民家や土産物屋がひしめき合うような観光地ではない。田園が広がり春から夏にかけてはレンゲ畑が広がる地に、五重塔だけが堂々とそびえ立つ。ずっと昔からこの景色は変わらず存在したのだろうかと、刻をさかのぼる旅に出た気分になれる景色が広がる。
天平13年(741年)、聖武天皇の詔によって一国に一寺建設された国分寺。そのひとつ、備中国分寺も備中の国における好処を選んでこの地に建築された。当時は七重塔と七堂伽藍を備えた壮大なものであったという。平安時代以降衰え廃寺となり、南北朝時代には焼失してしまったと伝わる。
現在の備中国分寺は、天正年間(1573年-1592年)に備中高松城主・清水宗治が再興した後、江戸時代中期(1704年-1711年)に再建された。
ここの見どころは、建物だけではない。周辺をただただ歩いてみることをおすすめしたい。五重塔を眺めながら散策し、周辺に広がる田園に咲く四季折々の花を愛で、自然を満喫しながら悠久の刻に思いを馳せる。そんな贅沢な時間を楽しんで欲しい。
写真は蓮華の花が咲く季節。GW期間あたりには毎年「吉備路れんげウィーク」として「吉備路れんげまつり」などが開催される。
写真:塚本 隆司
地図を見るここ吉備に限らず、国分寺の建立は国ごとに経本一部を安置した七重塔を造ることが要点とされていたという。創建当時の国分寺の姿は、もう全国を探しても残っていない。
文政4年(1821)に再建に着手された五重塔は、20年余の歳月を経て完成したという国指定の重要文化財だ。
総高34.3m。木造本瓦葺きで青銅製の相輪(屋根から天に向かって突き出た金属製の部分)をたてている大規模な塔である。一見、屋根の横幅に比べ高さがあるので不安定な感じがするが、江戸時代後期五重塔に共通な建築様式だという。塔のまわりにある十二支の彫り物にも注目してもらいたい。
吉備路観光の拠点に相応しい宿がある。国民宿舎「サンロード吉備路」。ここは、全国の国民宿舎を対象にした「宿泊利用率ランキング」(国民宿舎協会発表)でも、常に上位にランクされる人気の宿泊施設だ。
国道429号線沿いにあり、山陽道倉敷ICから約10分・岡山道岡山総社ICからも約10分、電車でもJR総社駅からタクシーで約10分と交通の便が良い。備中国分寺にも近く、宿から徒歩で20分ほどの距離だ。
館内には、新鮮な野菜が安価に購入できる農産物販売所「サン直広場・ええとこそうじゃ」や地元特産品が並ぶ売店・ベーカリーショップとあり、宿泊しなくても利用ができる。
館内にある日帰り利用もできる天然温泉はアルカリ性単純温泉。
自然岩を組んだ和風風呂とモダンな洋風風呂の2つの大浴場があり、1日ごとに男女の利用が入れ替わる。
両方に露天風呂やサウナがあるのも嬉しい。特に和風の露天風呂は広々として、なんとも心地が良い。
吉備路観光を楽しみ温泉三昧、もちろん四季折々の食事も楽しめて心も体も癒せる宿なのだ。
サンロード吉備路に併設される形で、緑豊かな丘陵地を利用したタンチョウの保護と繁殖を目的にした施設「きびじつるの里」がある。
約3haの敷地内に人工池があり、つるの家(管理棟)、学びの家(研修棟)、飼育ケージなどが無料で見学できるのだ。
淡水魚観察コーナーでは、餌用の淡水魚を観賞用としてミニ水族館として展示しているのも実に面白い。
他にも、桃太郎伝説にまつわる鬼ノ城や吉備津神社、倉敷や岡山城・後楽園にも近く、みどころがたっぷりある岡山県総社市。天然温泉に癒され自然を満喫できるのに手軽に行ける。こんないいところは、そうそうないだろう。是非、訪れてみて頂きたい。
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(2024/10/12更新)
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