写真:手塚 大貴
地図を見るモスクワ地下鉄が開業したのは、スターリン統治下の1935年のこと。その後、戦後から現代にかけて路線は広がり、今では総延長300kmを超える14路線がモスクワの地下を走っています。
そんなモスクワ地下鉄の魅力が、ソ連時代に建設された駅でみられる豪華な内装。それらは当時の建築家や芸術家による、社会主義リアリズムを表現した装飾。とくに戦後、1950〜54年にかけて開通した5号線(環状線)には、まるで宮殿のように美しい駅が多く残されています。
写真:手塚 大貴
地図を見るモスクワ地下鉄の特徴のひとつは、とても地下深くに造られていること。これはかつて、駅がシェルターの役割も兼ねていたから。駅のホームへ乗客を運ぶエスカレーターは、はるか地底にまで降りていくかのように長く、その速度も日本の2倍ほどの速さです。
写真:手塚 大貴
地図を見るもうひとつ驚かされるのは、列車の運行間隔の短さ。ピーク時の運行間隔は90秒と、世界でも珍しい高頻度運行。ホームの先端に設けられたデジタル時計には、列車が発車してからの経過時刻が示されています。
写真:手塚 大貴
地図を見るモスクワ地下鉄でまずオススメの駅が、5号線と3号線のキエフスカヤ駅です。
金色の装飾に覆われたモザイク画18枚が並ぶのは、5号線のキエフスカヤ駅。ウクライナとロシアの連帯を称え、詩人プーシキンの姿やレーニンによるソ連樹立の場面が描かれたモザイク画は、どれも芸術性の高い作品。ホームの端には、誇らしげにレーニンの肖像画も飾られています。
写真:手塚 大貴
地図を見るウクライナの人々の生活を描いたフレスコ画が並ぶのは、3号線のキエフスカヤ駅。女性の姿を描いた作品が多く、駅全体が上品で落ち着いた雰囲気。なかでも農場で働く女性を描いたフレスコ画の数々は、カラフルな色使いや女性の表情の豊かさが素晴らしく、思わず見惚れてしまう美しさです。
写真:手塚 大貴
地図を見る3号線のキエフスカヤ駅のホームの端には、半円形に大きな壁画が描かれていて、さながら美術館にいるような錯覚を覚えます。
写真:手塚 大貴
地図を見るモスクワ地下鉄で美しい駅の代名詞なのが、交通の要としても賑わう、5号線のコムソモーリスカヤ駅です。
均等に並んだ68本の大理石の柱、イエローの天井を装飾する8枚のモザイク画……。それらをシャンデリアが明るく照らし出し、まるで舞踏会会場のような華やかな空間を作り出しています。
写真:手塚 大貴
地図を見るコムソモーリスカヤ駅の華麗な装飾は、社会主義を賛美するスターリン様式の頂点といえるもの。天井のモザイク画には、赤の広場で演説するレーニンの姿などが描かれ、その緻密な美しさに驚くばかり。またホームの端にはレーニンの白い彫像が飾られ、金色のモザイクによるソ連の国章の下、ホームを行き交う人々を静かに見つめています。
写真:手塚 大貴
地図を見る上に挙げた2つの駅に比べ、穴場的な存在なのが、5号線のノヴォスロボーツカヤ駅です。
ホームの支柱に飾られているのは、色鮮やかな32枚のステンドグラス。真鍮の縁に囲まれたこれらの作品は、ラトビアの芸術家によるもの。内側からライトで照らされ、カラフルに輝く光景は、教会のような雰囲気を感じさせます。
写真:手塚 大貴
地図を見るノヴォスロボーツカヤ駅を彩るステンドグラスには、クレムリンの赤い星や植物模様が描かれていますが、ひときわ美しいのが、職業人が描かれた6枚のステンドグラス。地球儀を前にした地理学者、キャンバスに向かう芸術家、ピアノを弾く音楽家……。彼らの姿は紳士的で、不思議な生命力に満ち溢れています。
写真:手塚 大貴
地図を見るご紹介した3つの駅は、5号線を乗り降りしながら、1度で楽にまわることが可能。またモスクワ地下鉄には他にも、幸運を招く銅像が並ぶプローシャチ・レヴォリューツィ駅(3号線)、アールデコ様式のマヤコフスカヤ駅(2号線)、天井のモザイク画が独創的なベラルースカヤ駅(5号線)など、個性溢れる駅がたくさんあります。
地下鉄の乗り方は簡単。赤いMマークのある入り口から駅へ入り、窓口か券売機で乗車券を購入。均一運賃でわかりやすく、1回券や2回券のほか、1日券や3日券といった乗り放題タイプの乗車券も。それを改札機にタッチして中へ入ればOKです。
写真:手塚 大貴
地図を見るかつてはロシア語表記だけだった駅の案内板も、サッカーワールドカップ開催を機に英語が併記され、車内でも英語放送が流れるように。今では駅構内での写真撮影も自由にでき、撮影ポイントが用意された駅もあるほど。複雑な駅構造は昔のままですが、そんな迷路のような雰囲気もまた魅力です。
モスクワを旅する交通手段としてだけでなく、それ自体にじっくり見てまわるだけの価値があるモスクワ地下鉄。美しく煌めく「地下宮殿」を求めて、モスクワの地下を巡ってみるといいでしょう。
運行時間:5:30頃〜25:00頃
乗車料金:1回券55ルーブル(約95円)、2回券110ルーブル(約190円)、1日券218ルーブル(約380円)、3日券415ルーブル(約710円)など。またICカード「トロイカ」は1乗車36ルーブル(約60円)と割安
2018年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/1/22更新)
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