のように美しいこちらの2点は彼の代表作なので、絶対に見逃さないようにしましょう。
こちらは対の作品で、左は恋文を書く若い男性。右は、その手紙を読む女性が描かれています。どのような内容が書かれていたのか? 会場で作品を見ながらヒントを探してみましょう。
音声ガイドも無料で借りられるので、より詳しい内容を知ることもできますよ。
・ハブリエル・メツー《手紙を書く男》《手紙を読む女》1664-1666年頃、アイルランド・ナショナル・ギャラリー、ダブリン
いよいよフェルメールの作品と出会える部屋に来ました。会場の最後には、フェルメールの絵を纏めて展示した「フェルメール・ルーム」が用意されています。最大8点ものフェルメール作品を1つの部屋で見ることは、海外の美術館でも経験できません。初期から晩年までの名品が展示され、特別な雰囲気を作り出しています。
※この展覧会では、会期中に一部の絵の入れ替えがあり、合計9点のフェルメール作品が展示されます。
一際大きなこちらは、フェルメールが若い頃に手掛けた作品。風俗画ではなく、新約聖書の一場面で、現在知られる彼の作品の中では、唯一の聖書をテーマとしています。
・ヨハネス・フェルメール《マルタとマリアの家のキリスト》1654-1655年頃、スコットランド・ナショナル・ギャラリー、エディンバラ
手紙を書きながら顔を上げて、微笑む若い女性。先ほどのメツーの、手紙を交換する男女の絵のように、この時代のオランダ絵画には、手紙を読んだり書いたりする人物がしばしば登場します。この絵の女性が書いているのは、果たして恋文なのでしょうか・・・?
・ヨハネス・フェルメール《手紙を書く女》1665年頃、ワシントン・ナショナル・ギャラリー
こちらの《牛乳を注ぐ女》は、フェルメールの絵の中でも特に有名な1枚。今回の展覧会でも、図録の表紙やグッズのモチーフなどに取り上げられています。
柔らかな光が、傍らの窓から注ぎ込む室内。使用人の女性が、牛乳を鉢に注ぐという作業に集中して取り組んでいます。まるでその行為が永遠に続くかのよう・・・。静謐な画面は宗教画のように厳かで、見る人たちを魅了してきました。
縦横50センチにも満たない小さな作品。時を忘れてその魅力と向き合いたいですね。
・ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》1658-1660年頃、アムステルダム国立美術館
作品の細部にも注目しましょう。女性の服は、いかにもゴワゴワして固く厚手の布地でできているように見えます。先ほどの《手紙を書く女》の、毛皮の縁取りのついた高価で柔らかそうな上着とは対照的です。
また、光の当たっているパンの固そうな様子にも注目です。
・ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》(部分)1658-1660年頃、アムステルダム国立美術館
今回の展覧会の目玉である《牛乳を注ぐ女》をモチーフにしたオリジナル・グッズが作られています。
中でもこちらの《牛乳を注ぐミッフィー》のぬいぐるみは大人気で、既に初回生産分が完売とのこと。今後は産経ネットショップでお買い求めいただけます。詳しくは、記事一番下の「関連MEMO」より公式サイトをご覧ください。
その他にも、公式キャラクター「ミルクさん」グッズや、化粧箱入りの豪華な布張りの公式図録、フェルメールの作品モチーフをデザインした、近沢レース店のタオルハンカチなど、ここでしか買えない品が沢山並びます。
いかがでしたか? フェルメールの作品の多くを同時代の優れた絵画と共に楽しめる、二度とないこのチャンスを逃さないようにしましょう!
また、17世紀オランダを舞台とした映画「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」が公開中の他、Soup Stock Tokyoでは11月2日(金)までの期間限定で《牛乳を注ぐ女》をイメージした特別メニューも販売。オランダ産ゴーダチーズとマスタードを使って、当時の味をイメージして作られました。(Also Soup Stock Tokyo、おだし東京、家で食べるスープストックトーキョー各店を除く)
※展覧会場にはSoup Stock Tokyoの店舗はありません。
その他様々なタイアップ企画があるので、この秋はフェルメールと17世紀オランダの世界を楽しみましょう!
展覧会名:フェルメール展 Making the Difference:Vermeer and Dutch Art
会期:2018年10月5日(金)〜2019年2月3日(日)
※会期中、一部作品の展示替えがあります。
「赤い帽子の娘」10/5(金)〜12/20(木)、「取り持ち女」1/9(水)〜2/3(日)
休館日:12月13日(木)
開館時間:9:30〜20:30(入場は閉館の30分前まで)
※開館・閉館時間が異なる日があります。
入場方法:日時指定入場制
前売り日時指定券:一般2,500円 大学・高校生1,800円 中学・小学生1,000円
※チケット購入方法は、記事一番下の「関連MEMO」から公式サイトをご覧ください。
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
アクセス:JR上野駅 公園口より徒歩3分
東京メトロ・京成電鉄 上野駅より徒歩5分
※駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
お問合せインフォメーションダイヤル
電話番号:0570-008-035(オペレーター対応 9:00〜20:00)
2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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