涙で描いた鼠が動く!岡山総社市・宝福寺は雪舟修行の紅葉名勝地

涙で描いた鼠が動く!岡山総社市・宝福寺は雪舟修行の紅葉名勝地

更新日:2020/11/10 10:09

岡山県総社市にある有名な「宝福寺」。井山宝福禅寺ともいわれ、臨済宗東福寺派の中本山でご本尊は虚空蔵菩薩です。ここは後に画聖として有名になる雪舟が幼少の頃に修行したお寺で、雪舟が涙で描いた鼠が動き出したという逸話が残されているのです。

そして総社市の中でも指折りの紅葉名勝地!山門から既に見事な彩りが広がり、奥に進むと色鮮やかな国指定史跡「三重塔」も。間違いのない感動を与えてくれることでしょう。

井山宝福寺の山門と少年雪舟像

井山宝福寺の山門と少年雪舟像
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正面に大きな駐車場が完備されている井山宝福寺は、その山門の様子がすでに芸術的な美しさとなっています。秋には色付く木々と白塀のコントラストで、中に入る前から多くの人が足を止め、じっくりとその絶景の撮影を楽しむのです。

井山宝福寺の山門と少年雪舟像
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山門の左側に行くとそこには少年雪舟像が。さて、彼はなぜ縛られているのでしょうか?その逸話はこのようなものです。

時は室町時代、総社生まれの雪舟はこの寺で修行していました。何よりも絵を描くことを好んだ雪舟は、あまり修行もせず絵ばかり描いていました。そこで師匠はこれでは彼のためにならないと反省を促すため、紐で縛り柱に括り付ける事態に!

これには困り果てた少年雪舟。そして好きな絵を描くことが出来なくなった雪舟は涙を流しました。

井山宝福寺の山門と少年雪舟像
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しばらくして師匠が様子を見に来ると、鼠が一匹、逃げようとするではありませんか。慌てて捕らえようとすると、今度はまったく動きません。よく見るとその鼠は濡れた線で描かれていたのです。雪舟に事情を聞くと、彼は自分の流した涙を使い、足の親指でその鼠を描いたとのこと。これ以降、師匠は雪舟が絵を描くことをまったく咎めなくなったと伝わっています。

山門をくぐると更なる紅葉の世界

山門をくぐると更なる紅葉の世界
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宝福寺の創建は不明ですが、鎌倉時代の貞永元年(1232年)に禅僧・鈍庵慧總によって禅寺になったとされます。その前は天台宗の寺院であったことから、さらに古い時代からあったことになります。

山門をくぐると更なる紅葉の世界
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山門をくぐると更に美しい紅葉の世界。特に外塀の美しさが和の空間を演出しているといえるでしょう。

山門をくぐると更なる紅葉の世界
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緑の苔の絨毯の上に散りばめられた落ち葉。じっくりと秋の気配を楽しんでみてはいかがでしょうか。

微笑観音と縛られた雪舟

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奥に進み、仏殿の左を抜けて裏に回ると、優しい尊顔の微笑観音菩薩が。真っ赤な落ち葉の美しさも尊い感じがするかもしれません。

微笑観音と縛られた雪舟
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微笑観音を左側に見ながら直進すると、方丈に着きます。その前には山門脇とは異なった少年雪舟像がありますが、こちらはまるでお地蔵さんのように見えるかも。

微笑観音と縛られた雪舟
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なお、池などの水場があることから、時に青い宝石と言われるカワセミが飛来することがあります。見つけることが出来たら鮮やかな水色を楽しみましょう。

国指定重要文化財「三重塔」

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総社市の備中国分寺には見事な五重塔がありますが、宝福寺の三重塔も美しさでは負けていません。

国指定重要文化財「三重塔」
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室町時代中期の様式を残し、戦渦に巻き込まれることなく現在まで残されています。何度かの補修が繰り返されていますが、昭和42年〜44年の大修理を最後に、現在の華麗な姿を維持しています。三重塔の周囲でも見事な紅葉を楽しみましょう。

国指定重要文化財「三重塔」
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総社市の紅葉観光では、井山宝福寺の美しさを見逃すわけにはいかないのです。時間の許す限り、その魅力にひたってみてください。

最後に近隣の観光地の紹介です。総社市にある吉備路が美しい「備中国分寺」の紅葉や、名勝「豪渓」の紅葉も見事。そして岡山県といえば桃太郎が有名であり、「吉備津神社」、「吉備津彦神社」も必見です。天空の城とも呼ばれる「備中松山城」も見ておくべき観光地。詳細は下記の関連MEMOをご覧のうえ、旅行の参考としてみてはいかがでしょうか。

井山 宝福禅寺の基本情報

住所:岡山県総社市井尻野1968
電話番号:0866-92-0024
アクセス:JR総社駅から車で約10分

2020年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/11/23 訪問

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