卑弥呼の鏡に独特の装飾壺!歴史ロマンの地・赤穂市有年(うね)

卑弥呼の鏡に独特の装飾壺!歴史ロマンの地・赤穂市有年(うね)

更新日:2019/02/18 14:51

阿部 吾郎のプロフィール写真 阿部 吾郎 フリーカメラマン、ライター、日本旅のペンクラブ会員、日本旅行写真家協会会員
兵庫県赤穂市に有年(うね)という場所がある。あまり聞いたことがないという方も多いと思うが、ここは弥生時代から古墳時代にかけての遺跡が集中する古代ロマンの地である。周辺では、卑弥呼の鏡と言われる、三角縁神獣鏡も出土しており、中央政権と結びついた豪族が治めていたと考えられる。石室内を自由に見学できる古墳群もあり、歴史好きの方にはおすすめのスポットである。

石室内を自由に見学できる「塚山古墳群」

石室内を自由に見学できる「塚山古墳群」

写真:阿部 吾郎

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有年という地名は、なにか意味のありそうな字を書くが、田んぼの畝と同じ意味で、小高い場所を意味する。確かに、このあたりは小高い丘やそれほど高くない山が続いている。有年には、多くの古墳があり、史跡公園として整備されているところもいくつかある。

まず最初に、塚山古墳群をご紹介しよう。上の写真のように田んぼが広がる平地に山裾がかかっている場所で、この山裾の林の中に多くの古墳が残されている。

石室内を自由に見学できる「塚山古墳群」

写真:阿部 吾郎

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有年駅の方から田んぼに沿って歩いてくると、道のわきに塚山古墳があることを示す看板が立っている。フェンスが巡らされており、扉を開けて中に入る。これは、鹿が畑を荒らすのを防ぐためのものなので、出入りした後はしっかり閉めておこう。
中に入ると、林の中にポコポコと小さな山がある。これがすべて古墳である。50基以上もあり、古墳時代後期に造られた1400〜1500年前のものである。

石室内を自由に見学できる「塚山古墳群」

写真:阿部 吾郎

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古墳の入り口が開いているものは、自由に中を見たり入ったりすることができる。中でも大きく、石室もしっかり残っているのが、この塚山6号墳である。入口近くにあり、看板も立っているのですぐに見つけることができる。

塚山6号墳の内部

塚山6号墳の内部

写真:阿部 吾郎

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塚山6号墳の入り口である。この羨道(せんどう)は長さ4.6メートル、幅1.4メートル、高さ1.7メートルあり、大人ひとりが余裕を持って歩ける広さである。

塚山6号墳の内部

写真:阿部 吾郎

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先ほどの写真で、羨道の奥に見えていた門のようなところである。棺を納める玄室を左右に区切る間仕切りのようなもので、こういった構造を持つ古墳は大変珍しい。

塚山6号墳の内部

写真:阿部 吾郎

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これが間仕切りの奥、この古墳の一番奥の部分である。天井の手前のところに蝙蝠がとまっている。中はもちろん真っ暗なので、見学する場合は懐中電灯を持参することをおすすめする。中に入ると蝙蝠が飛び出してくることもある。

他にも、石室内をのぞいたり、入ったりすることができる古墳があるので探してみていただければと思う。歴史好きはもちろん、そうでない方でも十分楽しめるスポットである。

<塚山古墳群の基本情報>
住所:兵庫県赤穂市有年牟礼
アクセス:JR山陽本線有年駅から徒歩約20分

装飾器台が並ぶ2つの古墳・有年原田中遺跡

装飾器台が並ぶ2つの古墳・有年原田中遺跡

写真:阿部 吾郎

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有年原田中遺跡には、弥生時代後期の2基の円墳が見つかっており、史跡公園として整備されている。この遺跡には、大きく2つの注目すべき点がある。

装飾器台が並ぶ2つの古墳・有年原田中遺跡

写真:阿部 吾郎

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まず、2つの古墳の上に並べられている装飾器台と装飾壺である。これは、上下が別々になっており、台の上に壺が置かれている。上の1号墳丘墓の写真では8対あることがわかる。もちろ、これはレプリカである。もともとは、このように装飾器台の上に装飾壺を置く形であったものが、次第に器台と壺がひとつになった円筒埴輪に変化していったのである。古墳時代の古墳に多く見られる円筒埴輪の祖型が、この装飾器台と装飾壺の組み合わせだと言われている。

装飾器台が並ぶ2つの古墳・有年原田中遺跡

写真:阿部 吾郎

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もうひとつのポイントは、1号墳丘墓の後ろにある突出部分である。この丸い墳丘に四角い突出部分、ピンときた方も多いのではないだろうか。そう、この突出部分が次第に大きくなり、古墳時代の前方後円墳へと発達していたのではないかと言われている。

有年原田中遺跡の古墳は、古墳時代の墓と祭祀方法との共通点が多く、歴史的に重要な史跡とされており、兵庫県指定の文化財になっている。

<有年原田中遺跡の基本情報>
住所:兵庫県赤穂市有年原1090
電話番号:0791-49-3722
アクセス:JR山陽本線有年駅から徒歩約15分

赤穂市立有年考古館

赤穂市立有年考古館

写真:阿部 吾郎

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有年の歴史に興味を持たれた方におすすめなのが、赤穂市立有年考古館である。もともとは、私設の小さな博物館であったが、寄贈を受けた赤穂市がリニューアルし、平成23年に再オープンした。旧赤穂郡(現在の赤穂市、相生市、上郡町)にある史跡からの出土品や郷土資料などが保管、展示されている。

赤穂市立有年考古館

写真:阿部 吾郎

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こちらが、先ほど有年原田中遺跡のところでご紹介した、装飾器台と装飾壺の実物である。独特の形状、渦巻きや幾何学模様など、独特の装飾から、古代の人々の精神世界の一端を覗き見ることができる。

赤穂市立有年考古館

写真:阿部 吾郎

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そして、こちらが卑弥呼の鏡と言われている三角縁神獣鏡である。卑弥呼が魏の国から送られた銅鏡百枚がこの三角縁神獣鏡であったと言われている。

その鏡は、邪馬台国からそれに従う各地の豪族へ権威の象徴として配られたと考えられており、この地に邪馬台国(もしくはその後の大和朝廷)とつながりがある豪族がいたと考えられる。なお、この鏡は旧赤穂郡内の上郡町にある西野山3号墳から出土したものだ。
この他にも、弥生時代の土器や勾玉など、様々なものが展示されている。

<赤穂市立有年考古館の基本情報>
住所:兵庫県赤穂市有年楢原1164-1
電話番号:0791-49-3488
アクセス:JR山陽本線有年駅から徒歩約25分

まだまだある有年の遺跡

有年には、他にも蟻無山古墳群、東有年沖田遺跡など、多くの史跡がある。赤穂を訪れたら、赤穂城や赤穂神社のある市内だけではなく、有年にも是非足を延ばしてみていただきたい。

2019年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/09/03−2018/09/05 訪問

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