愛媛・西条市は典型的な瀬戸内海式気候のため、平野部の年間降雨量は1400mmと雨が少ないのですが、山間部にはその2〜3倍の雨が降ります。市の北側は海に面し、南側の市境は分水嶺になっているので、降った雨がすべて西条市に流れてくるわけです。
また西条市の地形が扇状地であることも水が集まる理由のひとつ。四国で「渇水状態」が続いても西条市だけは水が枯れない特異な水都と言えます。
以上の理由から、西条市には先端を加工した鋼管を15mから30mほど打ち込むだけで地下水が湧き出る「うちぬき」という全国でも稀な自噴地帯が広がっているのです。
写真は西条市役所に隣接する「うちぬき広場」。
このうちぬき水は平成7年(1995年)、「おいしい水」全国大会で日本一に輝いた名水です。
旧・西条市の中心部は「うちぬき」をはじめとする地下水に依存しているため、上水道が敷設されていない区域が今でも存在し、各家庭が「うちぬき」の水を使っているため上水道がありません。もちろん水道代は不要!うらやましい限りです!!
西条市の地下水は3種類あります。
1つ目は「うちぬき」。うちぬき広場で見るようなうちぬきの水です。2つ目は「湧水」。石鎚山系の伏流水が加茂川を経て扇状地の末端で湧き出しているもので、加茂川左岸うちぬき水もこれに該当します。3つ目は海底から清水が湧き出る「弘法水」です。
3種類の地下水は、西条市東部の複雑な水理地質構造の影響で、まったく異なった水質を持っています。
写真は田園地帯に突然現れるうちぬき公園です。
この場所は平日でも遠方からたくさんの人が水を汲みに来る人気スポットです。まろやかな口当たりのおいしい天然水です。
中山川と加茂川の両河川の間の河口近くに位置する嘉母(かも)神社は天明2年(1782年)に創建された産土神を祀る神社です。
ここの手洗水は「うちぬき」で、平成8年(1996年)の「全国利き水大会」で日本一に輝いた名水です。
加茂川左岸うちぬき公園とは目と鼻の先にあるくらいの距離ですが、口に含んだ感覚はうちぬき公園の水とはまた違う水の甘さがあり、不思議な感じです。ただ人が絶えず、常時だれかが水汲みに来ていたのはこの神社だけでした。
本来は神社の手水場ですが、お参りに来る人よりも水汲みが目的で来る人が多いようです。水を飲む前、汲む前には神様に感謝を忘れずに!
「その昔、弘法大師空海が四国巡錫の時、ある夏の日、路傍の石に座り休息しているところへ、老婆が飲み水を水桶に汲みたたえて帰ってきたそうで、大師は一杯の水を乞うて渇きをいやしたところ、この水は老婆がはるか遠方から組みとってきたことを後で知り、大師は錫杖の先で大地を強く突いてみると、清水がこんこんとして湧き出した…。」
これが西条港口の弘法水の始まりとされ、以来その場所には弘法大師が祀られるようになったとか。
写真でもわかりますが、清水は海中から湧き出ており周囲は海に囲まれています。弘法水は潮の満ち引きに関係なく出続け、今でも地元の人々はもちろん旅人の喉も癒してくれています。
この場所でも嘉母神社同様に、水を飲む前や汲む前に弘法大師へのお参りを忘れずにしましょう。
写真は西条市内から車で約30分。
寒風山トンネル手前(藤之石地区)にある国道194号線に面した湧水ポイントです。
何本もの湧水口があり、絶えず水が流れ出ている様は圧巻。
水を汲みに来る人の話によると「この水を使って以来、ポットを洗浄しなくなった」とか「この水を飲めば他の水は飲めない…」とか。
他のスポットよりも水量が豊富で、ペットボトルもすぐに満量になってしまうため水汲みの順番が早く回って来るのがグー!!週末になると青空(笑)駐車スペースが一杯になるほどの人気スポットです。
いかがでしたか?
その他有名な名水スポットでは、JR西条駅下り線プラットフォーム、アクトピア、観音水などまだまだたくさんのスポットがあります。詳細は関連メモを参照ください。
また、うちぬき水の水質は毎年検査を実施、全ての検査箇所で飲用水の水質基準に適合し、安全で美味しい水であることが証明されています。西条市の「うちぬき」は、ミネラル成分のバランスがいい軟水です。ぜひこの機会に名水めぐりを楽しんでください。
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(2024/9/18更新)
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