世界を作った美しい本たち スイス・ボドメール博物館は歴史マニア必見の秘境

世界を作った美しい本たち スイス・ボドメール博物館は歴史マニア必見の秘境

更新日:2018/10/13 09:52

藤 華酉のプロフィール写真 藤 華酉
はじめに言葉があった―――とは、聖書の有名な一節ですが、人類の歴史が言葉に始まり、文字に書き留められて定着した事は間違いありません。古くはウルクのギルガメッシュ叙事詩から、グーテンブルクの活字印刷、日本の伊勢物語まで。古今東西、あらゆる人類の智を集結した場所が、スイス・ジュネーブの「ボドメール博物館」です。数千年に渡って世界を造った美しい本が実在する事を、この目で見てはみませんか。

ボドメール博物館とは?知られざる歴史の宝庫

ボドメール博物館とは?知られざる歴史の宝庫

提供元:Wikipedia

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:BodmerSud.…

ボドメール博物館は、スイス・ジュネーブの郊外にある古文書博物館です。実はこの博物館、長い間研究者にしか公開されていない、知る人ぞ知る秘密の書庫でした。
コレクションは、裕福なスイスの収集家、マルタン・ボドメール氏が一生を賭けて集めた古書の数々
。ボドメール氏の死後、財団が2003年に博物館をオープンした事でようやく研究者ではない人々にも人類の英知が公開されるようになりました。一代で集められたとは信じられない、数千年に渡るコレクションは、まさに人類の文明の歴史を物語っています。

最古の文学、最古の歴史 人間の始まり

最古の文学、最古の歴史 人間の始まり

写真:藤 華酉

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最古の文学は、ギルガメッシュ叙事詩だといわれています。しかし、その物語は非常に欠損が多く、全てが明かされた訳ではありません。そんな貴重な一遍がボドメール博物館にあるのです。紀元前の粘土板が写真撮影OKの状態で公開されているとは!その太っ腹さに驚くより他ありません。
また、パピルスに記載されたエジプトの古文書など、歴史の教科書でしかお目にかかれない、繊細で、移動させようとすれば壊れてしまうような資料が間近で見学できるのも魅力です。

最古の文学、最古の歴史 人間の始まり

写真:藤 華酉

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世界最初の活字印刷16世紀の「グーテンベルク聖書」や紀元前8世紀のホメロス写本、シェイクスピアの戯曲と言った西洋史を変えた書物だけではなく、コーランや漢書の展示も充実しています。歴史好きにとっては、一館で世界中の遺跡をくまなく旅している気持ちになれますね。
この一冊が人類史を進化させたというような医学書から、罪の無い人々の血を流したという異端書まで。展示は、書物によって移り変わる人類の歴史そのものです。

最古の文学、最古の歴史 人間の始まり

写真:藤 華酉

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なんだか地味な写真ばっかりだな…とお思いになられたかも知れませんが、実物の古書は金箔や彩色が鮮やかで、宝石のような魅力があります。
本当にインスタ映えするか?と問い質されると押し黙らざるを得ない地味さがある事は事実ですが、歴史好きが常人の三倍は写真を撮るであろうマニアックさも、ボドメール博物館の魅力です。

文字だけじゃない!奥深い古文書の世界

文字だけじゃない!奥深い古文書の世界

写真:藤 華酉

歴史好きにとってはこれだけでスイス行きの飛行機のチケットの値段を調べ始めてしまう所ですが、黴臭い古書に興味はない方も楽しめるのが人類の英知。
貴書界では、「楽譜」や「地図」、更には「設計図」まで収集対象に含まれています。
モーツァルトやワーグナーの手書きの楽譜、レオナルド・ダ・ヴィンチの兵器の設計図など、コレクションは「見覚えがある…!」の宝庫です。

日本の歴史も世界の一部 ボドメール博物館で知る価値

日本の歴史も世界の一部 ボドメール博物館で知る価値

写真:藤 華酉

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ボドメール博物館が誇る書物の一つが、「伊勢物語」の写本。平安時代の一品です。早くも8世紀には固有の言語で、明確なストーリーのある長編が書かれていたという事実は、西洋の人々にとっては衝撃的でした。遠いスイスで「伊勢物語」が絶賛されているというのは、観光客にとっては嬉しい事ですね。
歴史的な書物だけではなく、日本関連品では漫画も注目されており、しばしば企画展が開かれています。

ボドメール博物館へのアクセス

ボドメール博物館へのアクセス

写真:藤 華酉

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ボドメール博物館は、ジュネーブ近郊の小高い丘の上にあります。展示物が余りに素晴らしいのでつい紹介し忘れてしまいますが、モダンな博物館そのものの建築や博物館からの眺めも人気ですよ。

ボドメール博物館へは、リブ広場からバスで10分程度。
バスラインAで「 コロギューテンプル駅(Cologny-Temple)」または、バスライン33で「コロギュー駅( Croisée de Cologny)」下車、徒歩5分です。
周囲は閑静な高級住宅街。風光明媚なジュネーブの町並みが、スイス観光の気分を盛り上げてくれます。


<基本情報>
住所:658J+47, 1223 Cologny,スイス
電話番号:+41 22 707 44 33
開館時間:14:00-18:00
休館日:月曜
入場料:CHF15

2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

奥深くマニアックな古書の世界

一日にたった4時間しかオープンしていないなんて!時間が足りない!と右往左往する訪問者もいれば、どう解説を読んでも黴臭い紙の展示なんて30分も見てられないぞ、と併設のカフェでジュネーブの遠景を楽しんでしまう人がいるのもボドメール博物館。
午後のみの開館、展示品の解説はほとんどがフランス語のみ、公式HPの情報の乏しさと言い、本当に世界中の人類の英知を伝える気があるのか!?という商売っ気の無さも、まさに「分かる人だけ分かれば良い」の世界ではないでしょうか。
ボドメール博物館はマニアによるマニアの為の博物館といえるかも知れません。
しかし好きな人にとっては、贅沢で、奥深い時間を過ごせる事は間違いありません。現代技術で保護され、展示された人類の歴史そのものを、ぜひその目で確かめて下さいね。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/01/02 訪問

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