写真:たぐち ひろみ
地図を見るフエで一番の見どころといえば、間違いなく「王宮(Dai Noi)」だ。1802年から1945年まで続いたベトナム最後の王朝グエン朝のかつての舞台であり、ユネスコ世界文化遺産のひとつにも数えられている。周囲2.5km、広さは360万平米。広大な皇居の敷地230万平米をもしのぐ、とてつもない規模を誇る。
王宮の正門は、南側に位置する「午門(Ngo Mon)」。ここが王宮見学の入口にもなっている。幅58m、総2階建てで、門というより城郭と呼ぶのがふさわしい堂々たる建物だ。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る見どころ満載の王宮の中でも、「大和殿(Thai Hoa Dien)」と「世廟(The Mieu)」(写真)は、どんなツアーでも必ず訪れる王宮見学のハイライト。うち、「大和殿」は「午門」を入って真正面に見える平屋の建物で、かつては朝廷の儀式が行われたとされる。
王宮の南西部にある「世廟」は、グエン朝の歴代皇帝を祀った菩提寺。朱塗りの華麗な建物が王朝文化の名残りを今に伝えている。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る皇太后(皇帝の母親)の住居として使用されていた「延寿宮(Cung Dien Tho)」もぜひ訪れたい。ベトナム伝統家屋である本殿とフランスのコロニアル様式で建てられた「静明楼」(写真)の対比が印象的だ。
1826年築でベトナム最古の劇場とされる「閲是堂(Duyet Thi Duong)」では、かつて皇帝や皇族が楽しんだ宮廷雅楽や舞踊を鑑賞することができる。ぜひ上演時間に合わせて訪れたい。
<基本情報>
住所:Dai Noi, Phu Hau, Thanh pho Hue
アクセス:フエ新市街から車で5分
開館時間:7:00〜17:30(年中無休)
入場料:150,000ドン
(フエ王宮とフエ宮廷骨董博物館の入場料を含む)
写真:たぐち ひろみ
地図を見るフエでは、現在7つの皇帝陵が世界文化遺産に登録されている。中でもイチオシなのが、この「ミンマン帝陵(Lang Minh Mang)」だ。「陵」という言葉を聞き、ただの大きなお墓だと思ってここに来ると、その予想は大きく覆される。
この陵は、グエン朝第2代皇帝となったミンマン帝が、自らの休息の場、離宮として使用することを想定して生前に造成を始めたもの。鯉の泳ぐ広大な2つの池と深い緑に抱かれた28万平米におよぶ園地は、墓地というよりも大きな別荘庭園と呼んだ方が似つかわしい。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る儒教に篤いミンマン帝は、中国の陵墓をモデルにこの廟を創案した。正門から700m続くまっすぐな参道に沿い、碑亭、神殿、明楼(写真)、墳墓などの建物が縦一列に並ぶ独特な構成。実は、建物はそれぞれ、脚、腹、心臓、肩、頭を、両側にある池は腕を表しているのだという。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る病のため、完成を前に51歳で亡くなったミンマン帝。一度も滞在のかなわなかった彼に替わり、今こうして多くの旅行者が訪れている。
<基本情報>
住所:Lang Minh Mang, QL49, Huong Tho, Thanh pho Hue
アクセス:フエ市内から車で25分
開館時間:7:00〜17:30(年中無休)
入場料:100,000ドン
写真:たぐち ひろみ
地図を見るフォン川のほとり、小高い丘の上に建つ「ティエンムー寺(Chua Thien Mu)」も、フエの名所のひとつ。建立は1601年と古く、フエ最古の寺といわれている。
この寺の名物は、入口にそびえる八角七層の「トゥニャン塔」。ガイドブックにも頻繁に登場するので、目にした人も多いはず。高さ21mのこの塔には、各階に仏像が安置され、最上部には釈迦如来が鎮座する。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るティエンムー寺の本堂は、「ダイフン殿」。典型的なベトナム様式の建築なのに、なぜか日本の寺院を見るかのような親近感を覚える。安置された青銅の仏像もポルトガル人ジーン・デ・ラ・クロイス制作。古寺にしては意外な面も垣間見える。
境内はさらに奥へと続き、美しい庭園や盆栽の中庭が広がる。一角にはまた、南北戦争時に仏教弾圧に抗議して焼身自殺を遂げた当寺住職使用のヴィンテージカーを展示。不屈な信仰心のシンボルとなっている。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るティエンムー寺へ行く際は、片道だけでもフォン川の観光船を利用したい。川風に吹かれながらの船旅と船上からの「トゥニャン塔」の眺めを併せて楽しむことができる。
<基本情報>
住所:Chua Thien Mu, Nguyen Phuc Nguyen, Huong Long, Thanh pho Hue
アクセス:フエ市内から車で13分
開館時間:年中無休(本殿は7:00〜11:00 / 14:00〜18:00)
入場料:無料
写真:たぐち ひろみ
地図を見る皇帝陵をもう1つ訪れるとしたら、この「カイディン帝陵(Lang Khai Dihn)」がおすすめだ。1931年竣工という時代の新しさもあり、正統派の「ミンマン帝陵」とはまさに真逆をゆく、この陵墓。その違いをひとつひとつ確かめながら見学するのも興味深い。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るグエン王朝12代目の皇帝となったカイディン帝は大のフランスびいきで、自分の墳墓の設計にもフランスのバロック様式を取り入れた。さらには、時代の先端をいき、資材としてコンクリートを使用。かと思えば、天井に中国的な龍の絵を描かせたり、壁に各地から取り寄せた陶器の破片をモザイクで施したり。結果として、東西混合の未だかつてないユニークな建築が完成した。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るグエン朝史の最後を飾る華々しい帝陵。11年もの年月と多大な費用を要して完成したこの陵墓を、カイディン帝は自ら目にすることなくこの世を去る。墓内に祀られた黄金のカイディン帝像(写真)には、そんな皇帝の未練が込められているような、いないような。
<基本情報>
住所:Lang Khai Dinh, xa Thuy Bang, thi xa Huong Thuy
アクセス:フエ市内から車で20分
開館:7:00〜17:30(年中無休)
料金:100,000ドン
写真:たぐち ひろみ
地図を見るフエの5つめの見どころを選ぶのは、候補がいくつもあるだけにちょっと悩ましい。でも、意外性という意味で考えるなら、この「ゴイ・タイントアン橋(Cau Ngoi Thanh Toan)」を挙げておきたい。フエの中心部から東へ8kmほど。タイントゥイチャンという小さな村に、この屋根付きの小さな木橋はある。
言い伝えによれば、粗末な竹橋しかなかったこの川に、18世紀頃1人の女性が私財をはたいて架けたのがこの橋。ホイアンの屋根付き橋に似ているため、「フエの日本橋」とも呼ばれるが、日本人が作ったわけではない。
小さな川、そこに架かる小さな橋。陽射しを避けて橋の上で休む村人たち。何の変哲もない風景だが、なぜか心が満たされる。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る橋のふもとにあるのは、ローカル色全開の市場。野菜、果物、今朝おろしたばがりの生肉、衣類など、ありとあらゆるものが雑多に並び売られている。なぜか働くのは女性ばかり。男性は家でぶらぶらしているのだそうだ。
卵を産ませるためか、肉食用か、ひよこならぬアヒルの子も売られている。つぶらな瞳がたまらない。
<基本情報>
住所:Cau Ngoi Thanh Toan, Lang Thanh Thuy Chanh, Phu Vang
アクセス:フエ市内から車で11分
開館時間:年中無休
入場料:なし
フエの見どころを5つご紹介した。フエは同じ世界文化遺産の町ホイアンとは違い、見どころが広範囲に散らばっているため徒歩での観光が難しい。てっとり早く見てまわりたいなら、現地ツアーに参加するのが一番だ。上記5つのスポットも、ツアーなら1日で網羅してしまえる。
もう少し時間に余裕がある人には、王宮とティエンムー寺だけ自分でまわり、残りをツアーでカバーするというのもおすすめだ。これなら一番の見どころとなる王宮をじっくり見学することができる。
ベトナムの京都とも称される古の町フエ。訪れるなら、その奥深い魅力にできるだけ多く触れてみたい。
2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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