写真:藤井 麻未
地図を見るCOREDO室町2の地下、食料品などの販売エリアから更に奥の通路を進んだところに水戯庵はひっそりと間口を広げている。買い物客の喧騒が嘘のように静まり、雅なお香の薫りが辺りに立ち込めている。
水戯庵のオーナーは、金魚の水槽をアーティスティックに展示したアートアクアリウムで有名な木村英智氏。伝統芸能に造詣が深く京都に所縁のある木村氏は、初心者でも気軽に日本の伝統文化に触れられる場として劇場型レストラン水戯庵を造った。
水戯庵のコンセプトは“本物”を“分かりやすく”。事前知識の無い初心者でも敷居の高さをまるで感じることなく楽しめる工夫が随所に凝らされているのだ。しかも張りぼての演出ではなく一流のものを五感で味わうことができる。ありそうで無かった新しいエンターテインメントの形である。
写真:藤井 麻未
地図を見る水戯庵の魅力は第一に、敷居が高い、難しいと思われがちな伝統芸能の世界を非常に身近に感じさせてくれる演出にある。中央に鎮座するのは印象的な老松が描かれたクラシックな能舞台。観客は中央のソファー席からおひとり様でも楽しめるカウンター席、テーブル席にて、まるでラウンジのように寛ぎながら鑑賞することができる。しかも通常の能楽堂などではあり得ない舞台との距離感。最もリーズナブルな席でも演者の動きをしっかりと見てとることができる。
写真:藤井 麻未
地図を見る舞台で行われるのは能楽や雅楽、狂言、日本舞踊など。それぞれ各流派の一流の演者が芸を見せてくれるのだが、初心者でも退屈せずに見られる工夫に脱帽だ。なんと演者自らがマイクをとり、解説を交えながら演技をしてくれるのだ。場合によっては通常見ることのできない舞台裏のシーンまでも公開。更に公演時間は約20分と短く、初見でも動きがあり分かりやすいクライマックス部分を見せてくれるのもポイントだ。意味が分からない、眠くなる、などといった初心者特有の悩みを見事に解決してくれる。
写真:藤井 麻未
地図を見るそして公演後には撮影可能な時間が用意されているのも嬉しい。なかなか写真に収めるチャンスなど無い装束を付けた演者の姿などを心置きなく撮影、公開できる。先ほどまで雅な演技を見せてくれた演者の方々が舞台を降りて客席まで来てくれることも。演者に直接質問したり交流することができるのも大きな魅力だ。
写真:金春流「敦盛」シテ 井上貴覚
写真:藤井 麻未
地図を見る水戯庵に足を踏み入れた時に感じるのは、非日常の世界にやって来たような感覚。それもそのはず、水戯庵の調度品や設えは木村氏がひとつひとつ拘って選び抜いた個性的なお宝ばかりなのだ。
例えば能舞台の鏡板は観世流能楽師片山家、京舞井上家所縁に伝わる由緒あるものだ。壁に掛けられた84の能面は能人形制作の老舗「二条人形工房」による。ソファ席に何気なく敷かれた絨毯は佐賀藩の御用品として保護された「鍋島緞通」吉島家の特注品。和洋がミックスされた独特の室礼は訪れる者をたちまち別世界へと誘う。
写真:藤井 麻未
地図を見る入口を入るとすぐの通路は両側に画が飾られたギャラリーになっている。こちらも単なる飾りにあらず。江戸、明治、大正期に描かれた「東海道五十三次(行書版)」「能楽百番」などのレプリカではなく本物が並ぶ。定期的に入れ替えられ、まるで古美術を展示する美術館を訪れているようだ。
写真:藤井 麻未
地図を見る水戯庵での楽しみは伝統芸能鑑賞のみに留まらない。舞台が終了した後にはランチ、ティータイム、ディナーを楽しむことができる。水戯庵では食にも並々ならぬ拘りがあり、特に日本最古の江戸前寿司処といわれた「すし栄」の握りを食べられるのは現在ここだけである。
また、環境保全にも取り組む木村氏の意向で、水戯庵で供される海産物は持続可能な海洋資源である「ブルーシーフード」に挙げられる魚介類のみを使用している。老舗の味を守りながら寿司ネタの全てにブルーシーフードをしているというのは世界でもここだけである。
写真:藤井 麻未
地図を見る器類や何気なく置かれた水差しなどには江戸〜大正期に作られたヴィンテージものを惜しげ無く使用している。古美術品としてもおかしくない貴重な年代物を実際手に取って使うことができるのだ。
写真:藤井 麻未
地図を見るその他、京都の老舗「老松」や「亀末廣」の和菓子も味わえる。共に出されるお茶は寛政2年(1790年)創業の老舗茶舗「福寿園」拘りの抹茶、玉露、煎茶、ほうじ茶などから好みのものを。
各種酒類も揃うが、オススメはワイン。近年注目を浴びる国産ワインに拘り、熊本ワイン、岩手ワインなど普段あまり目にすることのない逸品が味わえる。また2016年日露会談でプーチン大統領にも提供された「ドメイヌ・タケダ ブラッククイーン古木」など稀少なワインが並ぶ。
写真:藤井 麻未
地図を見る水戯庵での宴はもちろん夜も続く。20:30以降カウンター席は大人な雰囲気漂うバーへと早変わり。舞台では芸納言が粋な江戸の座敷芸を披露してくれる。実はこの場所は、黒船来航の際にペリー一行をもてなしたとされる伝説の料亭「百川」の跡地だ。江戸一だとされた幻の料亭には数々の著名人、文豪たちが集ったのだという。夜のバーはその名を引き継いだ「百川ラウンジ」となり、落ち着いた大人の社交空間として日本橋の夜を彩る。是非ふらりと訪れてみたい。
写真:藤井 麻未
地図を見る地下にひっそりと存在する「水戯庵」。今も昔も粋な文化が行き交う日本橋で、日本伝統文化の神髄をこれほどまでに気軽に味わうことができる場は水戯庵をおいて他に無い。ラグジュアリーな空間でお宝級の本物に直に触れることができるにしては料金も破格である。接待にもデートにも、友人同士の語らいにも使える注目スポットとして訪れてみてはいかがだろうか。
住所:東京都中央区日本橋室町2-5-10 B1F
電話番号:03-3527-9378
営業時間:11:30〜23:30(Lo.23:00)、日・祝11:00〜21:00(Lo.20:30)
休業日:元旦/臨時休業
アクセス:東京メトロ銀座線/半蔵門線A6出口徒歩1分 コレド室町2直結
2018年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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