写真:Ise Shinkurou
地図を見る敷地内でまず目に留まる風変わりな蔵。将棋の駒のような形に見えるので「駒蔵」とも呼ばれています。
幕末頃の建築ですが、屋根の形に特徴がありとってもオシャレな蔵だと思われませんか?実はこの蔵には面白い仕掛けが!四方の壁が少しですが内側に向かって傾いているのです。つまり柱を垂直に建てない「四方ころび」といわれる技法です。
安定感を出すための建築技法で、お寺の鐘堂などでよく使われています。この技法を使って建てられた蔵は本当に珍しいですよね。
江川坦庵は大砲を製造した人物ですので、大砲・砲弾・弾丸など重量のある物を扱う江川邸ならではの蔵だと思われませんか?一見の価値のある珍しい建物です。
では史跡にもなっている、代官屋敷としての威厳を備えた素晴らしい主屋をご紹介します。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る1696年建築の「表門」は武家屋敷の正式な出入り口ですが、代官屋敷らしい威厳を備えた立派な門。
ここではNHK大河ドラマ「篤姫」の撮影も行われました。正面から駕籠に乗り込む篤姫の、凛とした立ち姿を、覚えて見える方もあるのではないでしょうか。
また門の側には北条早雲が植えたと伝えられる木が!漢方薬としても利用される「キササゲの木」ですが、落葉樹ですので冬に訪問された方は「えっ?枯れているの?」と思われるかもしれませんね。でも春から夏にはみずみずしい緑の葉を茂らせマメのような実をつけます。
実はこの古木こそ戦国をくぐり抜け、太平の時代を生き抜き、そして幕末の動乱まで見つめ続けてきた歴史の証人です。是非じっくりとご覧ください。
では主屋の内部へ。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る50坪もある土間の内部は、天井板が張られていなので、屋根の架構が剥き出しになっています。クギを使わずに組まれた屋根裏の桁が、数百年前の姿をさらけ出し、息を呑むほど素晴らしい景観を創り出しています。是非ゆっくりと上をご覧下さい、感動される事間違いなしですよ。
また土間には、ペリーが幕府に献上した砲車や、オーブン型のパン窯、現役のかまど等珍しい品が置かれています。砲車は複製された大砲と共に展示されているので、当時の様子が目に浮かびます。こちらも一見の価値ありの歴史の証人ですね。
そして是非土間で見て頂きたい柱があります。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る入り口近くにある柱にご注目下さい。基礎となる礎石(そせき)の無い柱です。実は1200年頃に、江川一族がここに移り住んだ時に、生きた木をそのまま柱として利用したものと言われています。
後に屋敷を修理する時、不審に思い1メートル程根元を掘り下げましたが、根が現れないのであきらめたと伝わります。700年以上もの長い間、屋敷内で最も神聖な柱として大切にされてきました。存在感のあるこの柱も、時の流れを見つめてきた歴史の証人なのですね。
最後に「韮山塾」と呼ばれる、多くの有名人が学んだ部屋をご紹介しますね。
幕末になると、黒船の来航をきっかけに国防への不安が広がります。江川坦庵は蘭学だけでなく特に兵学への関心を強め、渡辺崋山・高野長英らと交際しながら、若者への指導を始めます。それが「韮山塾」。
多くの若者たちがここで西洋砲術を学び、それが世界的にも評価される「韮山反射炉」の設計へと結びつきました。
机の前に座ると時代を憂う幕末の若者の叫びが聞こえそうですよ。名簿には幕末の有名人の名前が多くあり、実に3000人以上の塾生がここで学び、日本の近代化への基盤を造りました。
また坦庵が設計した「韮山反射炉」は世界遺産登録への動きが始まっています。この部屋で、その原動力となった若者の息吹を感じて頂きたいです。
「江川邸」
開館時間 9:00〜16:30(受付は16:15まで)
入場料 韮山郷土資料館との共通券 400円
休館日 年末年始(12月31日〜1月1日)
伊豆の国市にある代官屋敷「江川邸」は国の史跡として、蔵・主屋などの古い建物が多く残っています。歴史の証人のような古い建物を廻りながら、700年の時の流れを感じて頂く事が出来る面白い場所です。
そして近代産業遺産「韮山反射炉」へはここからお車で3分程ですので、併せて訪問されると愉しめるのではないでしょうか。
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(2023/12/1更新)
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