刮目せよ。「鈴木英二邸」は仙台空港から歩いて行ける震災遺構

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刮目せよ。「鈴木英二邸」は仙台空港から歩いて行ける震災遺構

刮目せよ。「鈴木英二邸」は仙台空港から歩いて行ける震災遺構

更新日:2018/12/12 15:59

bowのプロフィール写真 bow トラベルライター

仙台空港は東日本大震災で大きな被害を受けました。その徒歩圏内に現在も「震災遺構」として当時の被害状況を今に伝える個人宅があることをご存知でしょうか。「鈴木英二邸」は壊滅した集落で唯一原型をとどめた家。津波被害を後世へ伝えるため、あえてその姿を残すことにしたという震災遺構をご紹介します。
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東日本大震災と仙台空港

東日本大震災と仙台空港

写真:bow

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仙台空港といえば国際線も就航している東北の空の玄関口で、名称は仙台空港ですが、所在地は仙台市ではなく名取市と岩沼市にまたがる空港。滑走路は海岸線から約1kmという距離にある海沿いの空港です。

東日本大震災と仙台空港

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仙台空港が東日本大震災で3mを超える津波に襲われ、大きな被害を受けたことは多くの人がご存じでしょう。しかし震災からは約1ヶ月というスピード復旧を遂げています。空港内には震災当時の津波到達位置をしめすラインが掲示されていますが、現在はそれもまるで幻だったかのような現状を取り戻しています。

東日本大震災と仙台空港

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ただ一歩空港から足を外に運べば、空港周辺は少し物寂しい光景が広がっています。以前は空港周辺がもう少し賑わっていたのですが、現在はレンタカー店が軒を連ねる以外は店舗が再建されていないような状況です。

荒涼とした風景に建つ一軒家とは?

荒涼とした風景に建つ一軒家とは?

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そして仙台空港に隣接する、空港と海岸線の間にある宮城県名取市下増田の北釜地区。ここは約100世帯、400人が住む小さな集落でした。しかし東日本大震災の津波により壊滅、50名を超える犠牲者を出してしまいました。かつては海岸林として存在した松林も大多数がなぎ倒された、荒涼とした光景が広がっています。

そんな中で目を引くのは、ポツンと建つ一軒家。

荒涼とした風景に建つ一軒家とは?

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この家はかつてここに住んでいた鈴木英二氏の旧自宅。それが震災遺構としてここに残されているのです。遠景からはしっかりと形をとどめているかのように見えるのですが、近づいてみるとその惨状が露わとなります。

刮目せよ、津波の威力

刮目せよ、津波の威力

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空港側からではなく、海側から家を見てみると津波の直撃を受けて大きく損傷した姿が。津波は1階部分をまるごと飲み込んでいったのでしょう、ごっそりとすべてを持っていかれてしまった様子が見て取れます。

刮目せよ、津波の威力

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家主の鈴木英二氏は仙台空港の近くでパーキングを営んでおり、地震後に防風林を超えて押し寄せる津波を目の当たりにすると急いで車で仙台空港へと避難。津波があと100mというところまで押し寄せてきたところで空港の外階段へとたどり着き、そのまま駆け上がって難を逃れたのだそう。そしてそのまま3日間仙台空港で避難生活を余儀なくされたのです。

刮目せよ、津波の威力

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この鈴木英二邸は周辺の家屋が次々と取り壊され更地へと化していく中、個人的に震災遺構として残したもの。かつては教育者でもあった鈴木英二氏は1000年に一度の大災害を後世へと伝えるためにあえて自宅を残したのです。

姿を消しつつある震災遺構

姿を消しつつある震災遺構

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復興がすすむ中、震災の爪痕を残す遺構は役目を終えたかのように姿を消しつつあります。同じ宮城県名取市の閖上地区にあった震災遺構「かまぼこ佐々直」の旧本店工場は2018年11月に解体がはじまり、この地区一帯は震災メモリアル公園となる予定。

こうした震災遺構の保存に関しては災害の教訓となる半面、つらい記憶を呼び起こすため地元住民の理解が必要となり、東北の各被災地では大きな議論が巻き起こっています。

姿を消しつつある震災遺構

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モノの震災遺構ではなく語り部による口伝へと世の中の潮流は移りつつある中、鈴木英二邸は2017年にさらに保存のための延命措置をとります。百聞は一見に如かず、この家を見れば津波の恐ろしさは誰にでもすぐわかるはず。そうした氏の思いが込められた震災遺構は多くの防災ツアーでコースに取り入れられ、近年では修学旅行生も訪れるなどその存在感を増してきているのです。

なお鈴木氏は他にも失われた海岸林の再生プロジェクトや地域の農業再生など、現在も復興に向けて尽力を注がれています。

姿を消しつつある震災遺構

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東日本大震災から年月が経ち、関係報道も減ってしまってきている今日。人々の記憶からあの出来事が忘れ去られてしまうことを阻止すべく、ここに建ち続ける鈴木英二邸。

この場を訪ね、今一度防災意識を高めてみては?そして「1000年に一度」を体験した我々には後世に伝える役割があるのです。そのことも思い出してみてはいかがでしょうか。

震災遺構・鈴木英二邸の基本情報

住所:宮城県名取市下増田屋敷161-2
アクセス:仙台空港から徒歩約10分

2018年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/11/04 訪問

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