侘び寂びの世界が広がる愛媛大洲「臥龍山荘」伊予の小京都に佇む名建築

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侘び寂びの世界が広がる愛媛大洲「臥龍山荘」伊予の小京都に佇む名建築

侘び寂びの世界が広がる愛媛大洲「臥龍山荘」伊予の小京都に佇む名建築

更新日:2019/01/16 16:47

肥後 球磨門のプロフィール写真 肥後 球磨門

明治時代、愛媛県大洲出身の貿易商が余生を過ごすために建てたという「臥龍山荘(がりゅうさんそう)」は匠の技で生み出された侘び寂びの世界が広がる数寄屋建築の傑作です。母屋や茶室、さらには庭園のあちらこちらに遊び心のある手の込んだ造作と工夫がみられ、訪れるもの目を楽しませます。ミシュラントラベルガイドで1つ星を獲得した「臥龍山荘」を紹介します。

肱川の「臥龍淵」に建つ「臥龍山荘」

肱川の「臥龍淵」に建つ「臥龍山荘」

写真:肥後 球磨門

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伊予の小京都と称される愛媛県大洲市。明治の貿易商・河内寅次郎(こうちとらじろう)が、生まれ育ったこの地で余生を送るために、町を流れる肘川(ひじかわ)の「臥龍淵(がりゅうぶち)」に「臥龍山荘(がりゅうさんそう)」を建てました。京都から名工を呼び寄せ、構想に10年、着工から3年8カ月という時間をかけて明治40年に完成した屋敷は建築家の黒川紀章から桂離宮に勝るとも劣らない傑作と評され、2011年には「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」の一つ星を獲得した大洲市のおすすめ観光スポットです。

肱川の「臥龍淵」に建つ「臥龍山荘」

写真:肥後 球磨門

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山荘入り口の黒門を入ってすぐの石垣から木が飛び出しているのにはいきなり驚かされますが、これはもともとこの場所に生えていた木を切り倒さずに石を積み上げた結果なのです。月に見立てた石臼や、船に見立てた手水鉢がはめ込まれているところもあるので、これらを探しながら職人の遊び心を感じてみては。さらに建物内部にはどんな細工が見られるのか、期待が増してワクワクしてきます。

侘び寂びの世界が広がる母屋「臥龍院」

侘び寂びの世界が広がる母屋「臥龍院」

写真:肥後 球磨門

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臥龍山荘は「臥龍院」、「知止庵(ちしあん)」、そして「不老庵」の3つの建物から構成されています。母屋の「臥龍院」は数寄屋建築の傑作と評されていますが、樹木に囲まれた木造茅葺(かやぶき)屋根の建物は農家のような親しみやすい雰囲気も持っています。

侘び寂びの世界が広がる母屋「臥龍院」

写真:肥後 球磨門

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家の中では手の込んだ匠の技と遊び心を見ることができます。たとえば畳をあげれば能舞台になるように作られた「壱是の間」。音響を良くするために床下に備前焼の壺を12個埋め込んでいます。「清吹の間」は北向きで風通しが良いので他の部屋よりもさらに天井を高くし、畳の代わりに籐の敷物を敷いたり欄間に花筏の透かし彫りを施して、夏をより涼しくすごせるような工夫が見られます。

侘び寂びの世界が広がる母屋「臥龍院」

写真:肥後 球磨門

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茶室の「霞月(かげつ)の間」も見どころが沢山ありますが、まずは床の間に注目してください。富士山を描いた掛け軸の前にある違い棚はたなびく霞を表現し、丸窓の奥は仏壇になっていて、ろうそくを灯せば丸い月になるという細工が施されているのです。これらの工夫から「霞月の間」と名付けられたとの事。もうひとつ注目すべきは、壁の一部をあえて塗り残した下地窓(したじまど)。別名「破れ窓」とも呼ばれ、千利休が農家の剥げ落ちた壁の下地を見て侘びを感じ、茶室に採用したのが始まりとされている工夫です。その他、松の一枚板を使った廊下にあえて目地を入れて、一般の家の廊下で使われる寄せ木のような質素、素朴なしつらえの中に侘び寂びを見る趣向になっています。

驚き!生き続けている自然木が柱「不老庵」

驚き!生き続けている自然木が柱「不老庵」

写真:肥後 球磨門

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山荘の一番奥に建つのが「不老庵」です。石垣の上からせり出すように造られた懸け造りという工法で、臥龍淵を真下に見て肱川の絶景を臨む事ができます。

驚き!生き続けている自然木が柱「不老庵」

写真:肥後 球磨門

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驚くことに、この建物は明治34(1901)年に竣工した当時から生き続ける慎(まき)の木が軒を支えています。「捨て柱」と呼ばれ、慎の木の樹幹を切ることで上への成長を止め、日陰で雨もあたらない場所のため、成長も遅くなるという計算のうえで使われている柱で、不老庵の見どころの一つです。

驚き!生き続けている自然木が柱「不老庵」

写真:肥後 球磨門

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不老庵は肱川を行き来する舟をイメージして設計されています。竹で編んだ緩やかな丸みをつけた天井で船を表現。臥龍淵の川面で反射した月明かりがほんのりと天井を照らし、川のせせらぎとともに月明りのゆらめきを楽しめるようになっています。残念ながら山荘は17時に閉まりますが、月夜の幻想的な風景を想像してみるのも楽しいのではないでしょうか。

四季折々の表情を楽しむ臥龍山荘庭園

四季折々の表情を楽しむ臥龍山荘庭園

写真:肥後 球磨門

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建物だけでなく、四季それぞれの表情を楽しむことができる庭園も風情があります。春の新緑、夏の百日紅(さるすべり)、秋は紅葉や金木犀の香りと、どの季節に訪れても楽しめる庭園で、足元の苔むした飛び石にも侘び寂びを感じるのではないでしょうか。

四季折々の表情を楽しむ臥龍山荘庭園

写真:肥後 球磨門

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庭園内では浴室を改装した茶室の「知止庵(ちしあん)」や昔の冷蔵庫にあたる氷室「潜龍洞(せんりゅうどう)」も見ることができます。

自然の樹木をそのまま利用し、匠の技を取り入れながら侘び寂びを大切にした趣きあるしつらえの臥龍山荘。その歴史と建築物としての価値を知れば知るほど奥深さを感じるのではないでしょうか。伊予の小京都に佇む山荘に足を運んでみてはいかがでしょう。

臥龍山荘の基本情報

住所:愛媛県大洲市大洲411-2
電話番号:0893-24-3759
営業時間:9:00〜17:00
アクセス:JR大洲駅よりタクシーで約5分 大洲まちの駅「あさもや」から徒歩5分

2019年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/10/12 訪問

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