茨城百景の神秘と眺望の霊山・西金砂神社

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茨城百景の神秘と眺望の霊山・西金砂神社

茨城百景の神秘と眺望の霊山・西金砂神社

更新日:2018/10/19 17:23

大木 幹郎のプロフィール写真 大木 幹郎 巨木マニア、中級登山者、ブロガー

茨城県の北部は山谷の景勝地が豊富な地域で、袋田の滝や竜神峡などが有名です。この地域は風光明媚な山中に、由緒ある社寺が点在することも魅力。その一社は常陸太田市の西金砂神社。西金砂山に平安時代に創建された古社です。大木が茂る静謐な境内、貫禄ある2本の御神木、荘厳な社殿。境内は茨城百景のひとつで、山岳風景は水戸藩主も称賛。常陸の神秘と眺望の霊山をご案内します。

西金砂神社〜常陸太田の霊山・西金砂山に鎮座する古社

西金砂神社〜常陸太田の霊山・西金砂山に鎮座する古社

写真:大木 幹郎

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西金砂(にしかなさ)神社は常陸太田市の北西部、西金砂山(標高418m)に鎮座。山頂一帯に広がる境内は、貫禄あるサワラとイチョウの御神木をはじめ、大木が茂る豊かな山の自然に包まれています。社殿は山岳信仰の古社らしい荘厳な佇まいで、この本殿が建つのは素晴らしい展望の山頂。詣でれば心が晴れ渡るような、清浄なる常陸の霊山です。

西金砂神社は社伝によると、延暦25年(806)3月に宝珠上人による創建。後に慈覚大師により中興され、古くは金砂大権現と呼ばれた天台宗の山岳寺院。平安〜戦国時代には、常陸太田を拠点とした佐竹氏から守護神として崇敬。江戸時代には朱印地を受領し、水戸藩主からも崇敬されました。

西金砂神社〜常陸太田の霊山・西金砂山に鎮座する古社

写真:大木 幹郎

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西金砂神社の境内は、茨城百景に選ばれた美景です。本殿の建つ山頂は、西側が約100mもの落差がある展望の断崖。そんな西金砂山は、かつて佐竹氏の金砂城も在った天然の要害。山頂の眺望は、久慈川の中流域を囲む幾重もの穏やかな山並。遥かに遠く霞む日光や那須の高山。一帯の山林には落葉広葉樹が多く、新緑や紅葉(11月上旬)の彩りも見事。第9代水戸藩主の徳川斉昭は、この眺望を短歌に残しています。

「望むれば 心の隅も 打ち晴るる さやかに匂う 遠の山の端」

西金砂神社〜常陸太田の霊山・西金砂山に鎮座する古社

写真:大木 幹郎

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西金砂神社には2本の立派な御神木があります。茨城県で最大級のサワラとイチョウの巨木です。樹齢700年以上の老樹は、古くから連綿と続く大祭礼を見つめてきました。

西金砂神社には、72年周期で行われる大祭礼と、6年周期で行われる小祭礼があります。両祭礼とも平安初期から始まり、当社と各地の祭祀場を巡り、田楽舞(国と県の無形文化財)を奉納し、天下泰平と五穀豊穣を祈願。大祭礼は大規模。長蛇の行列で約7日間かけて、日立市の水木浜まで往復。次回の執行は、大祭礼が2075年3月、小祭礼が2021年3月。

西金砂神社の御神木〜茨城県最大のサワラ

西金砂神社の御神木〜茨城県最大のサワラ

写真:大木 幹郎

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西金砂神社のニ之鳥居の前に並び立つ巨木。神社のシンボルともいえる立派なサワラとイチョウの御神木です。この樹種の巨木が並び立つ景観は、全国的にも珍しいものでしょう。推定樹齢は740年。この老樹たちは移り変わる長い時代の中で、何度も大祭礼を見つめてきました。

西金砂神社の御神木〜茨城県最大のサワラ

写真:大木 幹郎

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西金砂神社のサワラは茨城県指定の天然記念物。大きさは環境省の巨樹巨木林データベースでは県内最大。幹周は6.5m、樹高は30mに達します。老木ながら活力は衰えておらず、背は高く円錐形に枝葉を茂らせた立姿。全国的にも稀なサワラの巨木でしょう。

西金砂神社の御神木〜黄葉が美しい大イチョウ

西金砂神社の御神木〜黄葉が美しい大イチョウ

写真:大木 幹郎

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西金砂神社のイチョウもサワラと同じく県指定の天然記念物。大きさは環境省の巨樹巨木林データベースによると、幹周は8.2m、樹高は30m。県内最大級の立派なイチョウの巨木です。

西金砂神社の御神木〜黄葉が美しい大イチョウ

写真:大木 幹郎

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御神木のイチョウの立姿は、太い幹が中腹から複数の大枝に分かれ、箒状に伸び広がったもの。枝張りの広大な堂々たる巨木なので、黄葉(11月上旬)の鮮やかさとボリュームは実に見事。なお、このイチョウは実の生らない雄株です(イチョウは雌雄異株)。

西金砂神社の境内と珍しい名前の由来

西金砂神社の境内と珍しい名前の由来

写真:大木 幹郎

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山頂一帯に及ぶ西金砂神社の境内は、豊かな山林に包まれ、社殿や参道には大木が並びます。この参道は、二之鳥居から奥へ続く雰囲気の良い石段。ここから約5分、石段を登り社叢の中を少し歩けば、拝殿の前へ至ります。なお、社務所は道路に面した境内の手前。この位置から右手奥にある建物で、御朱印はそこで頂けます。

西金砂神社の境内と珍しい名前の由来

写真:大木 幹郎

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西金砂神社の立派な拝殿。正面に立つ杉の御神木が印象的です。山頂の本殿へは、拝殿の向かって左側にある階段から先、尾根伝いに進みます。

西金砂神社の名前に西という方角が付くのは、東にも対を成す神社があるためです。東に直線距離で約3km、東金砂山に鎮座する東金砂神社。由緒は同じで、宝珠上人による延暦25年(806)の創建。東西で二社あるのは、勧請した日吉大社(滋賀県大津市)に、東本宮と西本宮があることに倣ったとも考えられます。

西金砂神社の境内と珍しい名前の由来

写真:大木 幹郎

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拝殿から本殿までの道のりは約10分。参道は途中で山中らしく野趣ある雰囲気に。最後に急な石段を登れば山頂。大きな岩盤の上に建つ本殿へ至ります。

さて、神社の金砂という名前の由来。諸説あるようですが、砂金にも関係がありそうです。茨城県の北部の山域には金鉱があり、戦国時代に佐竹氏に開発された多くの金山の名は、新編常陸国誌にも記述。その金山は、八溝山から久慈川沿いに続く八溝山地に集中。近隣である西金砂山の周辺でも、かつては砂金が採られた可能性も?

西金砂山の山頂〜磐座に建つ本殿と眺望

西金砂山の山頂〜磐座に建つ本殿と眺望

写真:大木 幹郎

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西金砂神社の本殿へ続く長い石段。一段登るごとに、本殿の姿と山頂での展望に期待が高まります。そして周囲には豊かな山林、杉の大木、山神を祀る祠。ここは拝殿や本殿の周囲と同じく、広大な山の境内地でも、特に静謐な空気を感じられる場所です。石段はとても急傾斜なので、下る際は慎重に足を運んでください。

西金砂山の山頂〜磐座に建つ本殿と眺望

写真:大木 幹郎

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ここは西金砂神社の本殿の向かって左側(西側)。すぐ足元は約100mほど切れ落ちた断崖で、素晴らしく開けた展望地です。古くから霊場として拓かれた西金砂山。山頂の断崖と、本殿の建つ大きな岩盤の露頭部である磐座。そして、美しい山岳風景の展望。人々はこの山に強く霊験を感じたことでしょう。

西金砂山の山頂〜磐座に建つ本殿と眺望

写真:大木 幹郎

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西金砂山の山頂から南西方向の展望。眼前に広がるのは、久慈川中流域の穏やかで美しい山並み。その遥か先には、那珂と水戸の平野部を越えて、筑波山の連峰を遠望できます(写真の左最奥)。

以上、西金砂神社の参詣のご案内でした。茨城県の北部は山谷の景勝地が豊富な地域で、風光明媚な山中に拓かれた由緒ある社寺が多いのも魅力。西金砂神社は平安初期に創建の古社。県内最大級の2本の御神木をはじめ、豊かな山林と大木に包まれた森厳なる境内。山頂には、磐座の上に建つ神々しい本殿と、美しい山並みの山岳風景。詣でれば心が晴れ渡る、常陸の神秘と眺望の霊山です。

西金砂神社の基本情報

所在地 :茨城県常陸太田市上宮河内町1915
連絡先 :0294-76-9251
駐車場 :有(境内手前の道路沿い)
交通車 :常磐道・那珂ICから約50分
交通電車:水郡線・山方宿駅からタクシー利用で約25分


■補足・車でのアクセス
県道29号線から近くに金砂の湯がある高橋で神社へ続く道へ入ります。約3.5km先で右手に金砂郷ポケットパークのある一之鳥居を通過。この先の約1.5kmの道は、道幅が狭いので対向車に注意して進んでください。

2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/11/17 訪問

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