この聖地侵すべからず!兵庫県・越木岩神社、霊岩・甑岩の畏れに満ちた伝説とは

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小々石 曲允子のプロフィール写真 小々石 曲允子 レトロ旅ライター、パワスポ・ナビゲーター

同じ関西の京都や奈良、和歌山あたりと比べると、一見、霊地のイメージが湧きにくい兵庫県。
しかし実は兵庫県は、国生みの地とされる淡路島のみならず、高砂市の生石神社をはじめ太古の巨石神話や磐座信仰の痕跡とも思われる聖地が各所に残る地域で、今回ご紹介する越木岩(こしきいわ)神社も代表的なそのひとつです。
不思議な伝説が伝わる霊岩、甑岩(こしきいわ)のほか、周囲の磐座・末社も必見です。

越木岩神社は、古代磐座信仰の聖地だった

越木岩神社は、古代磐座信仰の聖地だった

写真:小々石 曲允子

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越木岩神社は兵庫県西宮市の六甲山系に連なる北山の麓に位置し、県の天然記念物にも指定されている自然豊かな叢林に覆われた古社です。

その信仰の地としての歴史は、神社参拝という形が生まれる以前の遥か古代にまで遡ります。
太古から存在していたであろう巨岩・磐座(いわくら)に神意を見い出し崇めるという原始的な磐座信仰の形態に始まり、現在でもこれらの磐座は御神体としてお祀りされています。

神社として創始されたのは600〜700年頃と推定されており、後でも詳しくご紹介しますが、この時代に起きた大地震を機に地鎮を目的として大地を司る神、大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)=大国主大神が祀られました。そのような歴史もあって、千年以上前の延喜式神名帳には、越木岩神社は「大国主西神社」という名で記されています。

越木岩神社は、古代磐座信仰の聖地だった

写真:小々石 曲允子

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なお現在、本殿でお祀りされている御祭神は蛭子大神(ひるこおおかみ)、つまり戎(えびす)神で、福男選びの神事で有名な西宮神社から江戸時代に勧請されたものです。

越木岩神社は、毎年秋に行われる赤ちゃんの可愛らしい泣き相撲神事でも知られる神社ですので、ニュースなどでご覧になったことがある方もおられるのではないでしょうか。

神の意思が現れた、甑岩の不思議な伝説

神の意思が現れた、甑岩の不思議な伝説

写真:小々石 曲允子

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大昔よりこの地に存在する磐座の中でもこちらの神社のシンボル的な御神体であり、現在の神社名の由来ともなっているのが、周囲約40m・高さ10mの巨岩「甑岩(こしきいわ)」です。

本殿のある境内左手から伸びる石段の参道を進んだ先に、甑岩は鎮座しています。

神の意思が現れた、甑岩の不思議な伝説

写真:小々石 曲允子

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神社の説明書きには、甑岩にまつわる言い伝えとしてこのような記述があります。

『この神の鎮まる霊岩を大阪城築城のために切り出そうと、村人達の制止の懇願にかかわらず、豊臣秀吉が石工達に命じて割らせていたところ、今にも割れんとする岩の間より鶏鳴し、真白な煙が立ち昇り、その霊気に石工達は、岩諸共転げ落ち倒れ臥し、如何にしても運び出せなかったと伝えられています。』

区画整理や建設工事のために神社の御神体や墓所を移動あるいは撤去しようとしたところ、異変が起き中止になったという例は実は日本各地にあるのですが、秀吉の時代、この甑岩にも神祟りとも思える不思議な出来事が起きたということなのでしょう。
甑岩のただならざる霊力を物語る言い伝えです。

甑岩には実際、上の写真のように、この岩を切り出そうとしていた池田備中守長幸の家紋の刻印が残されており、また当時、一部が切り出されてそのまま放置された岩の中には、肥前佐賀藩主・鍋島勝茂の刻印も残されています。

神の意思が現れた、甑岩の不思議な伝説

写真:小々石 曲允子

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恐ろしい伝説が伝わる甑岩ですが、その形状から女性守護、安産・子授けの御神徳があるとされていて、岩の手前にある岩社には女神である市寸島比売命(いちきしまひめのみこと、弁財天と同神)がお祀りされています。

真摯な気持ちでお参りし、御神体である岩の周りを一周してありがたい御利益を戴きましょう!

参拝時に日が射すと願いが叶う?!パワースポット「北座の磐座」

参拝時に日が射すと願いが叶う?!パワースポット「北座の磐座」

写真:小々石 曲允子

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甑岩は文字通り、越木岩神社のシンボル的な存在だけあって、神社を訪れる殆どの方が本殿と共に参拝されていますが、神社の敷地内にはもう一ヶ所、押さえておきたいパワースポットがあります。
それが、「北座の磐座」と呼ばれる場所です。

現在の越木岩神社の敷地内には、北座、中座、南座(甑座)という大きく分けて3つの磐座群があり、甑岩は「南座の磐座」に当たります。

甑岩の周囲をぐるりと巡っていると、岩の向かって右手の部分に枝分かれした道があり、その道を2分ほど歩くと北座の磐座へと辿り着きます。
途中には、古来より祈雨止雨に霊験のある貴船社もお祀りされていて、その背後にあるのが「中座の磐座」です。

参拝時に日が射すと願いが叶う?!パワースポット「北座の磐座」

写真:小々石 曲允子

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貴船社からやや先にある北座の磐座が鎮座している場所は、狭いながらも小高い丘のような形状になっており、石段をわずかに登った先に小規模な磐座が現れます。

立石を支えるように数個の石が組まれた形の北座の磐座、甑岩のようなスケール感はありませんが、御神体の前に進んだ際に日が射すと願いが叶うと言われていますので、是非お参りしてみましょう!

なお、この磐座でお祀りされているのは、一説では稚日女命(ワカヒルメノミコト)とされています。
一方、その形などから甑岩(女)との対称としての「男神」と見る向きもあり、思金(オモイカネ)神がお祀りされているという説もありますが、定かではありません。

古代よりの地鎮の聖地?歴史と霊験を感じる末社にもお参りを

古代よりの地鎮の聖地?歴史と霊験を感じる末社にもお参りを

写真:小々石 曲允子

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越木岩神社ではこれまでにご紹介した磐座のみならず、周囲の末社も原始的な磐座祭祀の形態をとっているものが多く、それだけ古い時期からここでお祀りされていたことを示しています。

甑岩への参道途中、左手に鎮座する末社「土社」で祀られているのが大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)。
記事の最初でもご紹介した大地を司る神様で、大国主大神(=出雲大社などでお祀りされている大国主命のこと)や大穴牟遅(おおなむぢ)大神などと同神とされている神様です。

一般的に建物を建築する前には地鎮祭が執り行われますが、それはこの大地主大神を中心とした神々に工事の無事安全を祈願するためのものなのです。

そして、「大国主西神社」という越木岩神社の古い名称は実はこの土社の御祭神から来ているもので、少なくとも7、8世紀頃から鎮座している、末社の中では非常に古い御社ということになります。

甑岩の座する境内左手にある末社「六甲山社」も、菊理媛神(きくりひめのかみ)という白山信仰に関わる古い神様をお祀りした磐座です。

古代よりの地鎮の聖地?歴史と霊験を感じる末社にもお参りを

写真:小々石 曲允子

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さらに六甲山社の場所から西方向に少しだけ歩くと、水を司るミズハノメ神と、甑不動明王とがお祀りされた一角があります。

神仏習合の名残ともみられる甑不動明王の仏像もかなり古くから当地でお祀りされていたものでしたが、その上半身が切り取られ持ち去られるという出来事が起き、そのわずか後にあの阪神大震災が起きたという経緯があります。

不動像が壊されたことと地震との間にもちろん確かな因果関係は認められませんが、甑岩の不思議な伝承や土社の御神徳などとも考え併せてみた時、偶然にせよ「畏れ」を感じざるを得ないエピソードのように思えてきます。

現在の不動像はその後新しく造られたものですが、今でも像の背後に、切り取られた後の下半身のみの御姿を見ることができます。

古代よりの地鎮の聖地?歴史と霊験を感じる末社にもお参りを

写真:小々石 曲允子

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さて、越木岩神社の見所をご紹介してまいりましたがいかがでしたか?

ここは何びとも侵してはならない極めて重要な聖地である・・・そのことを事あるごとに知らしめているのが越木岩神社に鎮まる神々であるように感じられます。
霊験あらたかな太古のサンクチュアリ、是非、畏怖の念と謙虚な気持ちを忘れずにお参りしていただければと思います。

最寄りの「越木岩神社北」バス停からの道路沿い、神社に隣接する敷地のフェンス越しからも、これまでにご紹介した磐座とはまた別の磐座が見えますので、こちらも注目してみてくださいね!

越木岩神社の基本情報

住所:兵庫県西宮市甑岩町5-4
アクセス : 阪急電車「夙川」駅、あるいはJR「さくら夙川」駅から、阪急バスもしくはさくらやまなみバスに乗車、「越木岩神社北」下車。徒歩5〜6分
(正月三が日と泣き相撲行事がある日は、阪急夙川駅より無料バス運行)
阪急電車「苦楽園口」駅・「甲陽園」駅より徒歩約20分

2018年12月現在の情報です。最新情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/11/29 訪問

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