高級リゾートに死の香り スイス・ルツェルンの深遠な魅力

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高級リゾートに死の香り スイス・ルツェルンの深遠な魅力

高級リゾートに死の香り スイス・ルツェルンの深遠な魅力

更新日:2018/11/12 09:22

藤 華酉のプロフィール写真 藤 華酉

スイスの湖畔リゾート、ルツェルン。高級感漂う町並みに、スキーや避暑地に最適な立地で、多くのセレブに愛される麗しい街です。しかし、その観光名所を紐解くと、美しい風景にスイスという国が辿った死の香りが漂い始める場所でもあります。雪景色も似合う高級観光地で、闇のスイス史を覗いてみませんか。

麗しの高級リゾート、ルツェルン

麗しの高級リゾート、ルツェルン

写真:藤 華酉

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スイス中部、湖畔の町ルツェルンは、周囲を山に囲まれた風光明媚な場所。町並みは優雅で、通りには高級ブランドが立ち並びます。夏でも涼しい避暑地や、スキーを楽しむ土地として愛されており、近隣諸国の裕福な人々を集めています。塵一つ落ちていない町並み、乞食一人いない治安の良さと、世界でも有数のリゾート地です。

しかし、中世から脈々と続く、死の香り漂う観光地である事は余り知られていませんね。
うかうかしていれば、物価の高さが貴方の財布を最初に死なせてしまいます。早速、観光者を惹きつけて止まない死の魅力漂うルツェルンをご紹介しましょう。

生と死の橋 「カペル橋」と「シュプライヤー橋」

生と死の橋 「カペル橋」と「シュプライヤー橋」

写真:藤 華酉

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カペル橋は、湖を渡る屋根付きの美しい橋です。ヨーロッパ最古の屋根付き橋であり、中世の頃は湖からの侵略を防ぐ要塞の一部でした。橋の屋根には、聖人や町の歴史を描いた絵画が100枚以上掲げられており、見応えがあります。ルツェルン観光必須の名所のひとつです。

<基本情報>
住所:Kapellbrucke, 6002 Luzern
24時間通行可能
アクセス:ルツェルン中央駅から徒歩10分

生と死の橋 「カペル橋」と「シュプライヤー橋」

写真:藤 華酉

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その西側にかかる、少し短く地味な橋が「シュプライヤー橋」。こちらも要塞の一部で、町の歴史を描く絵画が飾られた橋です。しかし、その命題は「死の舞踏」。
中世にルツェルンの町を襲い、貴族や農民を問わずに命を奪った凄惨な死の有様が67枚に亘って描かれています。

生と死の橋 「カペル橋」と「シュプライヤー橋」

写真:藤 華酉

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ペストをモチーフとした『死の舞踏』は中世に流行したモチーフの一つですが、ペストの流行が終わってからは陰気な有様が好まれず、多くの絵画が修復されないままひっそりとこの世から消えました。そんなモチーフを今に至るまで掲げ続けて来たルツェルン、平和なだけのリゾート地であった筈がありません。

<基本情報>
住所:Spreuerbrucke, 6004,Luzern
24時間通行可能
アクセス:ルツェルン中央駅から徒歩20分

死体の無い概念の墓場「瀕死のライオン像」

死体の無い概念の墓場「瀕死のライオン像」

写真:藤 華酉

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裕福になった現在でも、スイスの食事はイマイチ…と囁き交わされていますが、実際、土地が痩せている為に的外れな悪口でもありません。農作物は乏しく、その為に頻繁に家畜を潰すことも出来ず、湖の近くにある町だからと言って魚が名物と言う訳でもありません。
中世なら餓死に直結するこの状況、産業のない時代のスイスは、外貨を稼ぐ為に「血」を輸出していました。傭兵稼業です。

危険な商売で、多くのスイス人が家族の待つ故郷に帰る事なく没しています。中でも痛ましい事件が、フランス革命の最中、民衆に追われるルイ16世を庇い、虐殺された1000人近くの忠実なスイス傭兵達の実話です。贅沢三昧の結果、自らが治める民衆に反撃され、しかも勝つ見込みも無い王に誰が味方しようと言うのでしょう。ちなみにフランスの護衛部隊は民衆に付きました。しかし忠実なスイス傭兵達は王族と共に命運を遂げ、死体がスイスに戻る事は無かったのです。

フランス革命は勿論の事、貧しい中世の時代を通して戻らなかったスイスの傭兵達を悼んだ像が、「瀕死のライオン像」です。
小奇麗な公園、白亜の崖の中に埋まる痛ましいライオンの像は、見る者に嘗てのスイスの歴史を思い起させてくれます。


<基本情報>
住所:Denkmalstrasse 4, 6002 Luzern
24時間鑑賞可能
アクセス:中央駅からバスで10分、「ローウェンプラット駅(Löwenplat)」下車、公園内を徒歩3分

ゆりかごから墓場まで 愛される墓場、ホーフ教会

ゆりかごから墓場まで 愛される墓場、ホーフ教会

写真:藤 華酉

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ルツェルン中央駅から15分程、町中に建つホーフ教会は、ヨーロッパ最大を誇るパイプオルガンが自慢の金色の教会です。見るべき場所に尽きないホーフ教会ですが、ぜひ中庭にも足をお運び下さい。いつの季節も花が鮮やかな墓地は、「墓場」という言葉のイメージを変える程の和やかな光景です。

ゆりかごから墓場まで 愛される墓場、ホーフ教会

写真:藤 華酉

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ヨーロッパでは、墓地は公園と同じく愛されている場所です。日当たりはよく、庭はいつも整えられており、季節の花が美しい散歩コース。休日となれば家族で賑わい、その和やかさに驚くかも知れません。
また、ホーフ教会は交通の便が良いことから、産まれたばかりの赤ん坊が洗礼を受けにやってくるところとしても人気です。
ゆりかごから墓場まで、市民の死と生に密着したホーフ教会。古くは17世紀から、ここに眠る人々の墓標を眺めながら過ごすのも、気持ちの良い時間になります。

<基本情報>
住所:St. Leodegarstrasse 6, 6006 Luzern
電話番号:+41-41-229-95-00
開館時間: 7:00-19:00(コンサートなどイベントにより変更あり)
アクセス:ルツェルン中央駅から徒歩15分

亡霊と竜の棲む場所 ピラトゥス山

亡霊と竜の棲む場所 ピラトゥス山

写真:藤 華酉

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ルツェルンから交通機関で15分程。ピラトゥス山は、スキーにもハイキングにも人気の野生美の山です。リフトが完備されており、登るのは簡単。しかし、そのリフトの受付には竜の紋章…、ピラトゥス山は竜、そして亡霊の山なのです。
険しい岩肌の山は、中世の時代、長らく禁足地として人々が訪れる事を禁じられていました。竜が住むとして恐れられていた為です。また、イエス・キリストを殺したローマ兵、ピーラトゥスの亡霊が出るとも噂されていました。

恐ろしげな逸話とは裏腹に、ピラトゥス山は蒼いルツェルンの湖を見渡す素晴らしい絶景の宝庫です。或いは、戦争の時代、「見え過ぎる」事がこの場所から人を追い払う要因になっていたのかも知れません。

終わりに

蒼い湖、端麗な町並みの美しいルツェルン。しかし、この街の魅力は、高級リゾート地としての美しさだけではありません。疫病、戦争、死と生々しい歴史を感じさせてくれるからこそ、更なる魅力が光ります。冬はまさに中世において、死と疫病の季節でした。白い雪も美しいこの季節、中世・スイスの闇の歴史が光るルツェルンへの旅はいかがでしょうか。

2018年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/12/28−2014/01/02 訪問

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