龍山寺から西園路を通り、貴陽街に抜けると左側に見えてくるのが「青山宮」です。黄色い提灯に赤い文字がとても印象的な正面。その雰囲気だけでも、日本とはまったく違っていることを体感できるでしょう。
狛犬に相当する二頭が並び、これまた日本と同じように口を開いた一頭と閉じた一頭。日本で狛犬といえば神社ですが、それは日本神道の話であり、アジア一円では仏教、道教寺院の山門に鎮座しているのです。
なお、狛犬について諸説あります。日本には飛鳥時代に伝わったとされますが、その起源は古代のインドまでいかねばなりません。仏の両脇にいて、仏を守護する役割があったとされ、それが各地に伝わる中で様々な姿となっていくのです。
更に古い歴史があるという話では古代エジプトとなり、スフィンクスに代表される獅子は神域を守る役割があったとも。
門の上を見ると細かく木工細工が施されており、日本では見ることの出来ない美しさがそこにあるのです。
では、青山宮とはどのような道教寺院なのでしょう。主祭神は「霊安尊王」という神。
この神については三国志の時代まで遡ります。青山宮の総本山は中国福建省泉州恵安県にあり、かつてその辺りは三国志時代に呉が支配していました。後に呉の孫権の将軍の一人「張コン」がこの神となったのです。
しかしその将軍は日本では知られていません。日本で知られる多くの三国志物語にも登場しない「なぞ」の人物なのですが、恵安県では公平無私な態度であり徳の高い人物であったとされています。そして彼の死後、人々は徳を偲び「青山宮」を建立したのです。
1854年になると、恵安県の漁民により霊安尊王の神像が運ばれて来ましたが、ここで不思議な伝説をご紹介します。
神像を神輿に乗せ運んでいると、突然動くことができなくなりました。困っているとどこからともなく声が聞こえてきたのです。その内容は、「この地に廟を建てよ」というものであり、それが今の青山宮がある場所なのです。
観光の際には、この不思議な話も思い出してみて下さい。
日本で道教はあまり馴染みがありませんが、台湾や中国では極めて身近な宗教です。実は日本でも日常の中に多く入り込んでおり、日本神道の行事やしきたりの中にも残されているのです。
例えば、2月3日の節分、3月3日の桃の節句は道教由来の考え方。桃太郎は桃から生まれますが桃は道教において魔を打ち破り、また西王母という神仙の食べ物となっています。
そのような道教の神々が、これでもかと並ぶ青山宮。階段を使って二階に上がると天上聖母や三国志の関羽が祀られています。
更に三階にも上がってみて下さい。
青山宮はもともと平屋造りの寺院だったのですが、三階建てに作りかえられたのは1970年と比較的新しいと言えるでしょう。その三階では、玉皇大帝、北斗星君、南斗星君等の神々が並び、道教の神が神々しく、時に厳しい表情でこちらを見つめています。
寺院の内部はあちらこちらに、書が飾られています。書の格調の高さはこの青山宮で特に見どころと言える場所。
彫刻も見事であり、細かな所にまで芸術性が感じられることでしょう。
台湾の多くの寺院は道教、仏教が混在し、時に儒教も混ざることで独特の信仰形態をしている場所が一般的と言えます。つまり道教だけの寺院はとても珍しいのです。
ところで青山宮には、日本語がとても上手な年配の台湾女性が一人います。日本語を使ってみるとより楽しい時間となるかも知れません。
最後に、台北では外せない観光地がたくさんありますのでご紹介します。
「龍山寺」はもちろんのこと、見事な衛兵交代式が楽しめる「中正紀念堂」と「国父記念館」。台北駅からMRTを使って少し足をのばせば台北最大の夜市「士林市場」があり、さらに先に行けば風光明媚な「淡水」が!
下記の関連MEMOにリンク設定していますので、ぜひ、旅行の参考にして下さい。
住所:台北市貴陽街二段218号
電話:+886-2-2382-2296
アクセス:地下鉄板南線で龍山寺駅下車徒歩約10分
2019年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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