写真:沢木 慎太郎
地図を見るバンコクから、“ロットゥー”と呼ばれるミニバスで1時間強。世界遺産の街、アユタヤがあります。
かつてのアユタヤ王朝時代の遺跡が数多く残り、アユタヤ県庁が観光旅行者向けに発行している地図でも、遺跡の数は約100カ所。このうち、“木の根に覆われた仏頭”で知られる廃墟寺院「ワット・マハタート」(写真)など、定番の観光スポットは、川に囲まれた中州(アユタヤ島)に集まっています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るビルマ(現ミャンマー)軍の攻撃によって、約250年前に消滅したアユタヤ王朝。廃墟となった寺院が点在する街は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に「古都アユタヤ(Historic City of Ayutthaya)」として登録されています。
アユタヤ王朝の王室守護寺院「ワット・プラ・シーサンペット」があるのも、観光の中心となるアユタヤ島(アユタヤ歴史公園)。
このアユタヤ島から北東に行き、川を渡り、アヨタヤ水上マーケットを過ぎた場所にある廃墟寺院が「ワット・マヘーヨン(Wat Mahaeyong)」です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る最近は有名になり、世界中から多くの観光客が訪れるアユタヤ遺跡。しかし、6寺院共通の割引き券が使えるアユタヤ遺跡でありながら、中心部から外れた位置にあるため、観光客の姿が最も少ない穴場の寺院が「ワット・マヘーヨン」。
観光モデルコースにもあまり組み込まれておらず、観光ツアーでも個人旅行者でも、ここまで足を延ばす人は少ないことが特徴。廃墟ならではの静けさと、聖なる雰囲気に満ち、廃墟に魅力を感じる方におすすめのスポットです。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「ワット・マヘーヨン」への行き方・アクセスですが、中心から外れた場所にあるので、レンタル自転車で向かうのなら体力と時間に余裕のある方がおすすめ。場所はわかりにくいので、アユタヤ初心者の方であれば、アユタヤバスターミナルから、トゥクトゥクをチャーターして行かれてはいかがでしょうか?
写真は、「ワット・マヘーヨン」の入り口。参道を包むように伸びていくレンガの壁が印象に残ります。戦争で多くが破壊されたアユタヤ遺跡で、参道がこれほど残っている遺構は珍しい。中世のヨーロッパの城をイメージさせるような、落ち着いた佇まいがあります。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るアユタヤ王朝は、1351年にウートン王によって創建。1767年にビルマ(現ミャンマー)軍の攻撃によって、王朝は消滅しました。「ワット・マヘーヨン」も、戦争で破壊されていますが、中心部からはずれた場所にあるため、遺構が比較的にしっかり残っています。
「ワット・マヘーヨン」は、アユタヤ王朝の初期に建立。1438年にチャオサームプラヤー王が建てたとされています。
この王は、バラモン教の考えをアユタヤ王朝に取り入れ、“王は神である”とする神王思想や、宮中での儀式をバラモン風に改め、人民を統治する封建制度に似たシステムを導入。タイ王朝の基本的な体制を整えた王です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る観光客の姿が少ないので、とても静か。遺跡は樹木に覆われ、地面には落ち葉が厚いじゅうたんのように重なっています。
遺跡を見ながら歩いていると、落ち葉を踏む音がカサコソと響きます。往時の美しさを想像しながらゆっくりと散策できるのも、「ワット・マヘーヨン」をおすすめする理由。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るワット・マヘーヨンの見どころは、写真の「布薩堂」(ふさつどう)。僧侶が修行するための建物で、レンガ造りの外壁が残っています。さきほどご紹介した、レンガに囲まれた参道を進んだ先に、この「布薩堂」があります。
“結界石(けっかいせき)”が置かれ、これは“ここが修行場である”という聖域を示したもの。主に出家の時に使われる施設が「布薩堂」です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る写真は、ワット・マヘーヨン「布薩堂」の内部。野外のように見えますが、これは建物の中。天井は、戦争で破壊されました。巨大な柱の跡が建ち並んでいます。青空が見える修行堂。しかし、ここはタイ人にとっては、大切な祈りの場所。靴を脱いで参拝するのがマナーです。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る写真の奥に見えていたのが、布薩堂の祭壇。ご本尊が祀られた跡が残っています。戦争では、多くの仏像の頭が切り落とされました。「ワット・マヘーヨン」でも戦争の痛々しい傷が見られます。しかし、祭壇には花や供物がささげられ、柔らかで清浄な空気が感じられます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る布薩堂の周辺は、落ち葉を踏みしめながら散策できるスポット。静寂に満ちた廃墟で、異彩を放つ存在が、こちらの仏塔。布薩堂の真後ろに位置しています。
仏塔は、円すいを基本とした釣鐘型の「チェディ」(仏塔)で、スリランカ様式の流れをくんでいますが、台座が多角形。こうしたデザインはスリランカ様式の仏塔にはなく、タイ独自で進化したものです。
そもそも、布薩堂というのは、スリランカの仏教徒たちが2000年以上前から僧の修行生活の場として設けられた宗教施設。タイでは、スリランカ様式の影響を受けた寺院がたくさんありますが、それぞれの地域でタイ独自に発展したデザインが見られます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらは、チェディの台座を写したもの。さきほどの写真にも写っていましたが、この
白く見えるものはゾウ。タイの仏塔では、ゾウが仏塔を支えている建築が多く見られます。
白い象は王の象徴でもあり、多くのタイ国民が信仰している仏教では「釈迦の母親が自分の身体に白い象が入る夢を見て、釈迦を身ごもった」という逸話があり、白い象は神聖視されています。
ちなみに、チェディを取り巻くゾウの数は80体。この数字は、釈迦(ガウタマ・シッダールタ)が入滅した年齢。悟りを開いて仏陀(ブッダ)となり、煩悩の火を吹き消して、完全に悟りの境地に入った数字を意味しています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る写真は、倒壊したチェディの上部。レンガ造りの床にめり込み、わずかな隙間から草が生えています。こちらも、廃墟の静けさが感じられる風景。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るところで、仏教国のタイでは、“短期出家”という独自の風習があります。タイでは、生涯に一度は出家するのが望ましいとされ、タイ人男性が会社の休みを利用して僧侶になることは珍しいことではありません。
しかし、女性は出家することができないので、正式な尼僧ではないけれども、非公認の尼さんとして修行することができます。“メーチー”、と呼ばれる女性の方で、日本語では「女性修行者」「女性出家者」と訳されることが多いです。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「ワット・マヘーヨン」では、白装束に身を包んだタイ人女性をよく見かけます。遺跡の陰で、お経をあげるメーチーの姿は、画像や動画ではなく、いつまでも旅人の心に沈めておきたい風景。信仰の妨げにならないよう、撮影は控えた方が良いと思います。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るメーチーが静かに祈りをささげる寺院「ワット・マヘーヨン」。静寂に満ちた、聖なる世界が感じられます。廃墟に愁いや美しさを感じる旅人におすすめの遺跡です。
なお、アユタヤ遺跡の巡り方やおすすめの半日コース、バンコクからアユタヤへの行き方など、アユタヤ観光については別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方は関連MEMOに張り付けたリンクからのぞいてみて下さい。
住所:Tambon Hantra, Amphur Pra Nakorn Sri Ayutthaya, Ayutthaya 13000
アクセス:アユタヤのバスターミナルからタクシーで約15分
電話番号:+66-35-881-602〜3
拝観料:50バーツ(「ワット・ラチャブラナ」「ワット・マハタート」「ワット・プラ・ラーム」「ワット・プラ・シーサンペット」「ワット・チャイワタナラーム」「ワット・マヘーヨン」の6遺跡共通割引券220バーツあり)
2019年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/11/9更新)
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