大きな楠の木に囲まれた「萌黄の館」は、風見鶏の館の西奥にあります。壁がもえぎ色の館で名前の由来となっています。明治36年(1903)にアメリカ総領事ハンター・シャープ邸として建築されました。その後、昭和19年に(1944)に小林秀雄氏(元神戸電鉄社長)の住宅となりました。昭和55年(1980)には、国の重要文化財に指定されています。
建物の中に入ると、調度品や建物の雰囲気から古き良き神戸の歴史を感じることができます。早速、萌黄の館の中をご案内しましょう。
1階ホールをはいって右手の食堂。やわらかな光が差し込む部屋にある、落ち着いた色合いのダイニングテーブルや調度品。その中でも、特に注目していただきたいのは、タイルで施された暖炉のマントルピースです。マントルピースとは、暖炉の炉の上部・側面を囲むかたちで壁面に設けられる飾枠。この年代のアンティークの魅力が味わえ、インテリアやデザインが好きな方にはたまらないでしょう。ろうそくの燭台が飾られた当時のピアノ、バラの壁紙などは、ぜひ、実物で見ていただきたい一品です。1Fには、応接室や書斎も公開されています。
2Fには寝室が2つと子ども部屋に化粧室があります。こちらで、注目していただきたいのは、寝室やバスルームの小物類です。こども部屋の地球儀やバスルームのシャワーなどがレトロで、まるでタイムスリップしたかのように明治時代の生活様式に触れることができます。
窓で囲まれた開放的な2Fのベランダからは、神戸の市街地が見渡せる素晴らしい眺望が広がっています。西には、ポートタワーやハーバーランドが。正面には、神戸港の美しい風景やポートアイランドの風景まで眼下に広がります。見晴らしの良い景色が国内外の観光客の方に人気で記念撮影をされている方も多く見かけます。
庭にある煙突は、平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災で落下した3本の煙突の一つです。館は、1年をかけて修復されましたが、西の煙突は落下した当時のまま庭に残されています。神戸でもこういった資料は人と防災未来センター以外ではなかなか見ることができません。震災の当時の様子がわかる貴重な資料として記念に写真を撮る方も多く、館内でも人気のエリアとなっています。
異人館街へは、JR三ノ宮駅から北へ徒歩15分ほどです。山陽新幹線の新神戸駅からも西へ約15分のところにあり、徒歩でのアクセスも可能です。又、JR三ノ宮駅北側にある緑色の停留所が目印のシティー・ループバスで異人館街まで移動する方法もあります。異人館街に行くまでは、ゆるやかな坂道が続くので足に自信がない方にお勧めです。
10番停留所の北野異人館前でバスを降りて西へ少し歩き、トーマス坂を上がっていくと北野町広場が見えます。萌黄の館は北野町広場の西側にあります。
風見鶏の館と萌黄の館は、2館券(650円)が販売されているので、2館入館するならよりお得です。
又、萌黄の館周辺には、他にも散策に良い見どころスポットが多く集まっています。さきほども御案内した、尖塔上の風見鶏と赤レンガの外壁が北野のシンボルとも言える風見鶏の館が隣接しています。又、風見鶏の館を少し東に歩くと鳥居があり、その階段を昇ると眺望が美しい北野天満神社、東の細い通路をさらに北へ上っていくと、うろこ状の外装が印象的なうろこの家などがあります。
特に春や秋の季節は散策にベストシーズン。神戸・北野異人館街へぜひお越しください。
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