まずナマハゲをより楽しむために、ユネスコ無形文化遺産「来訪神(らいほうしん) 仮面・仮装の神々」への登録の経緯を説明します。
男鹿半島のナマハゲは、2018年11月29日にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
ナマハゲは、日本政府がかつてより世界遺産に登録しようと奮闘してる祭礼でした。
2011年にユネスコ無形文化遺産保護条約政府間委員会に登録の打診をするも、2009年に登録されていた甑島のトシドンにナマハゲが来訪神行事として酷似していたため、登録ではなく情報照会とされます。
情報照会とは分かりやすく言うと「登録はしない訳ではないけど、登録までにはもうちょっと詳しく教えてくださいね」ということです。
ここからナマハゲが世界遺産になるために関係者は頭をひねることになります。
2016年に甑島のトシドンを拡張し、「男鹿のナマハゲ」を含む国指定重要無形民俗文化財を「来訪神:仮面・仮装の神々」としてグループ化して提案します。
つまりナマハゲ単体での登録ではなく、10の来訪神行事でまとめて登録を狙ったんですね。
しかし、この登録の提案はまた不運に見舞われます。ユネスコの審査件数基準というものがあって登録を先送りされてしまったのです。
幾多の荒波を越えながらも翌年の2017年にナマハゲは「来訪神(らいほうしん) 仮面・仮装の神々」に再申請。
2018年に、足かけ7年にわたるナマハゲのユネスコ無形文化遺産登録が実を結んだのでした。
では、ナマハゲを含んで、ユネスコ無形文化遺産に登録された「来訪神(らいほうしん) 仮面・仮装の神々」とは何なのでしょうか。
まず、来訪神と呼ばれる神は、かぶりもの(仮面)を被って変装した神であることが多く、一年のうちのある一定の時期(大晦日であることが多い)に変装してフラッと現れて人々に幸福をもたらしたり、戒めを授けたりします。そして、用件が済むとこの神はフラッと帰っていきます。
来訪神というのは、常に神社やお寺にいるわけではなく、その一定の時期だけに来るという特徴があります。
このような形態を持つ祭りというものが日本中に分布しており、これがとても特異行事だと注目されているのです。
現在日本で来訪神行事として国指定重要無形民俗文化財に指定されているのは10件。
ユネスコ無形文化遺産に登録されたのは、この10の国指定の重要無形民俗文化財となりました。
本物のナマハゲを見るには大晦日の夜、すなわち年越しにかけて秋田県の男鹿半島に行く必要があります。
男鹿半島のナマハゲは、男鹿半島のありとあらゆる集落で行われているため、どこの集落でも見ることができます。
ただし地区ごとにやり方や面が違いますので、どの地区を見るかによってナマハゲの印象が変わってくるでしょう。
比較的見やすいナマハゲを行っているのは船川港地区の門前集落になります。
この門前集落への行き方をご紹介します。
秋田駅から男鹿線下りの列車で約1時間乗り、終点男鹿駅で降ります。その後、男鹿駅から男鹿南線のバスで約35分ほど乗り、終点の門前駐車場で下車します。
自家用車もしくはレンタカーで行く際は、「赤神神社」を目印に集落に向かってください。
大晦日の秋田は間違いなく雪に埋まっています。公共交通機関をお使いになる場合は足元にお気をつけて、車で行かれる場合は必ずスタッドレスタイヤとチェーンをお持ちください。
宿泊できる宿は門前集落には4軒しかありません。予約はお早めに…。
<赤神神社の基本情報>
住所:秋田県男鹿市船川港本山門前字祓川35
電話番号:0185-24-9103
ちなみに、12月31日に男鹿半島に行けても現地に泊まる事のできない方は、男鹿真山伝承館で12月31日も真山地区のナマハゲを見ることができます。
男鹿真山伝承館は、茅葺屋根が特徴の曲家(まがりや)で、ナマハゲの実演は4月〜11月、12〜3月は土・日曜、祝日、12月31日〜1月2日の3日間に開講しています。
夜まで集落にいられない方はぜひこちらへどうぞ。
※写真は真山地区のナマハゲ
<男鹿真山伝承館の基本情報>
住所:男鹿市北浦真山字水喰沢
電話番号:0185-22-5050
夏期開講期間:4月〜11月
冬期開講期間:12月〜3月の土日祝日および12月31日
特別開講期間:12月31日〜1月2日
門前集落でナマハゲの始まる時間は、毎年前後するので、電話等で観光協会の方にしっかり情報を教えてもらいましょう。
まず、門前集落のナマハゲ行事は、長楽寺というお寺から始まります。
ナマハゲの面をかぶった若者が住職の前に正座し、祈祷を受けます。
住職が榊を振って清めの行事が終わると、若者たちは「うおおおおおおおおおおお!!!!!!」と奇声をあげ、ナマハゲに変わります。
年越し行事のナマハゲの始まりです!
ナマハゲ達はまず、長楽寺の住職からの振る舞いを受けます。
そして、長楽寺の麓の赤神神社へと降りていきます。
長楽寺からすぐ下の赤神神社に到着すると今度は神主による祈祷が始まります。
寺と神社をすぐに行き来するという事からも、ナマハゲが神仏習合していた時代から変わらずに行われてきたという事が見て取れます。
神主の祈祷を終えたナマハゲは一杯の杯を飲み干し、麓の集落の家々へと散ってゆきます。
門前集落のナマハゲは、トタンを加工した面を使用しています。
裂織の長着の「エボシマ」と呼ばれる着物の上に「ケラ」と呼ばれる茶色い縮れた物を身にまとうのが門前集落の特徴です。
明りが少ない綺麗な星空の元で、あたりが静寂に包まれている中、まわりの家からは突然「うおおおおおおおおおおお!」というナマハゲの声、子供の泣き声、犬の吠える声などが聞こえてきます。
ある種の特殊な緊張感が漂い本当に見ごたえがあります。
ナマハゲについていくと一般のご家庭でお酒を振る舞ってもらえることがあります。振る舞っていただいたらきちんとお礼を言いましょう。
また、お邪魔しているお宅は一般家庭ということを忘れずに、節度を持って見学することを心がけましょう。
日本人なら誰でも知っているナマハゲ。
知っているけど本物を見るという機会はなかなかないはずです。
年末年始の宿泊先の予約は早く埋まってしまうものです。
早めのご予定の決定とご予約をオススメをいたします!
1年に1度の年越しだから、男鹿半島で本物の「ナマなまはげ」に会ってみませんか?
2019年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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