苫小牧市のシンボルであり、新千歳空港からも西側に見える山・樽前山(写真)は、支笏湖の南側にある活火山。山頂には1909年の噴火で出来た溶岩ドームがあります。地元の人は樽前山を昔から神山、神体と仰ぎ、深く信仰してきました。樽前山神社のはじまりは、1868年樽前山周辺の原野を開拓するために、樽前山山麓に山の神・大山津見神(おおやまつみのかみ)を祀ったことによります。
1875年に古くから山麓に祀られていた神祠(ほこら)が、明治天皇の勅命により苫小牧の町の中心地へ移されます。この時に、大山津見神、木の神・久々能智神(くくのちのかみ)、草の神・鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)を御祭神として定められ、苫小牧だけでなく、千歳、白老(しらおい)、勇払(ゆうふつ)三郡の総鎮守となりました。なお大山津見神、久々能智神、鹿屋野比売神は、いずれも日本を作った神、伊邪那岐(いざなぎ)・伊邪那美(いざなみ)の間に生まれた神々です。
1992年7月に、苫小牧市矢代町より現在の高丘へ移転造営されました。樽前山神社からは苫小牧市中心部がよく見えます。また樽前山山頂には1928年、街の発展、山の平穏、人々の幸福、登山者の安泰を願い樽前山神社の奥宮が造営されました。
樽前山神社には摂末社として、小規模な神社が境内に5社あり、天満社、稲荷社、聖徳神社、かえるさん、布袋(ほてい)さんと呼ばれています。ここでは代表的な3社を紹介します。
天満社(写真)は1986年、樽前山神社が別表社(神社本庁が包括している神社)に加えられた事を記念し、九州の太宰府天満宮から御分霊を戴いて創建されました。神様は菅原道真で、学問の向上、郷土の教育、文化の振興を祈ります。正月や受験シーズンには参拝者が多いです。
稲荷社(写真)は本社が京都の伏見稲荷大社であり、1891年食事を司る神様として奉斎されました。宇迦之御魂神(うかのみたま)を祀り、産業殖産、商売繁盛の御利益があります。なお樽前山神社の境内には、地元の食品業やホテル業など、調理業界の人々が業界の発展を祈って建立した包丁塚もあります。
聖徳神社(写真)は聖徳太子を御祭神とし、日本建築の基礎を築いた功績から建築・土木の神様として拝まれています。1927年に太子堂として苫小牧市幸町に建立、1966年に聖徳神社として奉斎されています。1996年に現在の樽前山神社境内へ移遷し、主に地元の建設業界が維持運営を担っています。
圓満石(えんまんいし・写真)は、地元に住む人々の家庭をはじめ、会社、地域、国家、世界の円満を祈って奉納されました。本殿の近くにあります。願いを込めて石を撫で、石の周りを回るとよいと言われます。
天満社の鳥居そばにある「願掛け牛(写真)」は願いを叶える牛。天満社にある理由は、菅原道真が命を狙われたとき、大切にしていた牛が夜鳴きをして危害を未然に防いだ故事によります。縁起のよい牛として、願いを込め、牛の頭や躰を撫でてみましょう。
神社に参拝した時、引きたくなってしまうおみくじですが、樽前山神社には写真左の七福神福よせおみくじの他に、「えぞみくじ」が頒布されています。各地域の特産品などを模した張り子の中におみくじが入っていて、樽前山神社のほかに5カ所、根室・金刀比羅神社、稚内・北門神社、美瑛町・美瑛神社、帯広市・帯廣神社、函館・湯倉神社にあります。
樽前山神社のえぞみくじは、「貝運!一念発起みくじ」です。苫小牧は北寄貝の水揚げ量が日本一。開運に貝を、発起に北寄(ほっき)とかけて名付けられました。
えぞみくじ(写真)の文言は北海道弁で書かれていて、「なまら(とても)」、「〜っしょ(〜です)」といった言葉が書かれていたりするほか、幸運の名所や名物も北海道にちなんだものになっています。えぞみくじは北海道の若手神職6人が共同で企画したもので、神社間で連携したご当地おみくじは全国初です。
住所:北海道苫小牧市高丘6-49
電話番号:0144-36-6661
アクセス:
JR苫小牧駅北口から車で8分
JR苫小牧駅南口バスターミナルから道南バスで20分
苫小牧工業高校下車、徒歩5分
2018年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索