写真:肥後 球磨門
地図を見る熊本県天草市の河浦には1591年から97年まで国内唯一の宣教師養成学校コレジヨ(大神学校)が存在していました。神学だけでなく、哲学、音楽、ラテン語など高度な教育が行われていたコレジヨについて紹介しているのが「天草コレジヨ館」です。
写真:肥後 球磨門
地図を見る入館すると視聴室があります。ここでは、キリシタン大名とイエズス会の命により天正遣欧少年使節(てんしょうけんおうしょうねんしせつ)としてヨーロッパに派遣された、「伊東マンショ」「千々石ミゲル」「原マルチノ」「中浦ジュリアン」の四人の足跡をたどるビデオが放映されます。1582年から8年をかけてヨーロッパ各地を廻り、ローマ教皇グレゴリオ十三世に謁見した彼らが好待遇で迎えられたこと等が紹介されていて、使命感に燃えた彼らの心証に触れることができます。
写真:肥後 球磨門
地図を見る南蛮船の精巧な模型や、ポルトガル人ティセラが日本からの情報に基づいて作成しベルギーで刊行された日本地図なども展示されています。
写真:肥後 球磨門
地図を見る展示室ではヨーロッパに派遣された少年たちが身に着けていた衣装が再現されています。ローマ教皇に謁見するときの服装は日本での正装である羽織袴でしたが、その格好はローマ市民の目には奇異に映り嘲笑されました。市民の反応に心を痛めた法王は礼儀正しく高潔な振舞の少年たちを涙を流しながら抱擁し、イタリア風の衣装を作るお金と布地を贈ったという記録が残っています。展示されている衣装は1586年ドイツ・アウグスブルグで発行された新聞に描かれた絵を参考に作製されたものです。
衣装と一緒にヴァージナル、ダ・カンパ、リュート、ヴィオラといった西洋の古典楽器も復元展示されています。帰国後、時の権力者豊臣秀吉の前でこれらの楽器を演奏し、その音色に聞きほれた秀吉は3度もアンコールをしたと伝わっています。
写真:肥後 球磨門
地図を見るポルトガル人の衣装も展示されています。この衣装は1540年代、日本とポルトガルの間で行われていた貿易を描いた南蛮屏風に見られるカピタンの衣装を再現したものです。
写真:肥後 球磨門
地図を見る写真は、天草の教会で使われていたとされる竹筒を使ったパイプオルガンの複製展示です。現代の重厚な音色と比べて、竹が奏でる軽やかな心地よい音色だったと伝わる小さなパイプオルガン。グレゴリオ聖歌も歌われていたのでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る天草コレジヨ館でひときわ存在感があるのが「グーテンベルク印刷機」です。ドイツ人、ヨハン・グーテンベルクがぶどう酒のしぼり機をヒントに発明した印刷機で、少年使節団がヨーロッパから持ち帰りました。
印刷機は長崎から天草コレジヨへ移設され、1591年から1597年の間に外国人宣教師や学生たちの教科書本を印刷していました。ヨーロッパの出版部数が300〜500部といわれていた当時、天草コレジヨでは1,500部以上が印刷されていたといわれています。
写真:肥後 球磨門
地図を見る印刷機はのちの禁教令によってマカオへ送り返されてしまいます。その後の行方は分からなくなってしまいましたが、400年の時を超えてドイツで復元された印刷機が再び天草に戻ってきたのです。
写真:肥後 球磨門
地図を見るコレジヨからは教科書や辞書、信仰のための「天草本(あまくさぼん)」と呼ばれる本が出版されていました。その中でも「平家物語」や「伊曾保物語」がよく知られています。全部で29種類出版された天草本の中で12種類が現存し大英博物館などに所蔵されていて、複製が天草コレジヨ館に展示されています。写真は大英博物館に保存されている「平家物語」の複製です。
写真:肥後 球磨門
地図を見る「伊曾保物語」は天草で印刷され全国に広まっていきました。このことから日本の「イソップ物語」は天草から始まったといえるのではないでしょうか。写真は大英博物館が所蔵するイソップ物語の複製で、ポルトガル語か何かで書かれているように見えますが、よく見るとローマ字表記の日本語であることが分かります。
写真:肥後 球磨門
地図を見るイソップの容姿について書かれているページです。読めますか?「xeua qgumi」が「背はくぐみ」、「domoride vogiatta」が「どもりで おぢゃった」などと表記されていて当時の日本語の特徴が伝わる面白い展示物です。ちょっと難しいけど立ち止まって頑張って読んでみましょう。
写真:肥後 球磨門
地図を見るコレジヨ関連の展示のほかに見ごたえのあるのが、立体絵本の『ESOPOの宝箱』でイソップの生涯がわかります。
写真:肥後 球磨門
地図を見る16世紀末、ラテン語から日本語に翻訳された天草本「伊曾保物語」に出てくるイソップの容姿を再現した人形が、物語と一緒に展示されています。イソップが問題を解決していく物語もいくつかあって、当時の日本人が親しんだ天草本「伊曾保物語」を読んでいるような気分になります。
キリスト教の影響を受け、ヨーロッパ文化が数多く見られた400年ほど前の天草。天草コレジヨ館で日本人が見た当時の西洋文化に触れてみてはいかがでしょうか。資料館から車で10分ほどの場所には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に指定された「崎津集落」があります。こちらでも当時の日本に於けるキリスト教の歴史に触れることができるので、おススメです。
住所:熊本県天草市河浦町白木河内175-13
電話:0969-76-0388
アクセス:天草空港から車で約35分
営業時間:8:30〜17:00(最終入館16:30)
2019年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/28更新)
- 広告 -