堀川と石橋が郷愁を誘う!昭和の風情漂う日南市「油津」観光

堀川と石橋が郷愁を誘う!昭和の風情漂う日南市「油津」観光

更新日:2021/01/18 09:48

沢原 馨のプロフィール写真 沢原 馨
宮崎県日南市の油津は古くから栄えた港町。特に昭和初期には世に言う「マグロ景気」によって大いに繁栄しました。油津の町には今も往時の賑わいの面影がそこかしこに残り、レトロな風情を味わいながらの散策が楽しめます。江戸時代に開削された「堀川」や、そこに架けられた石橋の景観も素晴らしく、町中には貴重な建築物も残っています。映画やテレビドラマのロケにも使われた油津の町を訪ねてみませんか。

レトロな風情が味わい深い、港町「油津」

レトロな風情が味わい深い、港町「油津」

写真:沢原 馨

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宮崎県日南市の油津は、油津港を中心にした港町。油津の港は地形の利によって天然の良港として古くから開けていました。江戸時代には飫肥藩の要港として栄え、明治期には海上交通の要衝として賑わい、戦前の昭和初期にはマグロの水揚げが急増して「日本のマグロ相場は油津で決まる」とまで言われ、大いに繁栄しました。油津はそうした賑わいの面影を今も残し、郷愁を誘われるような佇まいが魅力の港町なのです。

レトロな風情が味わい深い、港町「油津」

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地元の人たちは昭和25年(1950年)に日南市が誕生する以前の「油津町」の範囲を今も「油津」と呼び慣わしていますが、観光に訪れるべき「油津」としてお勧めしたいのは、町の名に「油津」を冠した油津一丁目から油津四丁目の辺り。油津港に面して古い町並みが残り、貴重な建築物を見ることもできます。レトロな風情を味わいながら、港町特有の細い路地へ迷い込んでみませんか。

レトロな風情が味わい深い、港町「油津」

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堀川運河と堀川橋は油津の象徴的存在

堀川運河と堀川橋は油津の象徴的存在

写真:沢原 馨

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「堀川運河」は油津の町の象徴的存在。広渡川の河口部と油津港を繋いで江戸時代初期に開削されました。日南市西奥の山地で産出される木材(飫肥杉)は広渡川を使って運ばれていましたが、その木材を油津港へと効率良く送り込むことが目的でした。開削工事はなかなかの難工事だったようですが、この運河によって木材の搬出が飛躍的に効率化され、飫肥藩の財政を支えることになったのです。

堀川運河と堀川橋は油津の象徴的存在

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現在の堀川運河は本来の役目を終えて歴史遺産としての価値が見直され、主に観光資源として活用されています。北側の園田や春日町の辺りは現代的なデザインで整備されていますが、油津港に近い南側では岸辺に古い町並みが残り、風情溢れる景観を見せてくれます。堀川沿いの道、地元で言う「堀川端(ほりかわばた)」をのんびりと歩いて、その風情を味わうのがお勧めですよ。

堀川運河と堀川橋は油津の象徴的存在

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その堀川運河を跨いで美しい石橋が架かっています。石橋は「堀川橋」、あるいは単に「石橋」、時には(橋の袂に「吾平津神社」、別名「乙姫神社」が建っていることから)「乙姫橋」などと呼ばれます。この石橋は明治36年(1903年)に完成しました。国の登録有形文化財です。石橋が描くアーチも美しく、その景観は観光地としての油津を象徴するものと言っていいでしょう。

往時の繁栄を今に伝える「油津赤レンガ館」

往時の繁栄を今に伝える「油津赤レンガ館」

写真:沢原 馨

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油津一丁目の路地を歩いていると、レンガ造りの美しい建物を見つけることができます。これは「油津赤レンガ館」。大正10年(1921年)に油津の豪商「河野家」の倉庫として建てられました。国の登録有形文化財となっている貴重な建物です。内部も見学できますから、ぜひ立ち寄っていきましょう。

往時の繁栄を今に伝える「油津赤レンガ館」

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この赤レンガの倉庫、平成の時代になって競売にかけられそうになりました。他者の手に渡れば解体されるのは避けられません。それを惜しんだ地元の有志が立ち上がり、資金を募って買い取り、保存することができたのです。出資を募るに当たって、「堀川運河に1人100万円を捨てたと思ってくれ」と言って呼びかけられたといいます。そして、それに応えた人たちがいたお陰で、今こうして「油津赤レンガ館」が残っているのです。ふるさとを思う人たちの心意気に感動してしまいますね。

往時の繁栄を今に伝える「油津赤レンガ館」

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現在の「油津赤レンガ館」は日南市の所有となり、改修と補強を経て一般公開されています。内部はコワーキングスペースとして活用されている他、フリーマーケットなどのイベントにも使われます。訪ねたときにイベント開催中だったら、それはそれで楽しいかもしれません。気後れせずに仲間入りしてみてはいかがですか。

木造三階建ての貴重な建築物、杉村金物本店は必見!

木造三階建ての貴重な建築物、杉村金物本店は必見!

写真:沢原 馨

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「油津赤レンガ館」の西側、国道220号との角に木造三階建ての立派な建物が建っています。杉村金物本店です。杉村金物本店は明治25年(1892年)創業の老舗、この建物は昭和7年(1932年)に建てられました。一階は店舗、二階、三階は住居という構造で、昭和初期の木造三階建て住居として極めて貴重なものです。残念ながら老朽化は免れず、保守に苦労されているとか。

木造三階建ての貴重な建築物、杉村金物本店は必見!

写真:沢原 馨

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杉村金物本店は各種金物や漁具、船具を扱うお店ですが、今ではあまり客はなく、「趣味のようなお店ですよ」とのこと。閉まっていることも多いのですが、開いていればお店の中を見学させていただけるかもしれません。お店に並べられた商品にも興味をそそられますが、目を引くのは壁面上部の看板類。かつての取引先や仕入先でしょうか、右から左に社名が書かれた看板にお店の歴史が感じられます。

杉村金物本店は公立の資料館などではありません。個人の商店です。お店の中を見学させていただくときには、必ずお店の方にご挨拶し、写真撮影なども許可を得てからにしましょう。最低限のマナーは守りましょうね。

木造三階建ての貴重な建築物、杉村金物本店は必見!

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主屋の裏手にはレンガ造りの倉庫も残っています。改修された「油津赤レンガ館」とは違い、昔のままの佇まいで、そのレトロな風情に心惹かれます。これらの主屋と倉庫は国の登録有形文化財。油津の町に観光に訪れたときには、ぜひとも見学しておきたい建物です。

映画やテレビドラマのロケにも使われた油津の町

映画やテレビドラマのロケにも使われた油津の町

写真:沢原 馨

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昭和初期の面影を残す油津の町は、映画やテレビドラマのロケにも使われました。松竹映画「男はつらいよ」シリーズの第45作「寅次郎の青春」(1992年公開)では堀川橋周辺が物語の舞台として登場します。山田洋次監督も主演の故渥美清さんも油津の町の佇まいを気に入られていたとか。

映画やテレビドラマのロケにも使われた油津の町

写真:沢原 馨

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また平成16年度後期(2004年10月から2005年3月)に放送されたNHK連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」の「わかば」では主人公若葉が身を寄せる伯父の家「村上酒造」の玄関先として油津が使われました。「村上酒造」は飫肥にある設定だったのですが、玄関先のロケは油津で行われたのです。

これらのロケ地は案内板が設けられているので、比較的容易に見つけることができます。油津の町を散策しながら、ロケ地を探してみるのも楽しいですよ。昭和の面影を残す、風情溢れる油津の町、存分に楽しんでくださいね。

映画やテレビドラマのロケにも使われた油津の町

写真:沢原 馨

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油津の町観光の際には、まず「堀川資料館」に立ち寄っておくのもお勧め。館内には観光パンフレットなどが用意されている他、前述の「男はつらいよ〜寅次郎の青春」関連の資料などが展示されています。2階ベランダからは堀川運河を見下ろし、すぐ横手に堀川橋が見えています。堀川と堀川橋のビュースポットとしてもお勧めです。

油津観光についてもっと詳しく知りたい方は、国道222号が堀川を跨ぐ油津大橋の袂にある「日南市観光案内所」に立ち寄っておくといいでしょう。いろいろと見どころを教えてもらってから散策に出かけると、油津観光をより楽しめますよ。

油津(油津一丁目〜四丁目)の基本情報

住所:宮崎県日南市油津一丁目〜四丁目
電話番号:0987-31-1134(日南市観光協会)、0987-27-3600(油津赤レンガ館)
アクセス:JR日南線油津駅から堀川橋まで最短距離で徒歩15分ほど/観光用駐車場有り(場所は「日南市観光案内所」でお尋ねください)

2019年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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