写真:肥後 球磨門
地図を見る内子町の観光スポットになっている八日市護国地区は江戸時代から明治時代にかけて木蝋生産の拠点でした。木蝋の国内シェア70%を占めていたこともあり、多くの商人が一代で巨大な富を築いたといわれています。そのひとつが上芳我家(かみはがけ)です。主屋は格子窓を並べた大壁造りで、屋根は切妻造りの桟瓦葺。1階は黒い木製の出格子窓ですが、2階は白漆喰による塗籠格子(ぬりごめごうし)となまこ壁で構成されており、シンプルながらも重厚感があり、均整が取れた美しい外観をもつ建物です。
写真:肥後 球磨門
地図を見る上芳我家は本芳我家の分家ですが、本家同様に鬼瓦の上に帆掛舟をかたどった鳥衾(とりぶすま)が載っています。波に見立てた瓦と鳥衾から豪商の遊び心を感じます。
写真:肥後 球磨門
地図を見る室内で目を引く大きな大黒柱。入口を入ると広い土間があり、大黒柱はその真ん中にどっしりと立っています。三階の物置まで貫く豪胆な造りに日本建築の粋を感じます。
写真:肥後 球磨門
地図を見るおよそ1300坪の敷地内には帳場があった店舗や格式高い客座敷などが配置された主屋だけでなく、炊事場や仕舞部屋などの10棟が配されていて、桁違いの暮らしぶりを感じることができます
これらは平成2年に地場産業と豪商の住宅の関わりを示す点で貴重な遺構であると評価され、国の重要文化財に指定されました。
写真:肥後 球磨門
地図を見る中庭を囲むように、主屋、炊事場、仕舞部屋及び便所・産部屋、離れ座敷、風呂場棟が配置された豪商の屋敷の代表的な間取りを見ることができます。
炊事場の広さだけで30坪というのには驚かされます。ここで家族だけでなく使用人や木蝋職人なども含めた大勢の食事を作り、一軒の豪商を支えていたことが伺えます。
写真:肥後 球磨門
地図を見る主屋の二階に上がると、天井板がなく工事が途中で止まっています。当主が病気になったため工事を取りやめたといわれていますが、残っている図面から座敷が6部屋造られる予定だったことが分かっています。当主の趣味がそこここに生かされた豪華な部屋が完成しなかったのは少々残念な気もしますが、太い梁や木目の美しい床板だけからも当主のこだわりが伝わってきます。
写真:肥後 球磨門
地図を見る上芳我邸の母屋を抜けると木蝋資料館があります。この資料館は収蔵庫を改修したもので館内には木蝋製品や製蝋用具、木蝋生産工程の模型などが展示されています。「内子及び周辺地域の製蝋用具」として重要有形民俗文化財に指定された1444点のうちの一部を見ることができます。
写真:肥後 球磨門
地図を見る館内に入ると木蝋製造の過程を分かりやすく紹介したビデオが鑑賞できます。さらに12分の1に縮尺した、木蝋の原料となる櫨(はぜ)の収穫から生蝋(きろう)作り、生蝋から白蝋への加工、そして出荷までの7つの工程を表した模型で木蝋作りを詳しく学ぶことができます。
写真:肥後 球磨門
地図を見る櫨を原料とする蝋が、石油から作られるパラフィンに取って代わると木蝋作りは衰退してしまいましたが、かつてはクレヨンや口紅などの原料としても活躍していました。資料館ではそんな貴重な製品も展示されているのでお見逃しなく。
写真:肥後 球磨門
地図を見る上芳我邸は母屋や木蝋資料館の有料施設があるゾーンと母屋から中庭を挟んである釜場、出店蔵、物置、土蔵が建つ無料ゾーンがあります。その無料ゾーンの土蔵の中にあるのが「カフェ くら」です。
写真:肥後 球磨門
地図を見る土蔵内部は、カフェスペースと展示スペースに分かれています。厚い漆喰に囲われた店内はほっと一息つくのに最適な落ち着ける場所です。
写真:肥後 球磨門
地図を見る内子町内を散策して一息つくなら「じゃばらソーダ」はいかがでしょうか。「じゃばら」とは柚子やカボス、スダチように酸味が強く独特の香りを持った香酸柑橘の一種で、内子産のじゃばらを使ったサイダーはスッキリ爽やかな味わいでおススメです。
内子町の木蝋生産は石油製品の大量生産によって衰退しましたが、木蝋で財を築いた豪商の建てた建物は、今も歴史と風格を漂わせて残っています。木蝋の歴史と豪商の生活に触れる愛媛県内子町に訪れてみてはいかがでしょうか。
住所:愛媛県喜多郡内子町内子2696
電話番号:0893-44-2771
アクセス:松山自動車道 内子五十崎ICから約5分の内子町並駐車場から徒歩3分
2018年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/7更新)
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