写真:Mayumi Kawai
地図を見る中国四川省西部に広がる甘孜(ガンズ)チベット族自治州。いわゆる東チベットと呼ばれるエリアには、氷河と万年雪に覆われた白亜の連峰がそびえ立ち、原始のままの自然を残した標高4,000m級のチベット高原が横たわっています。
ここ稲城亜丁(ダオチュン・ヤーディン Daocheng Yading)は中でも、中国でもっとも原始に近い状態で高山自然生態系が残されているとして、「中国最後のシャングリラ」「地球で最後の極楽浄土」などと呼ばれ、中国人の間では人気の観光スポットとなっています。
春には花が咲き乱れ、初夏は一面緑が覆い、秋は黄葉に染まります。雪をかぶった冬もまた風情があり、四季折々の姿で楽しませてくれる稲城亜丁ですが、あまりに広大なため2日がかりの観光が一般的。今回はその概要をご紹介します。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る稲城亜丁には、この地に住むチベット族が神の山と崇める三山、「仙乃日(シャンナイリーXian nai ri)」(標高6,032m)、「央邁勇(ヤンマイヨン Yang mai yong)」(標高5,985m)、「夏諾多吉(シャヌォドーヂー Xia nuo duoji)」(標高5,978m)がそびえ立っています。
そのもっとも高い仙乃日峰を眺めながら珍珠海という湖までのハイキングが第1日目のルート。往復約4kmの行程で遊歩道もしっかり整備され非常に歩きやすいのですが、何と言ってもスタート地点ですでに約3,900m、ゴール地点は4,100m。なめてかかると痛い目を見るので高山病対策はしっかり準備していきましょう。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る仙乃日峰のお膝元にはチベット仏教の冲古(チョングChongu gu)寺もあることから、岩場のあちこちに色鮮やかな仏教画が描かれていたり、五色のタルチョや神聖な布カターが無数にはためいています。「チベットに来た!」という実感が湧き起こりますね。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る1日目のゴール地点「珍珠海」、チベット語では「卓瑪拉措(ヅォオマラ湖 Zhuo ma la lake)」です。仙乃日峰の雪解け水が流れ込んだ翡翠の色の湖で、近づくととても透明度が高く澄みきっています。純白の雪峰、抜けるような青空、黄葉に染まった木々、翡翠の湖のコントラストが美しく、その神々しさに息を呑みます。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る2日目は標高4,500mの「牛ナイ海(ナイは女偏に乃、ニウナイハイ Niu Nai Hai)」と4,600mの「五色海」を目指します。あのボリビアのウユニ塩湖ですら標高3,700m、それを軽く上回る場所にある、まさに天空の湖です。空や雲が近く氷河を抱く雪峰パノラマとともに迫力満点です。
2日目のルートはさらに標高が高くなり、本格トレッキングの様相になってきます。全行程は片道約10kmですが、体力に自信がない場合は約6km先のポイントまで遊覧カートで移動可能です(別途有料)。ただし、この6kmの過程も絶景尽くしなので、もし体力と時間が許せば木道をゆっくり散策されることをおすすめします。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るこちらは標高4,600mにある五色海(ウースハイ Wu se hai)。牛ハイ海よりさらに一段高い場所にあり、周囲を氷河雪峰が囲んでまさに神の領域、言葉を失う絶景が待っています。太陽の差し込み具合で幾重にも湖の色が変化し、見るものを楽しませてくれます。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るこのエリアにはバーラルという野生の岩羊が生息しています。中国チベットやインド、ネパール、パキスタンなどヒマラヤ高地の崖や山の急斜面を好み、群れで生活しています。触ることはできませんが、驚かさないよう静かに近寄れば、至近距離で撮影することもできますよ。
この他にもこの地に住むチベット族が運搬用に使う馬の群れに遭遇したり、珍しい野鳥やかわいいリスなどにも出会えて、生きもの観察も楽しめますよ!
写真:Mayumi Kawai
地図を見る繰り返しますが、平均標高は4,000mを超える場所です。朝晩の冷え込みが激しく時に0℃になることも。日中との気温差が5℃前後〜20℃前後となるため防寒対策はしっかり行いましょう。
また日差しが強く、照り返しもハンパないので、想像以上に紫外線を浴びます。季節に限らず帽子と日焼け止めも必須です。
写真:Mayumi Kawai
地図を見る富士山を軽く超える標高ですから、高山病が一番心配です。無理せず深呼吸しながら水分をよく摂り、ゆっくり歩くことが大事ですが、高山病の薬(ダイアモックス、バファリン等の頭痛薬でも代用可)を事前に服用するとずいぶん楽になります。
また中国人はレッドブルなどのエナジードリンクやブドウ糖を積極的に摂取しています。これが案外効果あるのでおすすめです。
ただし、よく見かける携帯用の酸素ボンベはあまり効きません。気休め程度に捉えておきましょう。
写真:Mayumi Kawai
地図を見るこんなところまで来て、無理して高山病でマイッたら、きれいな景色も台無しですよね。自分の体調や体力に合わせて、利用できるものは利用して、万全の体調で稲城亜丁をすみずみまで楽しんでください。
大自然好き、山好き、あるいはチベット文化に興味のある人には100%自信を持っておすすめできる、知る人ぞ知る中国最後のシャングリラ!ぜひ今度訪れてみてくださいね。
住所:中国四川省甘孜蔵族自治州稲城県
電話番号:+86-836-6966022(稲城亜丁風景区サービスセンター直通)
アクセス:四川省首都・成都(新南門バスターミナル)からバスで康定経由稲城行に乗車、所要1泊2日(1日目は必ず康定にて1泊、翌朝6時発で17時頃着)。稲城の町からさらにタクシーで2時間離れた亜丁風景区に近い香格里拉村あるいは風景区内の亜丁村での宿泊が便利。もしくは、成都から飛行機にて稲城亜丁空港へ直行することも可能。1日1〜2便。本数少なく早朝便なので注意
2018年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/15更新)
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