阪神・淡路大震災を語り継ぐ 淡路島「北淡震災記念公園」

阪神・淡路大震災を語り継ぐ 淡路島「北淡震災記念公園」

更新日:2019/02/09 16:35

モノホシ ダンのプロフィール写真 モノホシ ダン 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
兵庫県淡路市にある「北淡震災記念公園」は、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で現れた野島断層を、保存展示する施設です。また野島断層上に立つメモリアルハウスでは、散乱した台所や震災発生時刻のまま止まった時計など、震災直後の状態を公開。ほかに震災体験館では、阪神・淡路大震災と東日本大震災の揺れの違いを体感できます。自然の脅威と防災の大切さを伝える野島断層「北淡震災記念公園」を訪れてみませんか?

日本観測史上初の震度7「兵庫県南部地震」

日本観測史上初の震度7「兵庫県南部地震」

写真:モノホシ ダン

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1995年(平成7年)1月17日火曜日、午前5時45分に発生した兵庫県南部地震は、マグニチュード7.3、国内史上初となる震度7が観測されました。関連死を含めた死者は6434人、住宅被害は約24万棟以上の大震災でした。淡路島でも約40人の方が犠牲になっています。

阪神間と淡路島に大被害をもたらした地震災害は、政府により阪神・淡路大震災と名付けられました。震源地は淡路島北部、震源の深さは約14kmの直下型地震で、活断層である野島断層が動いたことにより起きました。

北淡震災記念公園は、阪神・淡路大震災で隆起した震源にもっとも近い活断層「野島断層」を保存展示することにより、震災の記憶を風化させず、自然の脅威を通じて防災の意識を高めることを目的として、1998年(平成10年)にオープンしました。

野島断層保存館では、約140mにわたり、露出した断層や崩れた道路などが当時のままに展示されています。写真は館内のエントランスにある、地震により無残な姿になった国道43号線倒壊再現模型です。

日本観測史上初の震度7「兵庫県南部地震」

写真:モノホシ ダン

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さらにエントランスホールには、阪神・淡路大震災の当時の写真パネルが飾られていて、直下型地震の破壊力のすさまじさを知ることができます。とくに約600mに渡って横倒しになった神戸市東灘区の阪神高速の様子は、テレビや新聞などで何度も報道されたことにより、ご記憶の方も多いと思います。

日本観測史上初の震度7「兵庫県南部地震」

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震源地となったのは、明石海峡大橋の東側の海底です。特に被害の大きかった六甲山地の南に帯状にのびる地域は「震災の帯」と呼ばれ、震度7が初めて適用されました。

国指定天然記念物「野島断層」を見てみよう

国指定天然記念物「野島断層」を見てみよう

写真:モノホシ ダン

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断層保存ゾーンでは、地表に露出して屋内保存された国指定天然記念物の「野島断層」を見ることができます。北側から続く野島地震断層は、ここでアスファルト舗装道路の真下を横切り、道路を上下に約50cm、向かって右方向に最大約1.3mずらしました。ひび割れた道路の姿で、地震発生時の断層運動の凄さを感じてみて下さい。

国指定天然記念物「野島断層」を見てみよう

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断層保存ゾーンの南端からは、断層の地表と地下での姿が観察できるトレンチがあります。写真の中央に見える異なった地層の境目が野島断層です。地下の断層が、そのまま地面のずれとなって現れていることがよく分かると思います。

国指定天然記念物「野島断層」を見てみよう

写真:モノホシ ダン

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ちなみに断層とは、岩盤に力が加わると、やがて破壊して割れ目ができて、地震が起きます。この割れ目を境にして両側の岩盤がずれ動いたものが断層です。一度できた断層は岩盤の中でもとくに弱く、新たな力が加えられるたびに、そこでずれを起こします。

ことに大地震では、地下の岩盤のずれが地表まで達し、地面にずれを生じることがあります。約200万年前から現在に至るまで、こうした地表のずれを生じさせてきた断層が“活断層”です。また、断層の種類には、正断層、逆断層、横ずれ断層があり、野島断層は横ずれの成分をもった逆断層です。それぞれの断層の模型で違いを実感してみてください。

震度7の震災にも耐えた「メモリアルハウス」

震度7の震災にも耐えた「メモリアルハウス」

写真:モノホシ ダン

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野島断層保存館を出たところにあるのが「神戸の壁」。神戸市長田区若松町の公設市場の防火壁として1927年(昭和2年)頃に建てられ、第二次世界大戦の1945年(昭和20年)の神戸大空襲をしのぎ、さらに阪神・淡路大震災では、周囲の建物が倒壊全焼する中、この壁だけは崩れることなく、地震と火災に耐えたものです。

1999年(平成11年)兵庫県津名町(現淡路市)に移設、2009年(平成21年)北淡震災記念公園に再移設され、野島断層とともに震災を語り継ぎます。

震度7の震災にも耐えた「メモリアルハウス」

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野島断層の近くに立つ「メモリアルハウス」は、活断層の真横でもほとんど壊れなかった家を「震度7の震災に耐えた地震に強い家」として公開しているものです。倒れなかったのは鉄筋コンクリート造りで、基礎がしっかりとしていたからです。

震度7の震災にも耐えた「メモリアルハウス」

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メモリアルハウスの住人の方は、震災後も約4年間、この家で暮らしていました。写真は「震災直後の台所」を再現したものです。ほかにメモリアルハウスでは「震災の語りべ」が、毎週火曜日の10時〜12時・14時〜16時に活動しています。震災を風化させないように自らの体験を未来に活かせるように語ります。

「震災体験館」で揺れの違いを体験しよう

「震災体験館」で揺れの違いを体験しよう

写真:モノホシ ダン

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北淡震災記念公園を訪れたら、ぜひ体験してみたいのが「震災体験館」。兵庫県南部地震(直下型地震)と東北地方太平洋沖地震(海溝型地震)の違いを体感できます(定員10名)。また震災シアターでは、震災や津波についての映像を見ることができます。

2011年(平成23年)の東日本大震災で多くの犠牲者を出した津波。水深10mの浅瀬に津波が到達したときの速さは時速約36km。100m走にすると10秒で、津波を発見してから走って逃げるのは、ほぼ不可能に近いということがお分かりいただけると思います。

「震災体験館」で揺れの違いを体験しよう

写真:モノホシ ダン

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北淡震災記念公園は播磨灘に沈む夕陽の名所としても有名です。公園内にある日時計がついたハートのモニュメントは、淡路市制10周年を記念して2016年(平成28年)に、美しい夕陽を眺めながら明日への希望をもってもらおうと建立されました。設置場所は、野島断層保存館の入り口近くです。インスタ映えスポットしてもおすすめです。

「震災体験館」で揺れの違いを体験しよう

写真:モノホシ ダン

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ピラミッドを思わせる「べっちゃないロックと慰霊碑」。「べっちゃない」とは淡路島の方言で、大丈夫、たいしたことがない、という意味です。慰霊碑には淡路島北淡地区で犠牲となった約40人の名前が刻まれています。

淡路島のおみやげや食事も楽しめる

淡路島のおみやげや食事も楽しめる

写真:モノホシ ダン

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見学を終えたら、物産館Hokudanに立ち寄ってみましょう。北淡名産の「びわ」や、淡路たまねぎを使った「たまねぎスープ」などが人気です。たまねぎスープは、試飲することもできます。

淡路島のおみやげや食事も楽しめる

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また海の見えるレストランさくらでは、名物の「たこ丼」や海の幸を使った料理を味わうことができます。淡路島のおみやげや食事を楽しんでみて下さい。

このように北淡震災記念公園は、阪神・淡路大震災を知るだけでなく、将来起こりうるであろう大地震について真剣に考えさせてくれる施設です。この機会に自然の脅威と防災の大切さを学んでみてはいかがでしょうか。

北淡震災記念公園の基本情報

住所:兵庫県淡路市小倉177番地
電話番号:0799-82-3020
開館時間:9:00〜17:00
見学料金:大人700円、中・高生300円、小学生250円
休館日:12月下旬に臨時休館があります
アクセス:神戸淡路鳴門自動車道 北淡ICから約10分、淡路ICから約20分

2019年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/02/03 訪問

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