イタリアンウールの里スティアでお気に入りのコートを見つけよう!

イタリアンウールの里スティアでお気に入りのコートを見つけよう!

更新日:2019/04/02 16:48

Shibayama Shihoのプロフィール写真 Shibayama Shiho イタリアブロガー
トスカーナ州アレッツォ県に、アルノ川が生まれるカゼンティーノと呼ばれる地域があります。自然豊かなカゼンティーノにある町スティア。この町はイタリアンウール“パンノ・デル・カゼンティーノ”の里でもあります。雨が多く、灰色の空の続く冬のトスカーナを美しく彩る“パンノ・デル・カゼンティーノ”のコートたち。今回はそのスティアとそのウール生地でできたコートを扱う工場直営店をご紹介します。

ウール産業で栄えた町スティア

ウール産業で栄えた町スティア

写真:Shibayama Shiho

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フィレンツェを流れる川というイメージが強いアルノ川。その源流は、フィレンツェから遠く離れたアレッツォ県のカゼンティーノと呼ばれる自然豊かな地域にあります。生まれたばかりのアルノ川が最初に通る町がこのスティア。スティアを流れるアルノ川は、フィレンツェのそれとは全く異なった表情を見せてくれます。

川幅はそれほど広くなく、透き通った水が流れるスティアのアルノ川。この美しく豊かな水が、この町を支え続けるウール産業の源にもなりました。

ウール産業で栄えた町スティア

写真:Shibayama Shiho

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2世紀に渡りこの町で発展してきたウール産業。スティアで生産される高品質のウール生地“パンノ・デル・カゼンティーノ”は、町の人たちを支える産業であり、1800年代半ばにスティアに造られた羊毛工場では当時約500人もの従業員が働いていました。1900年代には、この町がイタリアのウール産業の中心地の一つでもあったのです。

その後、1960年代の不景気の影響を受け1985年に工場は倒産、2000年に工場は閉鎖という運命をたどります。しかし、そこで“パンノ・デル・カゼンティーノ”の歴史が終わった訳ではありません。規模は小さくなったにしろ、この地が生み出した高品質かつ独特のウール生地は現代にも受け継がれ、スティアで生産されています。

現在、閉鎖された羊毛工場はリノベーションされ、スティアのウール産業を伝え続ける博物館になっています。(写真上:Museo dell’Arte della Lana)

イタリアンウール“パンノ・デル・カゼンティーノ”

イタリアンウール“パンノ・デル・カゼンティーノ”

写真:Shibayama Shiho

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“パンノ”とはイタリア語で生地の意味です。“カゼンティーノ”というこの地の名前がついているこのウール生地は、生産の工程から毛玉のようなものがついているのが特徴です。

その昔、この地の山奥の修道院に住む修道士や寒い冬でも長時間外で働く人たちが、より温かく、長持ちするよう丈夫なウール生地をと生み出したのがこのパンノ・デル・カゼンティーノのでした。よって、現在でも、寒い冬、外で長時間過ごす際に着用するコートの素材として最適なのです。

パンノ・デル・カゼンティーノと言えば、やはり代表的な色はオレンジと緑。その独特で鮮やかなオレンジは“夕日”、緑は“この土地の森”と呼ばれています。

イタリアンウール“パンノ・デル・カゼンティーノ”

写真:Shibayama Shiho

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元々は、寒い時期に長時間屋外で働く人たち、貧しいたちが愛用していたこのウール生地。しかし、その品質はフィレンツェの貴族たちの間でも話題となり、多くの著名人もパンノ・デル・カゼンティーノのコートを愛用しました。

作曲家のジュゼッペ・ヴェルディやジャコモ・プッチーニ、貴族出身の政治家ベッティーノ・リカーゾリ。そして、映画「ティファニーで朝食を」でオードリー・ヘップバーンがオレンジ色のパンノ・デル・カゼンティーノのコートを着用しています。

伝統と技術、職人としての情熱を守り続けるT.A.C.S.

伝統と技術、職人としての情熱を守り続けるT.A.C.S.

写真:Shibayama Shiho

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現代にもいくつか残るパンノ・デル・カゼンティーノの生産者でお勧めしたいのは、1962年にスティアの羊毛工場の責任者の一人であった人物が創設したT.A.C.S.です。

創設者の息子にあたる二代目はその業績から国よりカヴァリエーレ勲章(イタリアの勲位の称号)を授けられています。そして、現在は創設者の孫にあたる三代目がその伝統と技術、手工業者としての情熱を守り続け、高品質のウール生地パンノ・デル・カゼンティーノを生み出しているのです。

またT.A.C.S.は工場直営店をトスカーナ州に3店舗構え(スティア、ポッピ、フィレンツェ)、お店ではパンノ・デル・カゼンティーノのコートや小物などを工場直営店ならではの価格で販売しています。

工場直営店ならでは!お手頃な値段でコートを買おう!

工場直営店ならでは!お手頃な値段でコートを買おう!

写真:Shibayama Shiho

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T.A.C.S.の工場直営店では、クラシックなモデルのコートから、斬新なデザインの物まで、メンズ、レディース共に豊富な種類を扱っています。

例えば、上の写真のコートはパンノ・デル・カゼンティーノの伝統的なモデルのコート。写真の物はコサージュがついているのでレディースに見えますが、実は男女兼用。色の選択肢は多く、きっとお気に入りの色が見つかるはずです。

工場直営店ならでは!お手頃な値段でコートを買おう!

写真:Shibayama Shiho

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パンノ・デル・カゼンティーノのコートと言えば、外せないのがダッフルコート。定番中の定番モデルです。こちらも色の選択肢は多いですが、やはり有名なのはオレンジと緑。通常、オレンジの物は裏地が緑、緑の物は裏地がオレンジになっています。

工場直営店ならでは!お手頃な値段でコートを買おう!

写真:Shibayama Shiho

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着られなくなってもとっておきたいと思うような可愛らしいキッズ用のコートもあります。その他にもスリッパ、帽子、バッグ、ポシェット、手袋、マフラー、毛布、コサージュ、花のオブジェなど、小物類も充実しています。デザイン性に優れるだけでなく、もちろん保温機能も高く、丈夫で長持ちする優秀な商品です。

コートを夏にオーダーして秋に着よう!

コートを夏にオーダーして秋に着よう!

写真:Shibayama Shiho

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コートの色は約50色ある中から選ぶことができます。コートの裏地は素材が2種類。滑りのいいサテンの裏地と、あたたかいウールの裏地があり、好きな方を選べます。サテンの裏地の場合、色の選択肢は7色、ウールの裏地の場合はオレンジまたは緑です。(ウールの裏地はコートの美しいラインを守るため使用できないモデルもあります)

もし、お店に自分好みの色、またはモデルのコートがない場合、オーダーすることができます。コートのモデル、色、裏地の素材と色を自分好みに組み合わせることが可能です。また、袖の長さも調節してもらえます。

オーダーの場合、仕上がりまで約3週間かかりますが、日本への発送も可能です。

コートを夏にオーダーして秋に着よう!

写真:Shibayama Shiho

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コートや手袋、毛布など、パンノ・デル・カゼンティーノの商品が活躍するのは秋、冬といった寒い季節。しかし、お店と工場がフル回転するのは実は夏なんです。

秋にすぐ着れるように、夏に自分好みのコートをオーダーするイタリア人が多いのです。そのため、秋冬の商品を扱うお店ですが、T.A.C.S.の工場も工場直営店も年中開いています。

コートを夏にオーダーして秋に着よう!

写真:Shibayama Shiho

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スティアにあるT.A.C.S.本社兼工場(住所:Via Sanarelli, 49 - STIA 52015 Pratovecchio Stia (AR) TEL:+39-0575-583659)では、月曜日から金曜日にかけて、無料でグループでの工場見学も可能です(要予約)。パンノ・デル・カゼンティーノのができるまでの工程を実際に見学し、知った後で商品に触れるというのも現地ならではの楽しみです。

また、フィレンツェには滞在するが、スティアまで行っている時間がない。でも、パンノ・デル・カゼンティーノの商品が見てみたいという方はT.A.C.S.フィレンツェ店(住所:Borgo Santi Apostoli,43R - Firenze TEL:+39-055-219244)を覗いてみるのもいいでしょう。

<T.A.C.S.スティア店の基本情報>
住所:Piazza Tanucci,12 - STIA 52015 Pratovecchio Stia (AR)
電話番号:+39-347-0927027
営業時間:月・火15:30〜19:30、木〜日9:00〜12:30/15:00〜19:30
定休日:水曜日、祝日

イタリアンウールの町スティアで素敵なコートを見つけよう!

豊かな自然に囲まれたウール産業の町スティア。歴史ある街並みと、ウール産業で栄えた面影、透き通た水の流れるアルノ川を見に訪れてみるのもいいでしょう。

この町を訪れると、季節を問わず鮮やかなオレンジや緑のウール生地を目にするはずです。そのウール生地“パンノ・デル・カゼンティーノ”で作られるコートは、冷たく、灰色の冬を、温かく、華やかに飾ってくれます。

イタリアンウール“パンノ・デル・カゼンティーノ”の歴史に触れながら、自分好みのパンノ・デル・カゼンティーノのコートを選び、お手頃なお値段で入手できるのはスティアならでは。秋や冬だけでなく、春や夏に訪れるのもオススメです。

2019年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/02/22−2019/03/10 訪問

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