東京近郊で再発見!名刹・平林寺に残る「武蔵野」の面影

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東京近郊で再発見!名刹・平林寺に残る「武蔵野」の面影

東京近郊で再発見!名刹・平林寺に残る「武蔵野」の面影

更新日:2014/04/11 15:13

池口 英司のプロフィール写真 池口 英司 フリーライター、フォトグラファー 日本写真家協会(JPS)会員

武蔵野。東京都西北部から埼玉県南西部にかけて広がるこの丘陵地帯には、かつては豊かな自然が広がり、多くの文人にも愛されてきました。東京近郊の都市化が進んだことから、今日に昔日の面影を見つけ出すのは困難になっていますが、埼玉県新座市にある平林寺には、13万坪という広い境内に雑木林が広がり、武蔵野の面影を今日に伝えています。そんな平林寺を訪ね、東京の近郊に残された里山の美しさを再発見してみませんか。

建立は南北朝時代の永和元年

建立は南北朝時代の永和元年

写真:池口 英司

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新座市野火止に建つ臨済宗妙心寺派の名刹・平林寺。建立は南北朝時代の永和元年(1375年)と伝えられ、享保3年(1718年)に、岩槻から現在地に移転。それまで、野火止の一帯は原野と呼ぶにふさわしいところであったといいますが、玉川上水が完成したことによって、この地も潤されるようになり、お寺の移転が可能になったのだそうです。今も残る数々の建物には、どれも十分な歴史の重みが感じられ、この寺の長い歴史に思いを馳せることができます。

広い境内に武蔵野の面影が残る

広い境内に武蔵野の面影が残る

写真:池口 英司

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作家、国木田独歩が、随筆「武蔵野」を発表したのは1898年(明治31年)のこと。作品の中で独歩は「武蔵野に散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない」「されば君もし、一の小径を往き、たちまち三条に分かるる処に出たなら困るに及ばない、君の杖つえを立ててその倒れたほうに往きたまえ。あるいはその路が君を小さな林に導く。林の中ごろに到ってまた二つに分かれたら、その小なる路を撰えらんでみたまえ。あるいはその路が君を妙な処に導く。これは林の奥の古い墓地で苔こけむす墓が四つ五つ並んでその前にすこしばかりの空地があって、その横のほうに女郎花おみなえしなど咲いていることもあろう。頭の上の梢こずえで小鳥が鳴いていたら君の幸福である」と、武蔵野の魅力を語っています。

独歩が「武蔵野」に描いた自然を、今見つけ出すことは難しくなっていますが、平林寺の境内には武蔵野の面影を色濃く残すという雑木林が広がり、この風景が、独歩など多くの文人を惹き付けたことを理解することができます。

散策に好適な境内林

散策に好適な境内林

写真:池口 英司

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お寺の境内には、伽藍の北から東側にかけて、およそ56ヘクタールの広さの雑木林が広がっています。スギ、ヒノキ、コナラ、クヌギなどが混在する林の中には、散策に好適な道が続き、野火止塚、業平塚といった、これも往時の武蔵野を偲ぶことができるスポットを巡ることができます。境内に延びた道を歩いて回ると、1周およそ1時間を要する行程となりますが、所々にはベンチも設置され、ルートを適宜ショートカットすることもできるので、自分のペースに合わせての散策を楽しむことができます。独歩も、このような林の中を歩いたのでしょうか。

四季それぞれの美しさを楽しめる

四季それぞれの美しさを楽しめる

写真:池口 英司

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広い境内は、どの季節に訪れてもそれぞれの美しさを見せてくれますが、特に多くの人がこのお寺を訪れるのは、春の芽吹きの頃と、秋の紅葉の頃。ここに紹介させて頂いた写真は4月初めの撮影で、桜はそろそろ散りはじめていましたが、若葉の美しさが印象的でした。
このお寺の春の訪れを告げる行事として、毎年4月17日には半僧坊の大祭が開催されます。この日には門前に多くの露店が繰り出し、植木市なども開かれ、いちばんの賑わいを見せます。


平林寺:埼玉県新座市野火止3-1-1
拝観料:大人500円 子供(5歳以上)200円
西武池袋線東久留米駅、東武東上線志木駅などからバス、平林寺下車すぐ
駐車場:近隣に民間のものあり

かけがえのない残された自然

お寺の境内は遊戯施設でありませんから、節度を持って行動し、残された貴重な自然と、この自然を守ってきた人々に思いを馳せることにしましょう。

野火止の平林寺。境内に一歩足を踏み入れれば、そこは武蔵野の面影を留める自然が広がり、周囲の喧噪とは無縁の別世界で、時を過ごすことができます。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/04/05 訪問

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