毒ガス島からウサギ島!?瀬戸内海に浮かぶ「大久野島」の今と昔

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毒ガス島からウサギ島!?瀬戸内海に浮かぶ「大久野島」の今と昔

毒ガス島からウサギ島!?瀬戸内海に浮かぶ「大久野島」の今と昔

更新日:2019/03/19 12:19

土庄 雄平のプロフィール写真 土庄 雄平 山岳自転車旅ブロガー、小豆島ライター、秘境フォトグラファー

700以上も島がある瀬戸内には個性豊かな島が多くありますが、ひと際異彩を放っている島が、広島県竹原市の沖に浮かぶ「大久野島」です。周囲4.3kmしかない小さな島ですが、実に様々な顔を持っています。穏やかな瀬戸内の島の雰囲気はもちろんのこと、島中にいる野生のウサギが特徴的!しかし驚くべきは、そんな癒しの島が実は昔、毒ガス製造の島だったということ!相反するイメージが共存する島の歴史に迫ってみましょう。

「ウサギ」の楽園になっている穏やかな瀬戸内海の小島

「ウサギ」の楽園になっている穏やかな瀬戸内海の小島

写真:土庄 雄平

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今回紹介する「大久野島」は広島県竹原市の港町「忠海(ただのうみ)」と「しまなみ海道」の大三島に挟まれた沖に浮かぶ離れ小島です。いずれからもフェリーが出ているので、比較的容易にアクセスできます。

この島を訪れてまず目の前に現れるのは、瀬戸内海らしい穏やかな海の景色!穏やかな海の向こうに高根島が思いっきり広がる爽快な景色が見られます。

「ウサギ」の楽園になっている穏やかな瀬戸内海の小島

写真:土庄 雄平

そんな島の看板となっているのは「ウサギ」です。現在、小さなこの島におよそ700羽以上の野生のウサギがいると言われており、多くの観光客がこの愛らしいウサギを一目見ようとこの地を訪れます。

実際に歩いてみると、本当に至る所でウサギの様々な姿を眺めることができます!食欲旺盛で食事に夢中な子や、走り回る子、ウトウト眠そうにうづくまる子など、とても表情豊かで面白いですよ!

「ウサギ」の楽園になっている穏やかな瀬戸内海の小島

写真:土庄 雄平

この島を訪れる際には、事前にスーパーなどでキャベツやニンジン、またはウサギ専用のペレット(固形の餌)を購入して持っていくことをおすすめします!

餌を持っていけば、みるみるうちにウサギに囲まれます。まさにウサギの天国です(笑)餌をおねだりする姿や、夢中に食事をする可愛らしい姿に癒されること間違いなしです!

しかし、このように現代で「ウサギの島」として人気を確立した「大久野島」ですが、その背景には驚くべき歴史があり、その歴史が島の現代の形に大きく影響を与えています。

地図から消されていた「毒ガスの島」という歴史

地図から消されていた「毒ガスの島」という歴史

写真:土庄 雄平

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フェリーの発着所から島の裏手に進めば、島の過去の姿に触れることができます。それは「軍事施設」という側面です。

実は、この「大久野島」は明治時代から日本陸軍の要塞として使用され始め、一時期には毒ガス工場が設けられ、軍の最重要機密として地図から消された「存在しない島」として扱われていました。

地図から消されていた「毒ガスの島」という歴史

写真:土庄 雄平

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その証拠に至る所に毒ガス関連施設が佇んでいます。北部沿岸にある「長浦毒ガス貯蔵庫跡」もその一つ!猛毒で皮膚がただれる「イペリット」など数種類の毒ガスが、この巨大な貯蔵庫に大量に保管されていました。

想像するだけでもむしずが走る凄惨な状況ではないでしょうか?無機質で朽ち果てたその外観は、その闇の歴史を偲ばせてくれます。

地図から消されていた「毒ガスの島」という歴史

写真:土庄 雄平

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島の北東部に行けば、そんな島の毒ガス製造を支えていた「発電所」が今でも残っています。稼動時には8機のディーゼル発電機が置かれて、この島の電力すべてを供給した巨大施設で、その姿は圧巻!!

実は、この発電所は太平洋戦争で日本軍が開発・実戦投入した無差別爆撃兵器「風船爆弾」の製造にも直接携わってたことも分かっています。

このように、この島には衝撃的な過去の日本の忘れてはならない遺構が、しっかりと残されているのです。

「毒ガス」のイメージから島を変えた「ウサギ」

「毒ガス」のイメージから島を変えた「ウサギ」

写真:土庄 雄平

しかしながら「ウサギ島」という現代の「大久野島」の形は、実は、この負の歴史の中から偶発的に生まれました。

実は、この島でウサギが繁殖したのは、竹原市のとある小学校で飼いきれなくなったウサギ8羽が放されて野生化したのがきっかけですが、それらが繁殖したのは、完全に軍事要塞化していたこの島に生き物が全くいなかったからだと言われています。

「毒ガス」のイメージから島を変えた「ウサギ」

写真:土庄 雄平

つまり島の暗い歴史が、間接的に現代の明るい「ウサギ島」を作ったことになります。これは何とも皮肉な側面ですね。

しかし、そんなウサギを愛でるためにこの島を訪れると、島の凄惨で生々しい歴史が手に取るように伝わってきます。ウサギのおかげで、我々が目をつぶってはいけない過去と直接向き合うことができるのです。

「毒ガス」のイメージから島を変えた「ウサギ」

写真:土庄 雄平

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そして「地図から消された」悲惨な島から、今や観光地として注目が集まる島へと転身を遂げた「大久野島」の北部では、春になるとツツジが咲き、この島の無機質な軍事遺構に彩りを添えてくれます。まさに今と昔のこの島のあり方を結びつけてくれる風景です。

「ウサギ」を愛でると同時に直面する島の歴史

「ウサギ」を愛でると同時に直面する島の歴史

写真:土庄 雄平

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以上紹介してきたように、「大久野島」にはその特殊な歴史から「ウサギ」と「毒ガス」の表と裏の顔があり、軍事施設の廃墟を出入りするウサギの姿が、この島のあり方を物語っています。

ぜひこの島へ来たら、ウサギを愛でるだけでなく、そのウサギの周りに展開するこの「大久野島」の歴史に直接向き合ってみてください。きっとそれを通じて、伝わってくるものがあるはずです。

大久野島の基本情報

住所:広島県竹原市忠海町
アクセス:竹原市「忠海港」or 大三島「盛港」から大三島フェリーで15分

※大久野島のウサギについての注意点
(1)追いかけ回したり、抱っこしないこと。
(2)塩分や糖分の多いパン、菓子類を与えるのは禁止です。
(3)道路、道路脇、玄関前での餌やりは禁止です。
(4)口元に手を出さないようにしてください。
(5)島にゴミを捨てて帰らないようにお願いします。
(6)島にウサギを捨てないようにお願いします。

2019年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/04/07 訪問

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