写真:bow
地図を見る古都京都に夏の終わりを告げる行事、「五山の送り火」。8月16日、闇夜に赤く浮かび上がる”大”の文字を見ると、今年の夏も終盤戦だなぁと京都人は感じるのです。「五山の送り火」の起源は弘法大師説や足利義政が始めたとされる説など、諸説あります。そして、その舞台として有名な大文字。その”大”の文字がある山はその名の通り、大文字山と言います。
そんな「見る」対象となっている大文字山、実は非常に手軽に登れる山なのです。あの”大”の字の部分までは1時間もかからない軽いトレッキングで行くことができ、ちょっとしたハイキングにはもってこいなのです。
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地図を見る京都市内のいたるところからその姿が見える大文字山。登るにはまずその麓まで行かなくてはなりません。ちょうど登山口にあたるのは、世界遺産・銀閣寺。実は大文字山は銀閣寺の寺領でもある国有林をかすめて登っていくルートになっています。
まずは銀閣寺の参道を観光客と共に歩き、銀閣寺の門まで来たら、門をくぐらずに左へ。真っ直ぐ行けば神社の鳥居に当たりますので、鳥居をくぐらず右へ。あとは道なりに行けば大文字山の登山口へとたどり着きます。
そこから先は登山道となります。途中に数か所急坂があり、いい汗をかくのは間違いありません、頑張って登りましょう!
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地図を見る登山口から約30分、大文字の”大”の字に到着!ここからは京都市内が一望できる、なんとも達成感のある絶景が広がります!標高は約300m程ですが、のっぺりとした京都市街を眼下におさめることができるでしょう。
ちなみに大文字の文字は火床と呼ばれる75基の点火台によって構成されています。その中央の部分、”大”の文字の交差部分・中心点を「金尾(かなわ)」と呼んでいます。この金尾の部分は特に大きな火床になっていて、大きな火が上がるようになっています。それはきっと「五山の送り火」でも確認できるかと思います。
また、金尾の真後ろには弘法大師を祀った「大師堂」があり、五山の送り火当日はこの場所で祈祷が行われ、堂内で焚かれた護摩木が親火となるのです。
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地図を見るさて、画像は大文字の中心部「金尾」から大の字の3画目、右はらいの部分を見ています。斜度はご覧の通りの傾斜で、はらいの先端までは120m、実に27基もの火床が連なっています。大文字は、当然遠方からも見やすいように斜面に貼りつくように描かれています。先端まで行くだけでも相当な標高差・・・。見るだけに留めておきたいレベルですね。
余談ですが、左のはらいは右のはらいより短く20基の火床で収まる長さで、大の文字は左右非対称になっているんです。
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地図を見る大の字の頂点は字頭(じがしら)と呼ばれ、ここは2基の火床で構成されています。ちなみに全ての火床は土に埋め込まれ、耐火性に優れた大谷石製で造られています。
火床に立っていても、どうしてこの配置で遠くから”大”の文字に見えるのかと不思議に思えます。測量技術など確立されていたわけでもない遠い昔の人がよくちゃんと”大”の文字を描けたなぁと感心せざるをえません。
ちなみに五山の送り火の起源自体は公式な記録が残っておらず、平安時代とも江戸時代とも言われています。記録にしっかりと残っているのは400年前の江戸時代とされているようです。
大文字山からは天気が良ければ大阪まで見通せるような場所。当然、京都市街が一望できるのは言うまでもありません。
実は京都市の厳しい景観条例の中には「大文字が見える」という条項もあり、この大文字山は京都市内からちゃんと見えるように保たれているのです。これこそ、大文字山から京都全域の絶景が見渡せる理由!まさに古都・京都が守り続けてきた絶景、それこそが大文字山からの絶景なのです。
※五山の送り火当日は登れません。
この記事を書いたナビゲーター
bow
京都生まれ、京都育ちの生粋の京都人です。仕事で全国を飛び回り、京都の良さを再認識したため、京都の観光に携わる仕事をしています。全国を旅した経験と、観光業界に生きる人間としての視点、更には京都人ならでは…
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