写真:沢木 慎太郎
地図を見るUSJ、梅田スカイビル、海遊館、道頓堀、スパワールド、さらには鉄筋コンクリート造りでエレベーター付きの大阪城と、奇抜な観光スポットが人気の大阪。今や大阪は、年間に900万人(2016年)を超える外国人観光客が訪れる国際観光都市です。
しかし、大阪の本当の魅力は、日本の古き良き時代に出会えること。昭和レトロ感が漂う街は、人の心をホッと落ち着かせる魅力があります。
そこで、大阪の超ディープスポット「西成」への旅は、南海電車・汐見橋線が絶対おすすめ!大阪・ミナミ(なんば)に近い場所にありながら、大阪人でも知らないような超ディープな駅が南海電鉄の「汐見橋駅(しおみばしえき)」。大阪の超ローカル線に乗って、ガイドブックにも載っていない、昭和への旅を始めましょう!
写真:沢木 慎太郎
地図を見る大阪ディープ観光の出発となる「汐見橋駅」。最大の見どころは、古びた駅構内にある昭和レトロな地図(写真)。スタジオジブリの作品「天空の城 ラピュタ」に登場する天空の城に似ていると話題の「友が島」(和歌山県)など、南海電車で巡ることができる観光スポットが地図に描かれているのですが、もうボロボロ。昭和30年代に作成された超レアもので、これを見上げると感無量。
南海電車・汐見橋線は、汐見橋駅(大阪市浪速区)〜岸里玉出駅(大阪市西成区)までを結ぶ約5キロメートルの単線です。開業したのは明治33年(1900年)。聖地・高野山へと向かう列車は、もともとは汐見橋駅から発着していました。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る大阪のど真ん中を走りながら、約30分に1本しかない汐見橋線。1日の平均乗降客数が90人台の「木津川駅」などを通り、やがて写真の「西天下茶屋駅」へ。大阪市内では極めて珍しい無人駅。大正4年(1915年)に建てられた超レトロでモダンな駅舎は必見です。プラットホームの屋根や壁、ベンチはすべて木製。大都会のど真ん中とは思えないローカルな風景に心がなごみます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るでは、大阪・西成区の天下茶屋界隈を歩いてみましょう。さきほどの写真で右に見えていた踏切を渡り、左に進んだところにある店が、写真の駄菓子屋「村田食品店」。昔懐かしいお菓子がいっぱい!
ところで、写真の左上、金閣寺の額縁の隣に、何やら表彰状のようなものが見えますが、これは未成年者誘拐事件で犯人逮捕に協力したことへの感謝状。こうした地域の絆が今も見られるのも、大阪・西成の魅力です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る昭和レトロへの旅!続いては、写真の「サトちゃんムーバー」。これは何かというと、硬貨を入れると、ゾウの姿をした乗り物が動くおもちゃ。このゾウは、佐藤製薬の人気キャラクター「サトちゃん」。昭和時代に、薬局屋の店頭で、よく見かけた子ども用の乗り物です。同社に問い合わせると、すでに製造を中止し、修理も難しいために街から姿を消しつつあるとのことですが、西成では今も現役で動き続けています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る続いては、こちらの「わたあめ(綿菓子)」の製造機械。これは何かというと、硬貨を入れると、ザラメ(砂糖)が機械の穴に落ち、中心部の歯車みたいな機械が激しく回転し、綿あめが雲のように湧き出てくる画期的なシステム。割りばしで、綿あめを巻き付けますが、慣れないと手首が綿あめだらけになってしまう。昭和の時代、大阪ではスーパーのニチイや万代百貨店などでよく見かけましたが、これもほぼ全滅。ちなみに、写真の綿菓子機は、西成区内の散髪屋さんの前に置かれたもの。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る大阪のミナミで知られる難波に隣接する地域が、大阪市西成区。かつて豊臣秀吉が立ち寄って休憩した茶屋があることから、“天下茶屋(てんがちゃや)”の地名が残っています。昭和の面影を色濃く残す古びたアーケード商店街が今も残り、変色し、ボロボロになりながらも建ち続けています。何度も打たれても、立ち上がり続ける年老いたボクサーのようにたまらなく魅力的。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るところで、「じゃりン子チエ」という漫画をご存知でしょうか?大阪の西成を舞台に、ホルモン焼き屋を切り盛りする元気で可愛い女の子が「チエちゃん」。個性豊かな西成の人々の生活を描いた昭和時代の作品で、いわば西成の“サザエさん”みたいなもの。
そのチエちゃんに出会ったような衝撃を受けるのが、写真の女の子。愛くるしく、ご愛敬たっぷりで、なんともキュート。可愛い!仏具店の「敬昌堂」(けいしょうどう)のカンバン娘さん。「敬昌堂」では美しい絵柄のロウソクや、てぬぐい、お香が置かれ、西成のお土産にぴったり!
写真:沢木 慎太郎
地図を見るさきほどの「敬昌堂」ですが、最近は大きなお仏壇ではなく、写真の奥に見えるようにカラフルでコンパクトなお仏壇が喜ばれているそう。店の奥に工作室があり、ベテランの職人さんが心を込めて、一つひとつ丁寧に仕上げていきます。それよりも、じゃりン子チエが可愛すぎ!天使のような可愛い笑顔で見つめられると、あなたは何個でも仏壇を買ってしまう。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「お〜い!」「始まるよ〜」「何が?」「紙芝居」
写真:沢木 慎太郎
地図を見るお姉さんが拍子木(ひょうしぎ)をカチン、カチンと打ち鳴らすと、公園で遊んでいた子どもたちがひょいと顔を上げ、お姉さんのもとへと猛ダッシュ。紙芝居のお姉さんに出会えるのも、西成の魅力です。自転車に乗って移動する、昭和レトロな街頭紙芝居も、現在の日本ではほぼ壊滅。
お姉さんの話術が巧み。紙芝居の画風も昔ながらで、ストーリーは江戸時代の子どもの生活や、冒険好きな男の子の話し。現代の子どもにも通じる遊びや悩みが描かれ、子どもたちの目はキラキラ!
写真:沢木 慎太郎
地図を見る紙芝居といえば、こちらの水あめ。割りばしをぐるぐる回し、水あめが白くなるまで回し続けるのは昭和の時代と同じ。懐かしさいっぱい!
日本で唯一とされる街頭紙芝居の原画などを展示した「塩崎おとぎ紙芝居博物館」があるのも、西成の知られざる魅力。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るさて、最後は西成のグルメをご紹介!西成のお土産に絶対おすすめなのが、写真の「こつまなんきん焼酎」。玉出は古くは「勝間(こつま)」という地名で、勝間南瓜=iこつまなんきん)の産地。西成独自のカボチャで作られた焼酎は、ほんのりとした甘みと、焼きイモに似た香ばしさ。玉出本通商店街の近くにある「世界のお酒 ニューヨーク玉出本店」で販売。こちらの店では、なかなか手に入らない世界中のお酒を手に入れることができ、西成に行かれたらぜひ立ち寄っていただきたい酒屋さん。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るミシュランガイドでも認められた大阪の「たこ焼き」。たこ焼きを誰よりも早く世に生み出した店が、西成区に本店を置く「会津屋」。創始者は、福島県会津のご出身。昭和10年(1935年)に、明石のタコを入れた粉もんを「たこ焼き」と名づけました。ソースを付けないで食べるのが、会津屋の最大の特徴ですが、これが実においしい。大阪市内や兵庫、東京でも展開していますが、ぜひ西成本店の味を堪能してください。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらも西成のお土産にぜひおすすめ!せんべいやカステラなど手焼き専門店「たからや本舗」。水を使わず、卵だけで真心をこめて、丁寧に焼き上げた鈴焼きカステラが味わえます。甘くて、柔らかくて、ふわふわ。地元では誰しも買う逸品です。
ご年配のご夫婦が営んでいるお店で、ご主人は毎朝、カステラの甘い香りを漂わせて鈴焼きを焼き、奥さまはお店で丁寧に商品を包装。激動の昭和時代を乗り越え、深い信頼関係で結ばれたお二人の息のあった雰囲気も、たまらなく魅力的。究極の昭和の味をぜひ!
大阪の西成といえば、「怖い」「危ない」といったイメージを持つ方が少なくありません。そんな中で、西成の本当の良さを多くの人たちに知ってもらおうと、地元の有志が集まって、“西成の街歩き”というイベントを随時行っています。
実は今回、ご紹介した風景は、“西成の街歩き”に参加して初めて知った世界。西成には、このほかにも「木津市場のセリ体験ツアー」「昭和レトロなアーケード商店街」「大衆演劇」と隠れた魅力的なスポットがいっぱい!
これらの記事についてもまとめていますので、ご興味のある方は関連MEMOに貼り付けたリンクからのぞいてみて下さい。
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