写真:小野 和伸
地図を見る由布岳は、大分県で逸話が残る程有名な山で、「古事記」や「豊後国風土記」にも名が記載されています。
山頂は、東と西で二股に分かれている双耳峰で、お世辞にも整っているとは言い難い形状です。近隣の名峰「九重山」などに登っていても、その独特な山頂は、すぐにそれが由布岳だと識別できます。由布院盆地から見上げる由布岳は、その存在感と迫力に、非日常感を感じてしまいます。
写真:小野 和伸
地図を見るしかし、見る方向が変われば、由布岳は美しい錘の形状をしています。それは富士山の様に整った形状です。由布岳は、親しみを込めて「豊後富士」とも呼ばれています。
写真は、大分市内から撮影したもので、由布岳は左側の山となります。右の鶴見岳は、由布岳と比べると標高が約200m低い山ですが、眺める場所により同じ程度の高さに見えてしまいます。なお、由布岳の標高は1,583m、鶴見岳の標高は1,375mです。
由布岳と鶴見岳は、それぞれ男性の山・女性の山と考えられており、2人の仲が熱い為、別府と由布院には大量の熱々の温泉が湧き出ているという逸話も残っています。
写真:小野 和伸
地図を見る由布岳は、県内外問わず多くの登山者が訪れます。登山開始から2時間もかからず山頂に到着でき、初心者にも優しい登山道となっています。特に「東峰」がお勧めです。県道11号線沿いにある正面登山口から入山しましょう。登山口付近には駐車スペースも確保されています。
写真:小野 和伸
地図を見る出会うことのできる風景は、主に三段階に分けることができ、標高が上がるにつれて変わります。まずは爽快感を感じる草原の中を、その後は木々と土の香りが気持ち良い林帯を、中盤以降は山をジグザグに登り高度感を感じることができます。途中で由布院の街並みや、遠くなった駐車場を眺めることができ、良い息抜きにもなります。
写真:小野 和伸
地図を見る西と東の分岐点「マタエ」より約15分程で東峰山頂に到着します。眼下に由布院盆地を眺めることができる他、大分市、別府市、志高湖、鶴見岳、高崎山、そして別府湾の景色を楽しめます。
写真:小野 和伸
地図を見る登山の経験を積むと、多くの方が「御来光登山に挑戦したい」と考える様になります。登山口に日の出の約2時間前に登山口を出発すると、余裕を持って山頂に辿り着けるでしょう。
なお、夜間は野性動物の活動が活発になります。登山口に自動車で行く場合は、特に鹿の飛び出しに注意して下さい。登山中は鹿が直接襲ってくることはありませんが、興味本位で近づいてくることが稀にあります。
太陽が昇る方向を考慮すると、登る山頂は西峰より東峰の方をお勧めします。別府湾から昇る御来光、一日の始まりはとても気持ちの良いものです。
写真:小野 和伸
地図を見る東から御来光が差し込むと、西側を流れる雲や霧などに、自分の影が映し出されることが良くあります。「ブロッケン現象」と呼びますが、その自分の影は後光を背負っており、神々しく感じられます。
由布院は朝霧の街としても有名な場所で、霧が発生しやすい朝方は高確率でブロッケン現象に出会えます。登頂の際は、是非自分の影をお探しください。
御来光を拝み、7時に下山を開始すると、登山口に到着する時間は朝9時頃です。下山後は大分県内の観光などにたっぷり時間を割くことも可能です。
写真:小野 和伸
地図を見る由布院の街並み、東峰山頂から眺める志高湖や大分市、別府市、そして別府湾。山頂からの景色はどれも美しいものですが、最もお勧めしたい素晴らしい景色は、終盤に現れます。登山口付近に広がる草原です。
写真:小野 和伸
地図を見る下山中は林帯を抜けて、登山口まで戻りますが、登山口へ戻る最後の10分間がとても清々しい。林帯から抜けると、目の前に広がる草原の様な山肌に、爽快感を感じます。そして振り返ると自分が登った山が鎮座しており、その高さと美しさに改めて惚れ惚れしてしまいます。
写真:小野 和伸
地図を見る汗をかいた肌は、草原を優しく撫ぜる風を感じやすくなっており、火照った身体をクールダウンさせてくれます。下山前最後の10分間は、達成感と風を感じる大変気持ちの良い時間です。
同じ場所で撮影しても、季節や天気により様々な表情を見せてくれます。これが自然の愛らしい部分でもあり、自分の力が及ばない自然に、もどかしく感じる部分です。
<由布岳正面登山口の基本情報>
住所(位置):大分県別府市 県道11号線沿い
アクセス:大分自動車道「由布岳IC」より、自動車で約10分
写真:小野 和伸
地図を見る登山は、温泉を楽しむ為のスパイスにもなります。由布岳の登山口がある県道11号線は、由布市湯布院町と別府市へ繋がっています。
由布岳の麓には由布院温泉があり、海側へ進むと別府八湯です。由布岳と鶴見岳の間にある伽藍岳付近には、日本第二位の酸性度の高さ&アルミニウムイオンの多さ、そして日本第一位の鉄イオンの多さを誇る素晴らしい温泉「塚原温泉 火口乃泉」があります。
湯平温泉も近くにあり、下山後の温泉に困ることはありません。
<由布院温泉 ゆふいん泰葉の基本情報>
住所:大分県由布市湯布院町川上1270-48
電話番号:0977-85-2226
アクセス:大分自動車道「湯布院IC」より、自動車で約15分
<塚原温泉 塚原温泉火口乃泉の基本情報>
住所:大分県由布市大分県由布市湯布院町塚原1235番地
電話番号:0977-85-4101
アクセス:大分自動車道「由布岳IC」より、自動車で約5分
写真:小野 和伸
地図を見る本記事では、主に正面登山口と東峰の往復について重点的に書きましたが、健脚者で体力に自信のある方は、「西峰」「お鉢巡り」「東口登山道」というコースもあります。
西峰は熟練者向きの登山道となっています。岩場・鎖場登りの基本「三点支持」を確実に行い通行して下さい。また、登山道も狭く危険な個所が多い為、譲り合いの精神を持ち、進みましょう。鎖場が無理と感じた場合は、引き返す勇気も大切です。
お鉢巡りは小一時間程で巡ることができますが、登山道は木々で覆われており足を踏み外す危険もあります。一歩一歩慎重に、足場を確認して進んで下さい。東口登山道からのコースは、かなりの急勾配となっています。
最後になりますが、由布岳は登山初心者でも気軽に登れる山です。しかし、自然を軽視してはいけません。十分な水分を持ち、非常食、上着、雨具等の所持は登山の基本です。自分の体力、装備、時間、天候等を考慮し、素晴らしい山旅をお楽しみ下さい。
2019年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/11/2更新)
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