写真:安藤 美紀
地図を見るずらっと並んでいるのは、戦前から作られた富山生まれの薬。ノスタルジー溢れる、かわいいデザインのものが多いですよね。実はそれぞれ絵柄やネーミングに意味があるんです。例えば、だるまさんの形をした薬は、風邪薬「ハイトン」。
その由来は……「はい、頓服(とんぷく)飲んで!」の“ハイ”と、“とんぷく”の“トン”からつけられました。だるまさんのデザインは、倒しても起き上がることから、病気で寝込んでも起き上がれるように、この絵柄になりました。
ダジャレっぽいけど、独特な言語センスに脱帽!
写真:安藤 美紀
地図を見るそんな薬を扱っているのが、創業83年の「池田屋安兵衛商店」。アクセスは、富山駅から路面電車に乗り約9分。「西町」で下車し、徒歩2分の場所にあります。
古い映画に登場するような渋い外観。お店は太平洋戦争で焼き尽くされましたが、その後いち早く再建。なまこ壁の立派な外観は、1946年に再建した当時のままです。
写真:安藤 美紀
地図を見る店内は1992年に改装して、開放的な空間になりました。店頭では、薬以外にも、薬膳の材料や健康に欠かせない様々なものを販売。初めてでも、スタッフが丁寧に教えてくれるので安心ですよ。
写真:安藤 美紀
地図を見る「池田屋安兵衛商店」といえば「反魂丹」が有名ですが、初耳!という方のために、説明しましょう。
その昔、中国大陸から薬の知識と技術が伝来し、日本古来の薬草と融合して、日本人に合った特有の“和漢薬”が誕生しました。まだ西洋医学が未開の時代ということもあり、この「反魂丹」こそが、日本を代表する“最初の和漢薬”と言われているのです。
その名が知られるようになったのは、江戸時代。当時、江戸城にいたお殿様が突然腹痛になり、そこに居合わせた、富山藩の藩主が、薬をお殿様に渡したところ、即座に良くなりました。その効き目の早さに驚いた各藩の大名が「うちでも売って欲しい!」ということで、全国に広がっていったのです。このお殿様が飲んでいた薬こそが、「反魂丹」。
現在でも、胃腸薬として売られています。苦い“熊の胆”も入っているので、肝臓の働きを助ける効果も!
写真:安藤 美紀
地図を見るまた、「池田屋安兵衛商店」に来たら、ぜひ体験していただきたいのが、丸薬づくり。スタッフに声をかると、現役丸薬師と一緒に、手動の機械を使った丸役製造の体験ができます。料金は無料、時間は10分ほどです。
※特に予約はいりません。
写真:安藤 美紀
地図を見る一定のリズムで小気味よく出てきた薬のもとを、重さ2kgほどの板をかぶせて、クルクル……と回していきます。
筆者も挑戦しましたが、形も大きさも違うヘンテコ丸薬が…!!
「越中富山の反魂丹 鼻くそ丸めて万金丹 それをのむ奴 あんぽんたん」という言葉があるように、本当に鼻くそを丸めたような姿に、思わず大爆笑。とにかく楽しい体験です。
写真:安藤 美紀
地図を見る丸薬づくりに見事成功した人は、四角い紙風船がもらえます。
富山の薬は全国的にも評判が良く、昔から薬を売り歩く、売薬さん(ばいやくさん)という商売がありました。売薬さんは大きな籠の中にたくさんの薬を入れ、「富山の薬はいらんかね〜」と言いながら、全国津々浦々、行商をしていました。そのとき、子どもたちへのお土産として渡していたのが、この紙風船です。
折りたためばかさばらないし、「池田屋安兵衛商店」へ来た思い出にもなりますよね。
写真:安藤 美紀
地図を見るさて、冒頭でちらっとご紹介した、富山の薬のネーミングについて、他にもくすっと笑える薬がいくつかあるので、いくつかご紹介します。
まずはこちら。見覚えがありませんか?
そう!全国の銭湯で見かける黄色い湯桶、ケロリンと同じ名前です。ケロッと治る薬=ケロリン。この薬を宣伝するために使われたのが、銭湯にある湯桶だったのです。
写真:安藤 美紀
地図を見る右の「ズバリ」は、「ズバリ!効くよ」から。左の女性のパッケージ「アスナオール」は、「今日飲めば、明日治るよ」から。ダイナミックで判りやすい!
写真:安藤 美紀
地図を見る他にも、笑顔の女性がマスクを外す「せきどめ」。デザインをみれば一目瞭然ですね。「池田屋安兵衛商店」はユニークなパッケージの宝庫!
写真:安藤 美紀
地図を見るさらに、「池田屋安兵衛商店」2階には、医食同源をコンセプトにした喫茶「薬都」もあります。こちらは、実際に、昭和50年頃まで薬を製造する部屋として使われていました。今では、一人で訪れても心地良さを感じられる、落ち着いた空間になっています。
写真:安藤 美紀
地図を見る一番人気は、ランチにぴったりな「健康膳」(2160円)。こちらは、「池田屋安兵衛商店」の池田安隆社長自ら考案しました。
薬膳と聞くと、クセが強くて食べ難い……と思われがちですが、季節感を心がけた野菜やお魚が揃うので、初めての人でも最後までおいしく食べられます。
見た目が真っ黒!な古代米&もち米を混ぜて蒸し上げた「山菜おこわ」は、もっちり食感で米の甘みを感じられます。ごま塩を少し足すと、甘さが引き立ちさらにおいしくなりますよ。
※「健康膳」は要予約。
写真:安藤 美紀
地図を見る富山観光といえば、真っ先に思い浮かぶのは超新鮮なグルメ。でも、ときには「池田屋安兵衛商店」で、私たちの体を支えてくれる“薬”に触れるてみるのも良いかもしれませんね。安心&かわいい、あなたの知らない富山が待っていますよ!
住所:富山県富山市堤町通り1-3-5
電話番号:076-425-1871
営業時間:9:00〜18:00(カフェは11:30〜14:00)
定休日:無休(カフェは水曜休み)
アクセス:JR富山駅からタクシーで約5分、路面電車「南富山駅行」乗車、西町下車で約2分。
駐車場:無料(普通車5台分収容)
2019年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
安藤 美紀
1975年愛知県生まれ。東京や埼玉に移り住み、エンジニアと二足のわらじで「新しいトキメキと癒し」を求めて飛び回っていました。現在は、フリーライターとして独立。まったりした静岡に移住しています。非日常感…
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