トレンドはビールからワインへ!ワイナリー巡りでドイツの今を体感

トレンドはビールからワインへ!ワイナリー巡りでドイツの今を体感

更新日:2018/10/25 16:55

松田 朝子のプロフィール写真 松田 朝子 トラベルジャーナリスト、ライター
ドイツというとビールのイメージがありますが、良質な白ワインの生産においては、フランスと肩を並べるほど。そんなドイツワインは従来、甘口が主流でしたが、最近は食事とともに楽しめる辛口のワインが作られるようになりました。ドイツワインの潮流を変えたのは、世界のワイン造りの現場を体験した若手の醸造家たち。なのでワイナリーにはドイツの今が感じられます。これからのドイツ旅には、ワイナリー巡りもアリですね!

フランケンワインはアレの形のボトルが目印

フランケンワインはアレの形のボトルが目印

写真:松田 朝子

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ドイツ国内には13のワイン生産地があります。ワインの産地はライン川、またはその支流の川に沿ってあります。この辺りは北緯50度前後、北海道よりもさらに北になり、ブドウが栽培可能な土地の最北端と言われています。そんな冷涼な環境は、他の地域にはないブドウ品種を生み、それがドイツワインの魅力にもつながっているのです。

フランケンワインはアレの形のボトルが目印

写真:松田 朝子

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バイエルン州はロマンチック街道の起点、ヴュルツブルクを含む地域はフランケン地方と呼ばれ、ここで生産されるフランケンワインは、平たくて丸い、ボックスボイテルと呼ばれるボトルに入っています。買ってスーツケースに入れるにしても便利なこの形、「ヤギの陰嚢」がモチーフと言われます。これを女性が男性に質問すると、みんな嬉しそうに教えてくれるので、女性は知っていても、「なんの形?」と聞いてみてくださいね。小さいように見えますが、これでも750ミリリットル入っています。

フランケンワインはアレの形のボトルが目印

写真:松田 朝子

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ドイツ全体では、白ワインは65パーセント、赤ワインは35パーセントの醸造量ですが、このフランケン地方では、なんと白ワインが81パーセント!代表的な品種、シルバーナのワインは、従来のドイツワインの概念を覆してくれる、ドライな味です。

お城を見ながらワインティスティング!

お城を見ながらワインティスティング!

写真:松田 朝子

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お城や古い教会などが点在する、ヴュルツブルクの街を一望できるのは、ワイングート・アム・スタイン(Weingut Am Stein)のワイナリー。海抜210〜250メートルの高さの斜面にあるブドウ畑は、エコシステムとテロワール(土壌)に焦点を当て、徹底的なバイオダイナミック農法による作付けがなされています。

お城を見ながらワインティスティング!

写真:松田 朝子

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ここでは、スパークリングワインのティスティングもできる、セラーツアーがオススメです。見晴らしの良いテラスで傾けるスパークリングワインは映画のパーティーシーンのようにゴージャス!そのあとは撮影禁止の、ユニークな「石のセラー」にも行くことができます。

ワイナリーの敷地には、スペシャルゲスト用の宿泊施設もあり、3室で6人しか泊まれませんが、この繊細なワインを朝から晩まで、お城を眺めながら楽しむことができます。

お城を見ながらワインティスティング!

写真:松田 朝子

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泊まることが無理なら、せめて併設のレストランReisersで、料理とワインのマリアージュを楽しみたいもの。ちなみにここはミシュラン1つ星のレストラン。料理&ワインもさることながら、どこかの邸宅にお呼ばれしたみたいな、シックなインテリアの空間にも酔いしれたいものです。

最北のワイナリーで、希少なワインを楽しむ

最北のワイナリーで、希少なワインを楽しむ

写真:松田 朝子

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ワインの生産地として最北端のドイツ、中でも最も北に位置する、ザーレ・ウンストルート地方は、かつては東ドイツだった、ザクセン・アンハルト州にあります。ザーレ川とウンストルート川に挟まれたこの地域では、1,000年以上も前からブドウ栽培が行われていました。こちらも白ワインの比率は73パーセントと高く、代表的な品種は、ミュラー・トゥルガウ。酸味と果実味のバランスが良い、爽やかな味です。

最北のワイナリーで、希少なワインを楽しむ

写真:松田 朝子

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フライブルク・ウンストルートワイン醸造家組合は、この地域で最大のワイン生産者です。ザーレ・ウンストルート地方のブドウ畑のほぼ半分にあたる400ヘクタールを耕作しており、年間350万本のワインを生産しています。広大なセラーには、美しい彫刻が施された樽が並び、訪れる人をビジュアル的にも楽しませてくれます。

赤ずきんちゃんのスパークリングワイン

赤ずきんちゃんのスパークリングワイン

写真:松田 朝子

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ウンストルート川流域の街、フライブルクには1856年に創業のスパークリングワインのメーカー、ロートケプヒェン(Rotkappchen) の工場があります。旧東ドイツで生まれたここの商品は、ドイツ統一後には全国に広がり、今やドイツのスパークリングワイン市場での50パーセントのシェアを占めるという、絶大な人気を誇ります。

ちなみに、ロートケプヒェン とは、赤ずきんちゃんという意味です。赤いフィルムで覆われているスパークリングワインのボトルから、そんな名前がついたと言います。工場のスタッフも赤いユニホームで、赤ずきんちゃんのイメージです。

赤ずきんちゃんのスパークリングワイン

写真:松田 朝子

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毎年100,000人以上の来場者がいるという工場は、見学とティスティングのコースもあり、工場の歴史や、スパークリングワイン造りの工程などを知ることができます。中でも圧巻なのは、面積が1万3000平方メートルあるという、5階建てのセラー。ここにはドイツ一の規模、120,000リットル入るという、スパークリングワインの樽があるばかりでなく、120人まで収容可能なパーティー会場になっているのです。美しい彫刻が施された樽は、まさにアート!様々な色のライトに照らされて、おしゃれなクラブのようでもあります。ここでスパークリングワインとともに食事を楽しんだ後は、踊りたくなってしまうでしょう。

赤ずきんちゃんのスパークリングワイン

写真:松田 朝子

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また、この工場はドイツで最も古い工場のうちの一つ。そんな歴史的建物には、中庭を開閉式のガラス天井で覆った、最大800人まで収容できるコンサート会場があります。ここは大規模なスパークリングワインの試飲や企業イベントなどから、オペレッタやオーケストラ、ポップコンサートなど数多くのイベントにも使われています。

そんな風にロートケプヒェンはスパークリングワインの工場としてだけでなく、ドイツの歴史を感じる場としても、文化的イベントの拠点としても、訪れる人を楽しませてくれるのです。

ワイングラス越しに楽しむドイツ

ワイナリー巡りの良いところは、観光旅行では巡り会えない人に会えること、そしてワインに合う郷土料理の店(関連MEMO参照)を楽しめること。ブドウ畑からワイングラス越しに眺める風景は、ガイドブックにも載っていない、スペシャルなアングルで心に残るでしょう。

取材協力:ドイツ観光局

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/09/25−2018/10/01 訪問

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