写真:野水 綾乃
地図を見る津山駅からバスで約50分。吉井川沿いに素朴な旅館や民宿が小さな温泉街を形成する奥津温泉。温泉街の中心の奥津橋のそばに3軒の老舗旅館が立ち並んでいて、そのひとつが「池田屋河鹿園」です。
もとは「河鹿園」として1929(昭和4)年に創業。版画家の棟方志功、歌人の与謝野鉄幹・晶子夫妻ら、多くの文人墨客に愛された旅館でした。2012年に休館となりますが、奥津を代表する名宿を残したいとの思いから、地元業者が受け継ぎ、2018年4月に「池田屋河鹿園」として再開しました。昭和の面影を色濃く残す外観は、往時の雰囲気をそのまま留めています。
写真:野水 綾乃
地図を見る玄関を入ると、洗練された雰囲気のフロントとロビーが広がります。クラシカルなヘリンボーン張りの床や、豆タイルのカウンターは以前からのもの。大きく印象を変えたというより、もとからあったインテリアの良いところを引き立たせ、磨きあげていった感じです。
写真:野水 綾乃
地図を見るそれでは「池田屋河鹿園」自慢の温泉をご紹介しましょう。
こちらは女湯。窓のない、ほの暗い内湯で、決して広くはないですが、とても落ち着く空間。床にザバザバとかけ流されている温泉がなんとも贅沢です。
温泉は湯船の温度で約38〜39度。体温より少し温かい程度のぬる湯ですので、長くゆったりと浸かることができます。まるで羊水に浸かっているような心地よさで、思わずウトウト…。
奥津温泉の泉質はアルカリ性単純泉。某コスメメーカーの化粧水にも使用されているほどの美人の湯なんです。さらに女湯では空気に触れさせないように源泉を注いでいますので、お湯がめちゃくちゃ新鮮。しばらく浸かっていると、肌に細かな気泡が付いてきて、やわらかな泡のクッションが肌をなめらかに包んでくれます。
写真:野水 綾乃
地図を見るこちらは男湯の大浴場。窓からはすぐそばを流れる吉井川が見えます。眺望が良すぎるため、今のところ女湯との入れ替えはないそうです。
豆タイルが敷き詰められた湯船がレトロモダンな雰囲気で、源泉の投入量も女湯より多く、豪快に源泉があふれています。
写真:野水 綾乃
地図を見る脱衣所の水まわりのインテリアもかわいらしく、センスがあります。もとのデザインの良い部分を残し、建てられた当時の時代に合わせる形で、洗面台などのデザインをレトロモダンなものにリニューアルしています。
写真:野水 綾乃
地図を見る脱衣所には自由に飲むことができるドリンクが用意されています。長くゆったりと入れる「池田屋河鹿園」の温泉ですから、なおさら水分補給が大事。こういう気配りも嬉しいものです。
写真:野水 綾乃
地図を見る客室は10室。改装前の半分以下に数を減らし、2部屋を合わせて1部屋にするなどして、ゆったりとした造りになっています。建物の意匠を残しつつ、シックな壁紙をあしらうなどして大人な雰囲気に仕上げています。
特徴的なのがすべての部屋にある広縁。こちらも空間に広がりを持たせるのに一役買っています。
写真:野水 綾乃
地図を見る広縁から望めるのは、吉井川の清流。川底まで透けて見えるほど美しい川の流れを手に取るように感じられます。春から夏にかけては、川に棲むカジカガエルのコロコロとした鳴き声が聞こえてくるとか。そんな涼やかな音色にも耳を傾けつつ、たおやかな流れをのんびり眺めていると、日常が遠く離れていくようです。
写真:野水 綾乃
地図を見るさらにスイートルームタイプの3室には、ジャグジーの内風呂が付いています。こちらももちろん自家源泉。泡付きのよいぬる湯の自家源泉を、私だけの空間でかけ流しで楽しめるのもなんとも贅沢です。
夕食は吉野川上流で獲れた魚など、その日その日の地元の旬の素材を活かす創作会席です。全国和牛能力共進会で全国2位に選ばれた岡山県奈義町産「なぎ和牛」と国産牛のステーキを食べ比べできるプランも人気です。
宿泊料金は2名1室利用で1泊2食ひとり1万5000円〜。ジェットバス付きの客室でもひとり2万8000円〜。日帰り入浴も可能で、ひとり1000円で利用できます(営業時間は要確認)。
一度は幻となりかけた名湯。復活した今こそ訪れてみてはいかがでしょうか。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/19更新)
- 広告 -