写真:風祭 哲哉
地図を見る都営バス「梅70」系統は東京都小平市の西武線花小金井駅と青梅市街地の西端、青梅車庫とを結ぶ全長28.21キロの路線。もちろん都営バスの中ではぶっちぎりの最長距離路線で、標準所要時間は時間により85分から114分となっています。
その停留所数はなんと81。バス停の案内板にはそのすべてが細かい文字で2段に分かれてびっしりと並んでいます。
写真:風祭 哲哉
地図を見るこのバスは途中で西武線やJR線の駅をいくつも結び、乗客の出入りが激しい路線ですので、普通はさすがに全線乗りとおす乗客はほとんどみかけません。ただし、乗り物ファンには大変有名な路線ですので、時々もの好きなマニアが乗りとおすことも…いや、意外と多いかもしれません。
車内では通学や買い物などで利用する老若男女さまざまな乗客が見られますが、やはりさすがに多摩や青梅に向かうバス、休日にはリュックを持ったハイカーふうのお客様も目立ちます。
さて、いざこのバスにチャレンジするときは都営まるごときっぷ(1日フリー乗車券 おとな700円)がおすすめです。この路線に全区間乗車すると運賃は片道560円ですので、往復はもちろん、片道で途中下車して観光する場合でもこちらの方がお得です。
写真:風祭 哲哉
地図を見る花小金井駅を出たバスは市街地を回遊するとすぐに青梅街道へと入ります。この「梅70」はこのあともほぼ全区間にわたって青梅街道の上を進みます。
沿線はかつて武蔵野と呼ばれ自然豊かな場所だったところ。小平の市街地を抜けると、周囲には新しい住宅地に交じって昔ながらの立派な庭を持った民家や田畑が現れます。
写真:風祭 哲哉
地図を見る沿線の最初の見どころは花小金井から乗車してわずか10分足らず、4つ目のバス停「昭和病院前」で下車した先にある「小平ふるさと村」。
ここは「旧小川家住宅玄関棟」など、昔ながらの農家の旧宅や旧小平小川郵便局舎を移築復元し、開拓当初の復元住居や水車小屋、消防小屋などを再現したところ。村内では年中行事の再現や昔あそびの体験などを行っているほか、週末の昼を中心に昔ながらの手打ちうどん「小平糧うどん」を味わうことができます。
写真:風祭 哲哉
地図を見る小平のもうひとつのおすすめは「ベーカリーアウトレット・iF(イフ)」。このお店は第一パンの本社工場に併設されているパンのアウトレット店で、名前の通り、工場でできた規格外のパンを激安で販売しています。特にお得なのは詰め合わせのセット。
新小平駅前のバス停から北に徒歩5分程度ですが、人気のためお昼すぎには売り切れてしまうこともありますので、訪問はお早めに。
写真:風祭 哲哉
地図を見るやがてバスは西武拝島線との接続駅「東大和市駅前」に到着し、ここで乗客がかなり入れ替わります。駅前には東大和スケートセンターや、高田馬場駅前にもある複合アミューズメント施設「BIGBOX」があり、沿線で最も都会的な雰囲気を醸し出しますが、それもほんの一瞬。バスは東大和を出ると、本格的に武蔵野の自然豊かな地へと差し掛かります。
写真:風祭 哲哉
地図を見るバスは東大和市駅前から北に向きを変え、青梅街道沿いに連なる商店街を抜けると、やがて目の前に狭山丘陵の山々が迫ってきます。
ここで再び青梅街道とともに西に向きを変え、しばらくは狭山丘陵の端に沿って左へ右へとゆるやかにカーブしながら進みます。
八幡神社前のバス停から丘陵を上った途中にある「東大和市立郷土資料館」は「狭山丘陵とくらし」をテーマにした資料館。狭山丘陵全体を活動の舞台として、歴史、民俗、自然に関する展示や活動を行っていてプラネタリウムも人気です。
写真:風祭 哲哉
地図を見るかつて蔵敷高札場があった蔵敷バス停のあたりが一番狭山丘陵が迫っている場所。丘陵のすぐ向こう側には多摩湖があるはずですが、残念ながら車窓からは見ることはできません。
写真:風祭 哲哉
地図を見る続いてバスは都内で唯一鉄道が走っていない武蔵村山市に入ります。途中、峰のバス停近くに「里山民家入口」という魅力的な看板があります。
1キロほど山に向かうと現れるのが「野山北・六道山公園」。狭山丘陵に実在した江戸時代の民家を新築・復元した「里山民家」を中心に水田や畑、雑木林が広がる自然豊かな場所。公園ボランティアによるガイドや体験プログラムのほか、冒険の森や遊びの森などお子様向けの施設もあり、ご家族で楽しめる場所です。
写真:風祭 哲哉
地図を見る箱根ヶ崎を過ぎ、JR八高線を越えると青梅街道と新青梅街道が合流し、奥多摩の山々が目の前に姿をあらわします。いよいよ青梅に向かってのラストスパートです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る青梅市街の手前から旧青梅街道に入り、青梅駅前や昭和レトロな町並みを抜け、市街地の西端に進むと終点の青梅車庫。ここは東京都交通局青梅支所となっていて、構内には数多くのバスが並んでいます。
ここから奥は本格的な山峡区間に入るためバスの便もあまりありませんが、都営バスの最高標高地点、上成木バス停行きなど、これまた都営バスらしからぬ山岳路線に乗り換えることもできますので、さらにバスの旅を続けてみても面白いかもしれません。
写真:風祭 哲哉
地図を見る青梅街道の宿場町として古くから栄えてきた青梅。町にはところどころに明治・大正・昭和の古い建物が残っています。そんな環境を活かして「レトロの街」として町おこしを始めた青梅は、昭和レトロ発祥の地、とも呼ばれ、現在も人気の観光地となっています。
写真:風祭 哲哉
地図を見るその中心となるのが街のあちこちで見られる「シネマ」関連の看板の数々。その由来は、青梅出身の映画看板絵師、久保板観さんに協力を仰いで町じゅうを昭和の時代に染めたことがはじまり。かつては青梅駅から東の旧青梅街道には大きな手書きの映画看板がいたるところに飾られていました。
残念ながら久保さんが2018年2月に亡くなったのと、老朽化が進み台風等の災害で事故が懸念されるため、現在は大型看板は撤去され、今後は「猫の街・青梅」として生まれ変わる予定だと言います。
写真:風祭 哲哉
地図を見る青梅の街歩きのもうひとつのハイライトは「青梅赤塚不二夫会館」。ここは「天才バカボン」や「ひみつのアッコちゃん」「おそ松くん」などを生んだ昭和を代表する漫画家・赤塚不二夫さんのミュージアムで 隣接する「昭和レトロ商品博物館」「昭和幻燈館」とともに昭和レトロの街・青梅の中心的な見どころとなっています。
停留所数81、約30キロを2時間弱。「梅70」は都営バスらしからぬ壮大な旅ですが、変化に富んだ車窓を楽しんでいると意外とあっという間ですので、ぜひ一度は全線完乗にチャレンジしてみてください。
とはいえ沿線にもたくさんの見どころがありますので、片道は全線完乗、片道は途中下車の旅と、700円で丸1日、2つの楽しみ方を過ごせちゃうなんて最高ですね!
2018年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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