写真:モノホシ ダン
地図を見る「長浜鉄道スクエア」の入り口は、旧長浜駅舎です。1882年(明治15年)に建築された、現存する日本最古の鉄道駅舎で、鉄道記念物に指定されています。建物は、鹿鳴館調の石灰コンクリート造りで、壁の厚さは50cmもあります。四隅の角には花崗岩の切石を積み、窓枠と出入口はおしゃれな赤レンガを使っています。
1903年(明治36年)、現在の長浜駅の位置に新しい駅舎が完成して、旧駅舎は20年間におよぶ日本の鉄道交通の要衝としての役割を終えました。
写真:モノホシ ダン
地図を見る明治新政府にとって鉄道の建設は、国家を挙げての一大プロジェクトでした。欧米列強に追いつき追い越すため、日本の近代化推進のためにはどうしても鉄道が必要だったからです。旧長浜駅舎の玄関前には、当時の政府の主だった3人が書いた旧北陸本線の「トンネルの石額」が置かれています。
写真は、旧北陸本線の柳ケ瀬トンネル東口(滋賀県長浜市余呉町)にあった、初代内閣総理大臣・伊藤博文による『萬世永頼(ばんせいえいらい)』と書かれた石額。この鉄道が世のために働いてくれることをいつまでも長く頼りにするという意味で、明治の有名人たちの鉄道にかける期待と情熱が伝わってくる思いがすることでしょう。
写真:モノホシ ダン
地図を見るほかの見どころとしては「旧長浜駅29号分岐ポイント」が。1882年(明治15年)の長浜駅開業から約80年間使われた、現存する日本最古のポイントです。部品をイギリスから輸入し、鉄道局神戸工場で製作されたもので、鉄道創生期を語る貴重な文化遺産として、鉄道記念物に指定されています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る日本初の鉄道開通は、よく知られているように東京(新橋)―横浜間で、それからわずか10年後の1882年(明治15年)に、長浜―敦賀間が開業します。
この区間に鉄道が敷かれたのは、敦賀は古くから海路の要として隆盛を誇った日本海側の海運の拠点であり、琵琶湖沿岸の都市を鉄道で結び、さらに琵琶湖の湖上交通を利用して太平洋につながる交通網を整備するためでした。写真は、当時の面影を残す出札口。
写真:モノホシ ダン
地図を見る長浜―敦賀間と大津―京都間に鉄道が開通すると、その間を結ぶ鉄道が敷設されるまで、長浜―大津間を船で結ぶ湖上交通「鉄道連絡船」が就航しました。
この日本初の鉄道連絡船は、長浜の実業家・浅見又蔵らによる民間の太湖汽船会社によるもので、1983年(明治16年)に就航した2隻の蒸気船、第一・第二太湖丸は湖上の船としては日本最初の鉄船でした。船の大きさは約500総トン、350人乗り、速力は14ノット(時速約26km)。
長浜駅舎のすぐ横に設けられた桟橋から発着し、長浜〜大津間を約3時間30分で結び、旅客と貨物の輸送にあたりました。1989年(明治22年)に長浜―大津間が鉄道で結ばれるまで、わずか7年あまりの活躍でしたが、雄大な琵琶湖の景色を楽しむことのできる船旅でした。写真は、当時の一等二等待合室の様子。
写真:モノホシ ダン
地図を見る旧長浜駅舎には、当時の駅長室も残っています。この駅の初代駅長は、のちに初代東京駅長となった高橋善一氏。開業当初は、柳ケ瀬駅までの7つの駅長を兼務し、みずから列車に乗り込んで、木札(切符)を売りました。
当初、乗客が出すお金は、江戸時代の天保銭、文久銭、明治時代の一厘銭等が入り混じり、運賃集計でたいへん頭を痛めたと語り伝えられています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る長浜鉄道スクエアの「北陸線電化記念館」には、ED70形交流電気機関車とD51形蒸気機関車の2台が並んで展示されています。このうちED70形交流電気機関車は、日本で最初の営業用60ヘルツの交流電気機関車で、交流の電気機関車であることを表す赤色に塗られ、合計で19両製造されました。
写真は、その1号機で1957年(昭和32年)北陸本線の電化の完成と同時に、田村―敦賀間で貨物列車や客車列車を牽引しました。18年あまり活躍し、1975年(昭和50年)に引退。同形式では唯一の現存機です。
写真:モノホシ ダン
地図を見るED70形1号 交流電気機関車は、運転台も見学することができます。電気機関車では、右手がマスコン(主幹制御器)、左手がブレーキとなります。窓の下に設置されいる灰皿には、日本国有鉄道の「JNR」マークがついていて、懐かしさを感じる方もいるかも知れません。
写真:モノホシ ダン
地図を見るED70形交流電気機関車の隣に展示されているD51形蒸気機関車は“デゴイチ”の愛称で親しまれ、同形式の機関車では日本最多の1115両も製造されました。このD51形蒸気機関車 793号機は1942年(昭和17年)に製造され、東北・東海道・中央・北陸の各線で27年あまり活躍したのち、1970年(昭和45年)に引退しました。
はじめは長浜城歴史博物館のある豊公園で展示されていましたが、SL北びわこ号の運行を記念して、1995年(平成7年)にこの地に移設、2003年(平成15年)からこの記念館で再展示されているものです。こちらも運転台を見学することができます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る長浜鉄道スクエアの「長浜鉄道文化館」は、長浜の鉄道文化を後世に伝える資料館として2000年(平成12年)10月14日の「鉄道の日」にオープンしました。写真は、1887年(明治20年)ごろの旧長浜駅周辺のジオラマ。プラットホームの先端に旧長浜駅舎があり、すぐ西側に桟橋が設けられ、連絡船が接岸している様子が再現されています。
写真:モノホシ ダン
地図を見る館内に展示されている駅名標とのりば案内は、長浜駅の第3代目駅舎(1950年〜1983年)で使用されていたもの。鉄板に「うわぐすり」をかけて焼かれた「ほうろう(琺瑯)」製です。風雨に強く、いつまでも美しい光沢を保ちます。
時計は、七尾線西岸駅(現「のと鉄道」)で使われていた約100年前のアメリカ・アンソニア社製のもので、いまも正確に時を刻んでいます。
写真:モノホシ ダン
地図を見る長浜鉄道文化館では、ほかに鉄道クイズや鉄道絵本に鉄道おもちゃ、鉄道模型のHOゲージなどがあって親子連れでも楽しめるコーナーがあります。
このように長浜は、日本海と太平洋を結ぶべく、明治新政府が国運を賭けた鉄道のまちでもあります。長浜を訪れた際には、長浜鉄道スクエアで、日本の鉄路の夜明けと文明開化の足音を感じてみてください。
住所:滋賀県長浜市北船町1-41
電話番号:0749-63-4091
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
入館料:大人300円、小・中学生150円
休館日:12月29日〜1月3日
アクセス:JR長浜駅西口より徒歩約3分
車利用の場合は、北陸自動車道長浜ICより約15分 長浜駅西有料駐車場利用
2019年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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